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コラム・マンガ

こどもはなぜ笑う? なぜ笑わない? 前編

こどもはなぜ笑う? なぜ笑わない? 前編

あかはなそえじ先生の院内学級の教師として学んだこと「第58回」

院内学級の教師として、赤鼻のピエロとしてかかわるなかで、笑顔を取り戻し、治療に向かう意欲を高めていく子どもたち。その経験をもとに、子どもとの接し方や保護者・家族とのかかわり方、院内学級の必要性、教育の重要性などについて語ってくれます。

「笑う門には福来たる」

笑うということが心にも体にも良い効果があることは、多くの方々にうなずいていただけることと思います。
笑いがあふれる院内学級にしたいと前から考えていましたし、父親として笑いがある家庭にしたいとも思いますが、そうそう簡単なことではありません。

今から4、5年ほど前、ある学校から「学校保健委員会での講演をお願いしたいのですが、テーマは『笑いと健康』です」というお話を受けました。
正直な気持ち、何を、どのように話をしたらよいのだろうと、ものすごくなやみました。

学校の保健委員会ですから、先生はもちろん保護者や地域の方々などが参加されると考え、みなさんのニーズは何かを考えてみました。「たくさん笑って健康になりましょう」という話を求められているのではないのだろうことはわかりますが、とりあえずいろいろと考えてみました。
  • 笑いの理論「人はどのようなときに笑うのか」
  • 笑いの効能「笑うことはなぜよいのか」
  • 笑いの成果「笑いが生み出すものとは」

「なんちゃって手品」や「なんちゃってパントマイム」を実際に見ていただいて、笑っていただくことをしようか。
いやいや、テーマは「お笑い」ではなく「笑い」なのです。

スライドをつくり、まるでうかんでこない内容を考えていたとき、院内学級の子どもたちだったら「笑い」をどう考えているのだろうと思い、聞いてみることにしました。

人はなぜ笑うの?

たまたま教室にいた3人のお子さんに聞いてみました。

1人目は小学校4年生。質問に間を空けずに答えてくれました。
「心があるからだよ」
「心があるからかぁ、なるほど、そうだよね」
「そうだよ、心がなかったら笑えない」

2人目は中学校3年生。続けて答えてくれました.
「人がいるからじゃないかな」
「えっ、人がいるから?」
「だれかがいてくれるから。ひとりじゃないから」

3人目は小学校1年生。少し考えてから答えてくれました。
「楽しいからでしょ」
「楽しいときに笑うんだね」
「そうだよ、楽しいから笑うよ」

3人とも、なんてすてきなのだろうと思いました。
病院のベッドでねている子どもたちの多くは、表情がなくなっていきます。とくに、笑うという表情をなかなか出せない子どもたちもいます。

なぜ、ベッドの上の子どもたちは、表情がなくなっていくのか。その答えを、3人の子どもたちが教えてくれたように思いました。
次回は3人の答えをじっくり考えたいと思います。

前回記事
第57回はこちら。

Information

「あかはなそえじ先生のひとりじゃないよ」
四六判・全248ページ
1400円+税
学研教育みらい刊

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あかはなそえじ先生・副島賢和(そえじま まさかず)

筆者:あかはなそえじ先生・副島賢和(そえじま まさかず)

昭和大学大学院保健医療学研究科准教授、昭和大学附属病院内学級担当 1966年、福岡県生まれ。東京都の公立小学校教諭を25年間務め、 1999年に都の派遣研修で東京学芸大学大学院にて心理学を学ぶ。 2006年より品川区立清水台小学校教諭・昭和大学病院内さいかち学級担任。2009年ドラマ『赤鼻のセンセイ』(日本テレビ)のモチーフとなる。2011年『プロフェッショナル 仕事の流儀「涙も笑いも、力になる」』(NHK総合)出演。2014年より現職。学校心理士スーパーバイザー。ホスピタルクラウンとしても活動中。

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