東日本大震災 復興支援企画『ほんとのおおきさ特別編・元気です!東北の動物たち』vol.2「アクアマリンふくしま」

『ほんとのおおきさ特別編・元気です!東北の動物たち』

第2回目のブログでは
福島県にある水族館「アクアマリンふくしま」をご紹介します。

アクアマリンふくしまは、
震災から約4か月後の7月15日に再開しました。
「特別編」で取り上げた4つの施設の中で
再開までに、もっとも時間を要しました。
それほど被害が大きかったのです。

そのほとんどは、津波によるものでした。
1階フロアへの浸水は10cmほどですみましたが
地下の施設には、もろに津波が入って来ました。
そこには、アクアマリンふくしまの心臓部である
電機設備が集中していました。


館長の安部義孝さんに、再開までの経過をうかがいました。

「地震の後、職員全員を自宅待機にして、
 4月25日から通常の勤務体制にもどしました。
 そして、ともかく夏休み前の7月15日に再開しよう、
 と目標をつくったのです。
    
 5月いっぱいは、みんなで朝から晩まで、
 ヘドロのそうじばかり。
 ボランティアの人もたくさん来てくれました。
 6月に入ってようやく、
 生き物の展示に手をつけられるようになり、
 全国の水族館からも手伝いに来てくれて、
 再開の準備がととのいました。」


水族館は、人工的な環境をつくって
生き物を飼育する施設です。
そのためには、電力の供給が不可欠です。
とくに海水魚の場合、エアポンプ、ろ過装置、加温、冷却…と
水質の管理に細心の注意を必要とします。

電気が止まると、
それらのすべてが機能しなくなってしまいますから
魚が死ぬのは、もう時間の問題です。
わかっていても、大津波という想定外の事態に
なす術もありませんでした。
もともと、海水魚の飼育に力を入れていたアクアマリンは
実に、全体の生き物の9割を失いました。

震災後の復旧期間中、飼育係さんは
大切に育てていた魚たちの死骸を
水槽から1匹1匹、くる日もくる日も
網ですくい出したといいます。
アクアマリンのオープン当初から
その中には、10年以上かけて大きく育っていた魚や
試行錯誤の末に、ようやく繁殖に成功した魚もいました。

アクアマリンのスタッフの皆さんにとって
精神的にも体力的にも
どんなに過酷な数か月間であったことでしょう。
そこを踏ん張って
予定の期日に再開を果たした原動力は、
いったい、どこからきたのでしょうか?

再び、安部館長のお話です。

「その間、ぼくらのささえになったのが
 『たきだし』です。
 うちのレストランのシェフが、『ちゃんこなべ』を
 毎日、大なべでつくってくれたのです。
 みんなで集まって、ワイワイやって、元気になって…。
    
 これで、『チームアクアマリン』になりました。
 ひとりひとりがみな、
 自分の持ち場の中で計画を立てて、
 なんとか7月15日までに、という気持ちになった。
 再開できたのは、みんなの努力があったからです。
 7月15日は、アクアマリンふくしま開館11周年の
 記念日でもあったのです。」

アクアマリンふくしまのスタッフ

アクアマリンふくしまのスタッフの皆さんです。


電気と水道が回復し始めたのは、
4月に入ってからでした。
しかし、この絶体絶命のピンチを
生き抜いた生き物が、およそ1割いたのです。

「特別編」では、生き抜いた生き物の中から
魚類では、ナメダンゴ、ネオケラトドゥス、
スポッテッドガー、シロチョウザメ、キンギョを。
哺乳類では、ゴマフアザラシとセイウチを紹介しています。

これらの5種の魚たちは、なぜ生き残れたのでしょう?
ほかの水族館で避難生活を送ることになった
ゴマフアザラシは、どんな様子だったでしょうか?
震災を境に、急激に運命が動きだした
セイウチのお話も必読です。
本を手に取って、ぜひ確かめてみてください。


最後に、本誌の巻頭を飾っている
ゴマフアザラシの「きぼう」について、
飼育係さんのお話の一部をご紹介します。

誌面サンプル

「地震のあった3月11日、
 きぼうはまだ母親の「くらら」のおなかの中にいて、
 いつ生まれてもおかしくない状態でした。
 アクアマリンふくしまでは飼育できなくなったので、
 16日の夕方、千葉県の鴨川シーワールドに避難しました。
 緊急車両として高速道路に乗せてもらえました。
    
 くららは地震から1週間ぐらい、
 エサを食べなかったんです。
 シーワールドで初めて食べて、
 元気な胎動も観察できました。
 そして、避難して3週間後、きぼうが生まれました。
 (つづく)」

きぼうの撮影風景

きぼうの撮影風景です。
クルクルとよく動くので、カメラマンさんは苦労していました。


ぜひ、アクアマリンふくしまに行って
本物のきぼうに会ってきてください!


(文=N編集部員)


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アクアマリンふくしま
〒971−8101
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電話:0246−73−2525
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