著者インタビュー(第2回) 「当時のデモテープについて」

「プレイバック制作ディレクター回想記 音楽「山口百恵」全軌跡」


【川瀬泰雄プロフィール】
東京音楽出版(現ホリプロ)入社後、山口百恵の引退までプロデュース。そのほか井上陽水、浜田省吾等のプロデュースも担当、現在まで約1600曲をプロデュース。




山口百恵さんの楽曲制作を、デビュー直後から引退まで
担当した著者の川瀬泰雄さん。
特に力を入れたのは、
楽曲や詞を書く新しい作家の開拓だったそうです。
そのアーティストの方々によって、
「横須賀ストーリー」「秋桜(コスモス)」など、
たくさんの名曲が誕生していきました。

当時は、作曲をお願いした方々から曲が出来上がってくると、
歌を録音したデモテープが、
ディレクターの川瀬さんの元に届けられていました。
曲の原点であるこのデモテープは、
サウンドアレンジが一切されていない
まっさらな状態です。
本書を書くにあたっては、
このデモテープが大変貴重な資料となりました。


作曲をされた方による当時のデモテープが、
御自宅から数多く出てきたそうですが?

:これはすごかったですね。
百恵さん用に宇崎竜童氏の作ったほとんどの曲のデモテープ、
谷村新司氏、さだまさし氏、浜田省吾氏、井上陽水氏、
ジョニー大倉氏などのカセット・テープが
あちこちから出てきました。

全部でどれくらいあったのですか?

:カセット1本に数曲入っているのもあったので、
百恵さん用だけでも曲数にして80曲くらいはありました。
ほかのアーティスト用の宇崎氏のデモテープや
浜田省吾氏のソロ・デビュー用のデモテープなどを
合わせると全部で200曲くらいはあったと思います。

宇崎さんのデモテープで、印象に残ったものは
どんな曲でしょう?

:印象に残ったものは、アルバム『17才のテーマ』用
として宇崎氏から最初にいただいた「横須賀ストーリー」
のデモテープです。
最終的な形になる前の弾き語りのテープを聴くと、
もともとのイントロはセブンスのコードで盛り上げていき
歌に入るという形の曲だったのだなァと懐かしく思います。

浜田省吾さんのデモテープは、
ご本人が歌った弾き語りですか?

:もちろん本人の弾き語りです。
浜田省吾氏のデモテープは別の歌詞がついていたり、
メロディの印象的な部分だけ乗りのいい歌詞が
ついていたりしていました。

谷村新司さんのデモテープはどうでしたか?

:曲名をあげることはできませんが、
そのデモテープで戴いた曲の後ろに、
その曲が出来上がるまでの微妙にメロディの違ったものを、
谷村氏が何回も歌い直している音が消し忘れて
そのまま残されていました。
まるで曲が出来上がるまでのドキュメンタリーを
見ているような気がしたのを覚えています。

それらの貴重なデモテープをあらためて今聴くことで、
どういうことが思い出されましたか?

:作曲家が曲を作られた時から30年以上経ったとは
思えない生々しさが、テープから聴こえてきました。
そしてレコーディングされた時の
萩田光雄氏を筆頭としたアレンジャーの苦労や
素晴らしいアイデアや才能を数多く発見できました。


 
編集部:名だたるアーティストの方々による当時のデモテープは、
日本歌謡史の中の貴重な財産といえるでしょう。
生々しい当時の記録、デモテープについてのお話は
まだまだ続きます。
次回のアップを乞うご期待!


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著者インタビュー(第1回) 「山口百恵の音楽とは?」