東日本大震災 復興支援企画『ほんとのおおきさ特別編・元気です!東北の動物たち』vol.5「盛岡市動物公園」

『ほんとのおおきさ特別編・元気です!東北の動物たち』

第5回目は、岩手県盛岡市にある動物園
「盛岡市動物公園」をご紹介します。

「特別編」 で取り上げた4つの施設の中で
盛岡市動物公園は、いちばん北に位置します。
盛岡市郊外の山の斜面にあり、冬の積雪量が多いので
毎年、雪が積もり始める12月から春になるまで休園します。
地震のあった3月11日は、まだ休園期間中で
2日後に迫った13日の開園準備に追われる最中でした。

震度5強の揺れで、獣舎や建物の壁にたくさんの亀裂が入り、
電気・水道などのライフラインがストップ。
幸い2日ほどで、電気と水道は回復しましたが
盛岡市動物公園では大きな心配事があったそうです。

園長の辻本恒徳さんにお話をうかがいました。

 「まさに地震の日、注文していたエサが
  とどくことになっていたのです。
  それが、物流が止まってしまって、ぜんぜん来ない。
  在庫は残り少ない…。
  エサの量をへらすわけにもいかず、
  頭をかかえていたところに、
  日動水(日本動物園水族館協会)から
  支援物資がどっさりとどきました。
  本当に助かりました。」

ガソリン不足や道路の寸断で、物流が止まってしまったことに加えて
さらに痛手だったのは、沿岸にある動物用の飼料を袋詰めする工場が
津波に襲われたことでした。
流通体制の復旧の見込みが立たない不安の中、
八木山動物公園の場合と同じく、エサの量を減らしたり内容を変えたり
なんとかやり繰りして、日動水の支援が届くまでつないだそうです。

また、ガソリン不足は、動物公園のスタッフにも影響を及ぼしました。
広い動物園内での移動に欠かせない車やバイクが
使えなくなってしまったのです。
自然の地形を利用してつくられた坂の多い園内を
徒歩で行き来するのは「いい運動になる」レベルを
軽々と超えていたに違いありません。
3月いっぱいは、エサもガソリンも、厳しい状況だったそうです。


2011年4月9日、盛岡市動物公園は再開(開園)しました。
最初は地元の人が多かったそうですが
県外からのお客さんもだんだん増えていきました。
沿岸の被災地から盛岡市の公共施設や旅館に避難していた方々を
招待したり、被災した人を無料で迎えたりするうちに
辻本園長は
「動物園が再開されるのを、多くの人が待っていたのだ」
と、強く感じたそうです。

 「4月9日に開園すると、いろいろな声が聞かれました。
  家族の楽しそうな顔を見られた、来てよかった、というお父さん。
  子どもたちがふだんは見せないような元気な顔をしている、
  というボランティアの女性。
    
  それは、動物たちがいるからです。
    
  動物を見たいという気持ちは、理屈ぬきに
  誰もが持っているものだと思います。
  東北のような、自然に恵まれた場所に生まれ育った人たちは
  その気持ちがなおさら強いのではないでしょうか。」

盛岡市動物公園のスタッフのみなさん

▲盛岡市動物公園のスタッフのみなさんです。

生き物を見てみんなで笑い、
おいしいねって言いながら、外でお弁当を食べる。
動物園や水族館は、そんなふうにして
静かに家族のつながりを確かめることができる場です。
と、辻本園長は話してくださいました。


さて、盛岡市動物公園には
オスの「たろう」、メスの「マオ」の
2頭のアフリカゾウがくらしています。
「特別編」では、「マオ」が
ワイドページ(カバと同じく4ページ分!)を飾っています。

ページ見本

マオは、東京の多摩動物公園で生まれて
4歳のときに、盛岡にやって来ました。
雪の多い盛岡で迎えた初めての冬、
大きな除雪車が走る音に、マオはとてもおびえていたそうです。

そんなマオは、もちろん大きな地震も初体験で
ふだんと違うようすを見せました。
どんなようすだったのでしょう?
最後に、飼育係さんのお話の一部をご紹介します。

 「地震の翌朝マオは、目やにが多くて、
  ダーッと目頭から出していました。
  ボーッとして、半分目を閉じてまどろんでいるような、
  あきらかに睡眠不足のようすです。
  そして、言うことをよく聞いて、いつもよりすごく素直でした。
    
  (中略)
    
  やっぱり地震で不安だったんでしょうね。
  何かあるとゾウ同士でも頼り合いますけど、
  飼育係にも頼ってくるんです。
  こっちも「こわかったの?」と声をかけて…。
  娘や息子みたいな感じです。(つづく)」

マオの撮影風景

▲マオの撮影風景です。
鼻先をクルッとまるめて、ポーズをとってくれました。

東京で生まれて、盛岡に移り住んで、被災する…。
私たち人間にも起こりうることが
マオの身にも起こったのですね。

今年は3月15日から開園した盛岡市動物公園で
すっかり元気になったマオが待っています。
また、本に登場したツキノワグマの月美をはじめ、
タヌキ、キツネ、カモシカなど、日本の野生動物が
ののびのびした姿を見せてくれますよ。
お弁当を持って、ぜひお出かけください!


(文=N編集部員)


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盛岡市動物公園
〒020-0803
岩手県盛岡市新庄字下八木田60-18
電話:019-654-8266
盛岡市動物公園 公式HP


さて、この連載ブログは
今回で最後・・・の予定でしたが
実は、もうひとつ告知があります。
来週中に更新します!


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