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宇宙

月に基地をつくるって、ホント? 2022年にはじまった宇宙計画にくわしくなる!《月(moon)編》

月に基地をつくるって、ホント? 2022年にはじまった宇宙計画にくわしくなる!《月(moon)編》

【第3回】月につくる「宇宙ステーション」と「月面基地」

もうすぐヒトは、月の基地をつくりはじめます。しかも2つ、つくります。

ひとつは、月のまわりをグルグルと周り続ける宇宙基地です。つまり、まっ暗な宇宙空間にポツンと浮かんで、音もなくスーッと飛びつづける宇宙ステーションです。

名前はゲートウェイ。2024年につくりはじめようとしています。ヒトが月のまわりを周る宇宙ステーションをつくるのは、これがはじめてです。

もうひとつの基地は、月の地面につくります。そうした基地を月面基地といいます。

いまから50年くらいまえ、ヒトははじめて月面に立ちましたが、それからはだれも月へいっていません。ヒトが月面基地をつくるのは、もちろんこれがはじめてです。

ゲートウェイは月のまわりを7日かけて1周する(ESA)
月面につくられた月面基地のイメージ図。月からは地球がとても美しくみえる(ESA)

「ゲートウェイ」って、どんな基地?

月のまわりを飛ぶゲートウェイは、ヒトがはいれる大きなドラム缶のような部屋を、ひとつずつロケットで打ち上げて、それを宇宙空間でつないでつくります。このドラム缶のような部屋のことを「モジュールといいます。

モジュールのなかには空気があるので、宇宙服を着なくても生活できます。フワフワと浮きながらごはんも食べられるし、トイレもあり、寝ぶくろで寝ます。でも、お風呂はありません。

宇宙飛行士の野口さんや若田さんを知っていますか?

2人も宇宙基地に住んでいましたが、彼らが乗ったISS(アイ・エス・エス)という宇宙ステーションは月ではなく、地球のまわりを周っています。

月面に基地をつくるとき、たくさんのヒトが月へ行きますが、その途中の休けい所としてゲートウェイに立ちよります (ESA)

「月面基地」って、どんな基地?

月の地面は、サラサラの砂でおおわれています。その砂をレゴリスといいます。

月面基地をつくるとき、地球から材料をもっていくと、ロケットをたくさん打ち上げる必要があり、お金がたくさんかかります。

なので、このレゴリスを3Dプリンターで固めて基地をつくります。つまり、3Dプリンターの機械と、それを動かすための太陽電池パネルさえあれば、いくらでも基地がつくれるのです。

こうした月面基地のつくりかたは「ESA(欧州宇宙機関)」というヨーロッパのグループが考えたものです。

3Dプリンターでつくられた月面基地のなかのようす(ESA)

日本も計画に参加してるって、ホント?

アメリカのNASA(ナサ)は、2024年くらいから、ゲートウェイをつくりはじめようとしています。そして、いまから10年くらいの間に、月面基地をつくりはじめます。

このふたつの計画には、日本の宇宙航空研究開発機構「JAXA(ジャクサ)」も協力をしています。また日本の自動車メーカー「トヨタ」は、そこで使う月面車をつくっています。

トヨタが開発している月面車『ルナ・クルーザー』(TOYOTA)

もし、きみが宇宙飛行士になったら、そのときはゲートウェイも月面基地も完成しているでしょう。

きみたちは月の基地をつくるヒトではなく、使うヒトなのです。

きみたちがつくるのは、きっと火星の基地ですね。

鈴木喜生

著者:鈴木喜生

元出版社の編集長。子どものころにアポロ11号の月面着陸をみて感動したおじさん。宇宙飛行士になれなかったので、かわりに宇宙の本を書いています。これまでに書いた本は『宇宙プロジェクト開発史アーカイブ』(エディターズ)、『宇宙開発未来カレンダー2022-2030‘s』(G.B.)、『これからはじまる宇宙プロジェクト』、『これからはじまる科学技術プロジェクト』(エイ出版社)など。最新著作は『夢の仕事場 宇宙飛行士』(朝日新聞出版)です。

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