Now Loading...

宇宙

はじめて月に行ったのは誰? 2022年にはじまった宇宙計画にくわしくなる!《月(moon)編》

はじめて月に行ったのは誰? 2022年にはじまった宇宙計画にくわしくなる!《月(moon)編》

【第6回】はじめて月へ行った物語

さて、いきなり問題です。
問題1: はじめて月に行ったのは誰でしょう?
①コロンブス
②リンドバーグ
③アームストロング

アポロ宇宙船を打ち上げたサターンロケットと、ルナー・ランダー(NASA)

①は、はじめてアメリカ大陸へ行ったイタリア人の船乗りです。②は、はじめて飛行機で大西洋をわたったアメリカ人の飛行機パイロットです。ということで正解は、③の「ニール・アームストロング」です。彼はアメリカ人の宇宙飛行士でした。
宇宙船「アポロ11号」に乗ったニール・アームストロング船長と、バズ・オルドリンさんは、1969年7月20日、世界で最初に月面に着陸しました。ふたりは宇宙服をきて、月面を2時間30分歩きましたが、ニールさんのほうが先に宇宙船からおりたので、彼が月面におりた最初の人となりました。

アポロ11号にのって月面へ着陸したバズ・オルドリンさん(NASA)
アポロ11号の宇宙飛行士たち。左からニール・アームストロングさん、マイケル・コリンズさん、バズ・オルドリンさん。まん中のマイケルさんは月面にはおりず、ほかのふたりが月面にいるあいだ、宇宙船で月をまわりながら帰りを待ちました(NASA)

はじめて月面に「着陸」したのはアポロ11号でしたが、月のすぐそばまで「行った」のは「アポロ8号」のほうが先でした。アポロ8号は、アポロ11号よりも7か月くらい早く打ち上げられて、月のまわりをクルクルまわったのです。
月はいつも「ウサギのもちつき」の絵を地球に向けているので、地球から月のうら側を見ることができません。でも、月をクルクルまわったアポロ8号の宇宙飛行士たちは、人としてはじめて、自分の目で月のうら側を見たのです。

アポロ8号からとった月のうら側の写真。左の大きなクレーターは直径110km。東京都と神奈川県がすっぽりはいるくらいの大きさ(NASA)

はじめて月へ行った「探査機」は?

さて、つぎの問題です。
問題2: はじめて月に行った宇宙船はアポロ8号でしたが、では、はじめて月に行った探査機(たんさき)は、どこの国が打ち上げたでしょう?
探査機とは、宇宙を調べるための装置をのせた、無人の宇宙機のことです。
①アメリカ
②日本
③ソビエト

左は、はじめて月の近くに行った探査機ルナ1号。右は、はじめて月面に行ったルナ2号(NASA)

残念ながら日本ではありません。アメリカのような気がしますね。でもじつは、③のソビエトが正解です。ソビエトという国はとても大きな国でしたが、1991年に国がバラバラになり、いまはロシアという名前にかわっています。
ソビエトは1959年に、「ルナ1号」を月にむけて打ち上げました。いまから60年以上まえのことです。そのころはまだ、宇宙機をフワリと月に着陸させる技術がなかったので、ソビエトはルナ1号を月に激突(げきとつ)させようとしました。月にぶつかる直前まで、ルナ1号の装置でいろいろ調べて、そのデータを地球に送りかえそうとしたのです。
しかし、なんとねらいがはずれ、ルナ1号は月のそばを通りすぎてしまいました。でも、月のすぐ近くを飛んだので、ルナ1号は「月にはじめて行った探査機」となりました。「ルナ」とは、ロシア語で「月」という意味です。ルナ1号は、いまも太陽のまわりを飛びつづけています。
それから8か月後、ソビエトは「ルナ2号」を打ち上げました。そして、みごと月の地面にぶつかりました。つまりルナ2号は、「月の地面にはじめてとどいた人工物(じんこうぶつ)」とされています。人工物とは、人間がつくったモノという意味です。

宇宙への旅ははじまったばかりです。いまは限られた人しか宇宙に行けませんが、あなたたちが大人になったときには、誰もが月面を歩ける時代になっているかもしれませんね。

鈴木喜生

著者:鈴木喜生

元出版社の編集長。子供のころにアポロ11号の月面着陸をみて感動したおじさん。宇宙飛行士になれなかったので、宇宙の本を書いています。これまでに書いた本は『太陽系の歩き方 宇宙ガイドブック』(G.B.)、『夢の仕事場 宇宙飛行士』(朝日新聞出版)、『宇宙プロジェクト開発史アーカイブ』(二見書房)、『宇宙開発未来カレンダー2022-2030’s』(G.B.)、『これからはじまる科学技術プロジェクト』(エイ出版社)など。

マナビスタについて

マナビスタは学研グループの家庭学習応援サイトです。