運動神経は誰でも伸ばせる! 子どもの能力を引き出すためにできること
「運動神経がいい」と聞いて、どのようなことをイメージしますか?
足が速いことでしょうか。それとも、試合でたくさんの得点がとれることでしょうか。このように、「運動神経=才能」と考えるみなさんもいらっしゃるかもしれませんね。実はこのイメージ、間違っているかもしれません。今回は、親子でできる運動神経アップの秘訣をたくさんご紹介します。今日から取り組んで、体育の授業やスポーツを思いっきり楽しみましょう!
<目次>
遺伝ではない? 子どもの運動神経の発達
「運動ができないのは、生まれつき」などと諦めてはいませんか? このような考えから、体を動かすことにニガテ意識をもつお子さんも多いですよね。そんなみなさんに、まずは「運動神経がいい」とはどのようなことなのか? 遺伝でないならば、なにが影響しているのか? というギモンにお答えしていきます。
運動神経は遺伝より経験が強く影響する
「運動神経がいい」とは、単にスポーツができることではありません。その答えは……
自分の思うままにからだを動かすことができること
人はからだを動かすとき、脳から筋肉へ指令を送っています。つまり、指令を自由自在にあやつることを「運動神経がいい」と呼ぶのです。これは、だれもが生まれつきもつ人間のはたらきです。言いかえれば、運動神経は“努力”によって身につけるものといえます。
では、どのような努力が必要なのでしょう? 大切なことは、最も効率のよい指令をすばやく選ぶことにあります。そして、それを様々な動きにあてはめる練習が必要なのです。
運動神経がよい子どもの特長
努力とはいえ、運動が得意なお子さんと、そうでない子に差が出てしまうことはありますよね。この違いはなぜ生まれるのでしょうか。
実は、運動の経験量が影響すると考えられています。一流アスリートが、幼少期に複数のスポーツを経験していたという話を耳にすることはありませんか? つまり、さまざまなからだの動きを実際に体験することが重要なのです。スポーツだけでなく、外遊びでも運動経験を積むことができます。ぜひ、お子さんに外で遊ぼうと声をかけてみてください。お子さんとの会話のきっかけにもなりますよ。
運動神経の発達で重視される「ゴールデンエイジ」とは
ここまで、運動経験がいかに大切であるかについて解説をしてきました。しかし実は、その効果をより高いものにするために注目したい3つの成長過程があります。
“プレゴールデンエイジ”
神経系が大きく成長する、3歳から8歳までを指します。ここでの経験が将来の運動神経の基礎となります。
“ゴールデンエイジ”
9歳から11歳までを指し、この時期に神経系の約90%が完成するといわれています。そのいっぽう、筋肉は発達しきっていません。そのため自分のからだを認識し、イメージ通りにからだを動かす練習をするのに適しています。
“ポストゴールデンエイジ”
からだ全体が大きく成長する12歳から14歳。11歳までの経験を、実際に運動として発展させるとよいでしょう。
成長期を過ぎても運動神経は高められる
では、成長期を終えた大人のみなさんはもう手遅れなのでしょうか?
- いいえ、そんなことはありません。
普段の運動をちょっと変えてみるだけで、大人でも運動神経を刺激することができます。たとえば、以下のものがオススメです。
- バランスを意識して電車に乗ってみる
- スポーツジムや公園でお子さんといっしょに遊んでみる
- バトミントンでテニスラケットを使ってみる
- しだいに運動の難易度を上げてみる
かんたんな工夫で、大人でもお子さん同様の変化を感じることができますよ。
運動神経をよくする方法 | 親ができること
お子さんの運動神経をアップさせる秘訣。それは、親御さんがお子さんをサポートすることです。お子さんだけでは難しいことも、親御さんのアドバイスやお手伝いによってその効果はグッと高くなります。以下では、楽しく取り組める方法を5つご紹介します。ぜひ、今日から取り組んでみてくださいね。
親子でスポーツや運動遊びに取り組む
お子さんの遊ぶ姿を、外から見守っている親御さんもいらっしゃるかもしれませんね。ときどき気分を変えて、親子で運動にチャレンジしてみてはいかがでしょうか? お子さんといっしょにキャッチボールをしたり、自転車に乗ったりするだけでもOK。親子で遊ぶ時間・コミュニケーションを大切にしてみましょう。楽しく遊ぶなかで、お子さんだけでなく親御さんの運動神経にもいっしょにアップできてしまいます。
いろいろな体験をさせてあげる
学校や園ではできない体験を、楽しむことも大切です。スポーツに限らず、野外アクティビティや習いごとなどでも運動神経は高めることができます。たとえば、以下のものがオススメです。
“鬼ごっこ”
お子さんの瞬発力をアップさせる効果が期待できます。また、お友だちといっしょに遊ぶことで協調性を学び深める機会にもなります。
“ピアノ”
手先をうまく使い、細かい動きを習得します。よって集中力を高めるだけでなく、脳の働きを活性化させる効果があります。
子どもが楽しめるように工夫する
お子さんが運動に取り組む姿をみて、「どうしてできないの」と問いただしてしまうなんて経験はありませんか? 実はこれ、逆効果です。
