【あした、親子で読みたい本】9月20日は敬老の日! おじいちゃん・おばあちゃんの本
子どもの時に読んで感動した本は、大人になってもずっと心に残るもの。子どもたちが、自分だけの宝物になるような一冊に出合えるように、おすすめの絵本や読み物を元書店員でありJPIC読書アドバイザーの市川久美子さんにご紹介いただきます。
9月の第3月曜日は「敬老の日」です。コロナ禍でおじいちゃん・おばあちゃんと思うように会えなくなった人も多いことでしょう。そんな時は、おじいちゃん・おばあちゃんの絵本や読み物を読んでみてください。お孫さんにとって、お父さん・お母さんと違った雰囲気を持つ、おじいちゃん・おばあちゃんもまたかけがえのない存在ですね。今回は、おじいちゃん・おばあちゃんが主人公の絵本を紹介します。
『いしゃがよい』(福音館書店)
ある日、エンさんは山で大声で泣くパンダの子に出会いました。何か聞いても「ファファ」と泣くだけ。エンさんはパンダを「ファンファン」と名付けて育てることにしました。体の弱いファンファンが病気になるたびに、エンさんは自転車にファンファンを乗せて、ふた山越えて医者がよいです。帰りはいつもエンさんが歌ってくれます。元気に育って大きくなったファンファンは、エンさんのお手伝いをします。長い月日が流れてすっかりおじいさんになったエンさんは、体の具合が悪くなりました。今度はファンファンがエンさんを自転車に乗せて医者がよいです。
わが子が病気になった時、ドキドキしながら看病したことを思い出しました。エンさんとパンダの間に親子の温かい空気が流れるような絵本です。(対象年齢:3歳~)
作:さくらせかい
出版社:福音館書店
定価:990円(税込)
商品詳細:『いしゃがよい』(福音館書店商品ページ)
『おばあさんの飛行機』(偕成社)
田舎の小さな町に、編み物好きのおばあさんがひとりで住んでいました。「あみもの なんでも ひきうけます。」と書いた札がありました。町の人たちに頼まれ、夏から冬にかけて毎日毎日せっせと編み物をしていました。ある日、きれいな模様をしたちょうちょうがやってきて、その模様を編みたくなったおばあさんは、挑戦しますがうまくいきません。何度も何度も編みなおして10日たった日、やっとうまくいきそうな手ごたえを感じました。ところがちょうちょうの模様の肩掛けを編んでいると、その肩掛けが動き始めました。編めば編むほど動きを抑えきれなくなり、この模様で鯉のぼりか飛行機でも編んだらと。さあ、おばあさんは何を作ったのでしょう。
タイトルがヒントでしょうか。わくわくどきどきのおばあさんの冒険が楽しめます。(対象年齢:4歳~)
作:佐藤さとる
絵:村上勉
出版社:偕成社
定価:2,200円(税込)
商品詳細:『おばあさんの飛行機』(偕成社商品ページ)
『ラブリー オールド ライオン おじいちゃん、わすれないよ』(フレーベル館)
レニーのおじいちゃんは森の動物たちの王様です。でもある日、おじいちゃんはすごろくのやり方もレニーの名前も思い出せなくなってしまいました。前みたいに賢くないし王様らしくないし、ときどきおこりんぼうです。そんなおじいちゃんを、森の動物たちはからかいます。そこで、カバおじさんが王様の病気のことをみんなに話してくれました。認知症のおじいちゃんを、孫と森の友だちが支えていく姿が静かに描かれています。(対象年齢:5歳~)
作:ジュリア・ジャーマン
絵:スーザン・バーレイ
訳:こだまともこ
出版社:フレーベル館
定価:1,540円(税込)
商品詳細:『ラブリー オールド ライオン』(フレーベル館商品ページ)
市川 久美子(いちかわ くみこ)
元書店員。JPIC読書アドバイザー。1981年地域文庫の立ち上げに携わる。後に家庭文庫も開く。同じ小学校で15年以上読み聞かせ・語り・ブックトークを行い、作家さんなどの授業も15年企画。市立図書館・中学校図書館勤務の後、1999年より大型書店児童書担当として20年勤務。退職後は、児童書関連の執筆・講演を行う。著書に『ねんねのうた』(佼成出版)がある。