知って安心! 子どもと自転車:第4回【自転車と交通ルール】
子どもが自転車に乗り始めたら、しっかりと教えておきたいのが交通ルールです。公道には見落としがちな危険がたくさんあります。
【知って安心! 子どもと自転車】の最終回は、自転車ジャーナリストの遠藤まさ子先生に、親子で確認しておきたい交通ルールなどについて教えていただきます。
小学校高学年でも意外と知らない!? 交通ルール
子どもが自転車で公道を走り始めたばかりの時期は、当分の間は保護者がいっしょに自転車で走ると思います。子どもといっしょに走るとき、保護者が気をつけるべき点を遠藤先生に伺いました。
「お子さんと走るときは、車通りが多い道をなるべく避けるのはもちろん、歩行者の通行量、傾斜の程度、道幅も見て、走行する道を選んでください。また、横並びに並走しないように気をつけましょう。」(遠藤先生)
小学生になると、子どもだけで自転車で出かけるケースも出てきます。その際に気をつけるべきことは何でしょうか?
「1人での自転車移動に慣れないうちは、必ず大人がつき添いをしてください。それに慣れてきたら、近くの習い事の場所や友だちの家などまで、通い慣れたルートを1人で走ることからスタートさせましょう。
道路交通法では、自転車は原則車道を通行しなければなりませんが、13歳未満の子どもは、歩道を自転車で走ることができます。とはいえ、幹線道路の歩道、住宅街の細い道、自転車専用レーンのある道など、地域によってさまざまな道路事情があるので、どこを通るのが適切かの定義は一概にはできません。
ですから、保護者がよく検討して適切なルートを決めてください。そのためにも、最初は子どもといっしょに走って、保護者の目で判断することが大事です。特に子どもが小学校低学年ごろまでは、同行とルート決めが保護者の役目だと思います。」(同)
また、小学校高学年以降でも意外に知らない交通ルールがあると遠藤先生。たとえば矢印信号です。
「自転車は車道を通っているときは、右折以外、矢印信号に従います。矢印信号は、本体の信号が赤信号でも進行方向の矢印が青く表示されていれば進めますが、知らないと信号が赤だと思ってずっと止まってしまいます。こういう見逃しがちなルールは、保護者の方がいっしょに走りながら教えてあげるといいですね。
車に乗っているときに教えるのも一つの方法ですが、目で見ただけのことは実践に結びつきにくいもの。できれば、自転車で走りながら教え、実体験として身につけさせるといいでしょう。」(同)
交通ルール、注意するポイントはココ!
そのほか、自転車に乗る際、気をつけるべき交通ルールやポイントについて教えていただきました。
自転車の並列走行は禁止
「まず、自転車での2列並走は道路交通法違反です。縦に並んで走らなくてはいけませんが、私は大人が後ろにつくことを推奨しています。
子どもは大人に比べて視野が狭く、前方に注意していたら路面は見えないことが多いのです。また、何かを見つけたことで注意がそれることも多く、前方不注意になりがちです。そういうとき、保護者が後ろにいれば、お子さんにすぐに『危ないよ!』と声をかけられます。
もし保護者が前にいた場合、子どもは止まるべきタイミングに気づきにくく、追突してしまう可能性があります。」(同)
グレーチングに注意!
「車道脇にあるグレーチング(側溝などを覆う金属製の蓋)にも注意しましょう。格子の隙間が狭いものはまだいいのですが、隙間の幅が広いと、子ども用自転車のタイヤをとられてしまうことがあります。グレーチングを避けて走るか、そこはスピードを落としてゆっくり走行するように教えておきましょう。」(同)
写真中央の金属部分がグレーチング
子どもが交通ルールを身につけるのは、一朝一夕では難しいものです。だからこそ、お子さんを事故から守るために、時間をかけて繰り返し教えることが大切です。
自転車があれば行動範囲も広がって、楽しみも増えます。今一度、家族で安全な自転車の乗り方や交通ルールの確認をして、楽しい自転車ライフを送りましょう!
執筆/田中絢子