理科・社会の文章題では「気づく力」が必要
「東大式!伸びる子どもに育てる小中学生の勉強術」第18回。
毎日の勉強計画指導まで行う学習塾STRUX・SUNゼミで塾長を務めている橋本拓磨です。
2021年3月末に出版した拙著「10歳からの東大式勉強術」(学研プラス)の内容をふまえ、小学生・中学生のお子様をもつ保護者の方へのアドバイスをお届けしています。
高校受験の「理科」「社会」は暗記科目ではない!
前回から、高校受験で出題される各科目のここ数年の傾向に触れていますが、こうした傾向の変化は理科・社会においても見られます。高校入試全体を通して文章量が増えており、理科・社会でも問題文が長くなっているんですね。(前回記事一覧はこちら)
10年前以前の理科・社会では、「〜とはなにか」「〜について説明しなさい」といった問題や、教科書にあるような実験問題から読み取りをする問題がほとんどでした。そういった問題ばかりであれば読む文章もそこまで多くなく、かつ問題演習を繰り返していれば「見たことある!」となる問題が多いので、比較的対策がしやすい科目でした。よく「理科・社会は出る問題を覚えれば高得点が取れる」「社会は暗記科目」と言われるのはこのためです。
しかし、ここ数年の高校入試では(もっというと大学入試など他の入試でも)、より「思考力」を問う方向にシフトしています。例えば理科の実験問題だと長い前置きで説明が入った上で、教科書では出てこないような実験が出題されることがあります。社会であれば年表や生徒同士の会話、時事問題の中からヒントを探して答える問題など、「長い文章を正確に読んだ上で、知っている知識を答えられるか」という形式が増えているんですね。
長い文章から「どういう問題か」見極める力が重要
このような「文章の長い問題」であっても、高校入試などであれば「知らない知識」が出ることは基本的にはなく、すべて「教科書で説明されている知識」を使えば解けるはずのものなんです。つまり、大事なことは「この実験ではどういうことを明らかにしようとしていて、普段勉強している内容だとどれに近いのか」「この年表の時代はどんな時代だったか」など、すでに習って知っていることを文章中から読み取り、気づくことです。こうした能力を身につけるためには、大前提としてもちろん「きちんと基礎が身についている」必要がありますから、まずは普段の理科・社会の勉強、特に定期テストできちんと復習を重ねていくことが最重要なことは間違いありません。
知っている問題に当てはめられる「気づく力」を日常できたえる
定期テストや普段の授業などできちんと基礎を固めた上で、長い文章を読みながら大切なことを読み取る訓練をさらに重ねていくことが、こうした変化していく入試を解く上での対策になります。そのためには、自分がすでに知っていることと、入試問題で出される初めて見るような問題の「共通点」を探していくことがひとつのポイントになります。
なかなか日常生活でこうした力をつけていくことは難しいですが、簡単にできることとしては「日常で起こる現象や時事ニュースなどに普段の学習をあてはめる」こと。例えば先日行われた自民党の総裁選や今年行われる衆議院選挙などのニュースのときに、公民で習う選挙の仕組みなどを思い出すとか、天気予報を見るときに地理の気候の話、理科の湿度の話などを織り交ぜていくとかでしょうか。掘り下げればいろいろ見つかるはずです。
親御さんからこうしたネタを提供してもいいですし、学校で習った内容を話してもらいながらニュースについても積極的に会話するようにしているだけでも気づきが増えますね。
前回記事「家庭でできる英語『リスニング』『スピーキング』攻略のコツ」第17回はこちら
「『ひとつひとつわかりやすく』中学理科・社会が学べる!」
学研の授業動画はこちら
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監修者:橋本拓磨(はしもと・たくま)
小中高生向け個別指導塾SUNゼミ・大学受験学習塾STRUX塾長。 計画を立て、志望校から逆算して勉強を進めることで東京大学文科1類に現役合格。 地域の差なく全国から正しい勉強法を知ってほしい、そして受験を通して自分に自信を持ってもらいたいという思いから、オンライン塾や勉強法サイト「ストマガ」を立ち上げ、計画の立て方や勉強法を伝えている。