親御さんの役目は、お子さんの運動をサポートし、楽しく運動できる環境をつくってあげることにあります。のびのびとからだを動かせるよう、お子さんの成長をそっと見守ってあげましょう。運動ができる・できないではなく、まずは遊びの要素を取り入れた動きからはじめてみてください。
生活習慣を整えることも大事
運動神経について考えると、ついついからだを動かすことばかりを大切に思ってしまいます。しかし、十分な睡眠やバランスの取れた食事を取ることも忘れてはいけません。
生活習慣が整っていると、脳から筋肉への指令が速まり、その機能を高めるといわれています。これらは運動神経だけでなく、勉強のやる気もサポートしてくれるので、一石二鳥ですね。朝ごはんを食べる、夜ふかしをしないなど、親御さんともいっしょに取り組めますよ。
自己肯定感を育てることで挑戦する心も育つ
自己肯定感とは、お子さん自身が長所・能力に対して自信をもち、自分を受け入れることです。身近な運動やスポーツ、遊びでも「できた」という成功の体験を重ねることで、新しい挑戦への意欲が高まります。
お子さんを“ほめる”ことを意識してみましょう。もちろん挑戦をして失敗することもあります。そのときはお子さんのサポートへまわり、失敗を学びの機会としてとらえることが大切です。お子さんの心の成長をいっしょに見守ってあげましょう。
子どもの運動神経向上に役立つスポーツや運動遊び
ここまで、親御さんができるお子様へのサポートをいくつかご紹介してきました。しかし、どんな運動をすればよいかは最も気になるところですよね。次は、具体的な例をあげて詳しく解説していきます。
能力を伸ばすためにオススメのスポーツ
ここからは、年齢別にオススメしたい運動をご紹介します。こちらはあくまでも目安ですので、お子さんが楽しく取り組めるものを選んであげてくださいね。
0歳児 : ベビー体操
赤ちゃんの手足や股関節などをクルクルと、やさしく動かしてあげましょう。運動機能やからだの発達を促すといわれています。
3歳から6歳 : ボール遊び
ボールを投げたり、転がしたりする簡単な動きでOK。運動神経の基礎をつくります。
6歳から12歳 : 運動器具を使う
鉄棒やジャングルジム、けん垂など、公園や学校にある器具を使った運動です。ご自宅ではできない動きを経験できます。簡単な技から難しいものまで、挑戦してみましょう。
運動神経を高める運動遊び
学校や園で行う運動は、勝ち負けやルールがあるものも多いですよね。それが原因でニガテ意識を持ってしまうお子さんも多いことでしょう。そういったみなさんには、遊びの楽しさと運動をかけあわせた「運動遊び」がオススメ。お子さん自らやりたいと感じる運動をいっしょに見つけてあげましょう。たとえば、以下のようなものがあります。
- 山のぼり
- サイクリング
- だるまさんがころんだ
- ハンカチ落とし
運動神経をよくするために参考にしたいオススメ書籍3選
いかがでしたでしょうか。運動神経は、とても奥が深いテーマですよね。ここでは、さらにくわしい内容を知りたいというみなさんに、オススメの書籍を3冊ご紹介します。
わが子の運動神経がどんどんよくなる本
学研リトルアスリートクラブ代表トレーナー、遠山健太著。お子さんに「体育を思いっきり楽しんで欲しい」と考える親御さんにぴったりの1冊です。普段の子育てや遊びの中で、簡単にできるトレーニング・生活習慣の改善方法をご紹介しています。運動が苦手なお子さんはもちろん、得意なお子さんにもぴったり。みなさんにオススメです。
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ママだからできる運動神経がどんどんよくなる子育ての本
子育てをがんばるママのみなさんへのオススメは、こちらの1冊。楽しく、簡単にお子さんの運動神経を高められるアイデアが満載です。親子で楽しめる、かわいいイラストや漫画も注目ポイント。学研リトルアスリートクラブのトレーナー・ドクターらの監修で、くわしい解説も満載です。
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1日5分でOK! 小中学生のためのらくストレッチ
運動にニガテ意識をもつ、小学生や中学生のみなさんにオススメしたいのがこちら。おうちでできる簡単ストレッチを8パターンご紹介。付属のDVDで動きをマネして、楽しくからだを動かしてみましょう。1日5分でできるので、お子さんでも毎日続けやすいです。もちろん、親子で取り組んでいただくのもオススメですよ。
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まとめ
学びは、机にむかう勉強だけではありません。からだを動かすことで、さまざまな経験を積むことができます。そして、それらがお子さんの心とからだの成長を支えていくのです。体育の授業やスポーツにニガテ意識を感じるお子さんも、そうでないみなさんも、まずは運動を楽しむ心を大切にしてみませんか? そうすることで、しだいに運動神経も高まっていくことでしょう。
ご紹介した3冊には、お子さんが運動を楽しむための第一歩を応援するヒントがたくさんつまっています。ぜひこの機会に参考になさってくださいね。