国語の「読解」「作文」対策に「新聞の要約」「読書」は効果あるの?
「東大式!伸びる子どもに育てる小中学生の勉強術」第19回。
毎日の勉強計画指導まで行う学習塾STRUX・SUNゼミで塾長を務めている橋本拓磨です。
2021年3月末に出版した拙著「10歳からの東大式勉強術」(学研プラス)の内容をふまえ、小学生・中学生のお子様をもつ保護者の方へのアドバイスをお届けしています。
入試国語で問われる「読解力」と「表現力」
今回は「国語」、とくに論説文・小説といった現代文について。ここ数年、どの都道府県の公立高校入試でも出題される文章が長くなり、さらに要約問題、意見を述べる問題といった記述式の設問も増えています。長い文章の中から正確に書いてあることを理解する読解力だけでなく、答えを正しく表現する力、自分の考えを正しく採点者に伝える力も求められているわけですね。
ただでさえ問題文が長くなっている上に、記述問題が増えてさらに問題を解くのに時間がかかるようになっています。きちんと普段から対策をしておかないと、直前になってなかなか点数が伸びない……ということにもなってしまいます。入試国語はもちろん他の場面でも重要な「読解力」「表現力」ですから、きちんと身につけておきたいですよね。
入試国語に新聞・読書は効果が薄い?
国語の勉強というと、新聞の社説欄・記事を要約したり、本をたくさん読んだりということを思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。一見文章を正確に読む練習をして、内容を正確にまとめる力をつけるのにちょうど良さそうにも思えますが、こうした練習はいくつか弱点があるんですね。
一つは「新聞記事や中学生が読む本の文章と、入試に出題される文章は性質が違う」ということ。入試で出題される論説文は、基本的に「筆者の言いたいこと」が一つに絞られて書かれていて、結論がはっきりしていることがほとんどですが、新聞の社説はそこまで構成が練られていないこともありますし、ニュースの記事にいたっては意見が書かれていません。入試問題と大きく傾向が違うため、あまり練習にならないことが多いんです。
もう一つは「問題を解くことができない・答え合わせができない」ということ。文章の内容を正確に理解できたかどうかを判断するには、問題を解くことが必須です。新聞記事や本を読むだけでは、自分が正確に理解できているかどうか、問題を解くことができないためわかりません。新聞や本の要約で理解度を測ることもできますが、解答・解説がないため、要約したものが合っているかわからず、こちらも有効に使えないとなってしまいます。
国語は「答え・解説付き」の問題集を使おう
せっかく時間をとって読解力・表現力をあげようとするのであれば、新聞や本をメインで使うのではなく、必ず解答・解説がついている問題集を活用するようにしましょう。中学生向けの市販の問題集は種類が豊富なわけではないので探すのも難しいかもしれませんが、書店でいくつかレベルの合うものを手にとって見てみると良いでしょう。このときに正確に採点ができ、文章の読み方を身につけられるように「解説の手厚さ」を重視して選ぶようにしてくださいね。
次回は「漢字・計算ミス」といったなかなか減らない「ケアレスミス」を防ぐ方法について教えてもらいます。
前回記事「理科・社会の文章題では「気づく力」が必要」第18回はこちら
「『ひとつひとつわかりやすく』中学5科目が学べる!」学研の授業動画はこちら
Information
「10歳からの東大式勉強術」
好評発売中!
定価1,430円
学研プラス刊
監修者:橋本拓磨(はしもと・たくま)
小中高生向け個別指導塾SUNゼミ・大学受験学習塾STRUX塾長。 計画を立て、志望校から逆算して勉強を進めることで東京大学文科1類に現役合格。 地域の差なく全国から正しい勉強法を知ってほしい、そして受験を通して自分に自信を持ってもらいたいという思いから、オンライン塾や勉強法サイト「ストマガ」を立ち上げ、計画の立て方や勉強法を伝えている。