＜学校教育の今＞親世代から激変　教育DXで子どもたちの学びが変わる

「教育DX」という言葉をご存知でしょうか。デジタル庁の新設に加え、文部科学省も経済産業省も力を入れるのが教育DX。今回は、教育DXとは何か、直近の動向と子どもたちの学びについて考えてみます。

教育DXとは

教育DXは、教育分野のデジタル・トランスフォーメーション、つまりデジタル技術による変革の意味です。わかりやすくいうと、学校がデジタル技術を使って、学習やカリキュラム、教員の業務や組織などを変革していくということになります。この“変革”という点がポイント。アナログなものをデジタルに変えて少し効率化するような「デジタル化」ではなく、これまでのあり方をガラリと変えて、学校に変化をもたらすという発想が教育DXです。

教育DXの動向

2019年度から国が次のようなGIGAスクール構想を進めています。

まずはハード面ですが、2021年4月から日本中の学校で生徒1人に1台の情報端末が与えられ、新しい学びがスタートしています。子どもが学校から持ち帰ってくるタブレットやPC端末は、この構想に基づき配布されたものです。さらに、生徒が平等にインターネットにアクセスできるように、通信ネットワークも使えるようになっています。新型コロナウィルスの感染拡大防止のため学校が一斉休校したことで、急ピッチで体制が整えられてきました。

続いてソフト面ですが、こちらは少しずつ整備が進んでいる状況です。ソフト面としては、デジタル教科書やデジタル教材の導入を筆頭に、プログラミング教育などの学習指導がイメージしやすいでしょう。さらに、ビッグデータを利用した教育データの活用も課題となっています。現在のところは、デジタル教科書の導入はあまり進んでおらず、プリント教材をタブレット学習にしたり、民間企業の教育教材を利用するなど、小幅な変容といえるでしょう。
保護者向けの書類を紙ではなく、デジタルで配信する動きも出ています。さらに人材の面でも、教員のICT活用が進むようにと、ICT支援員やスクールサポーターの配置が予定されています。

学びがさらに変わる

2022年以降は、デジタル教科書の整備が進むことが予想されます。デジタル教科書が普及すると、“線を引く”という作業ひとつとっても、方法が変わります。重い教科書を持ち帰る必要がなくなりますし、忘れ物も減るかもしれません。教材もデジタルで対応できるようになると、配布や回収の手間が減り、学習に専念できる時間が増えます。
端末を使うことで、教師は児童全員の理解状況をタイムリーに把握することができるようになり、よりフォローしやすくなるでしょう。すでに一部の学校で始まっていますが、自分の意見をプレゼンシートにまとめて発表したり、オンラインで他校と意見を交わす機会も出てきます。

将来的には、教育データの活用が一層進むことでしょう。AIが自動的に子どもの進度に合わせた教材を選択することも可能になりますし、人によって宿題の内容が変わるかもしれません。全員一律の教育指導から、子ども一人ひとりによりフィットした指導にシフトしていくことも考えられるのです。

いかがでしたか？
教育DXは始まったばかりですが、次に学習指導要領が改訂される頃には、学びが大きく変わっているかもしれません。一人一人の子どもに適した、良い変革になることを期待しています。

参考資料
・「GIGAスクール構想の最新の状況について」文部科学省
【資料１】GIGAスクール構想の最新の状況 (mext.go.jp)
・「教育DXで、子どもたちの学びはどう変わる？経済産業省「未来の教室」事業のこれまでとこれから」経済産業省
教育DXで、子どもたちの学びはどう変わる？ – 経済産業省「未来の教室」事業のこれまでとこれから – (「未来の教室」キャラバン2021#3 × デジタル庁「デジタルの日」) | 未来の教室 ～learning innovation～ (learning-innovation.go.jp)
・「GIGAスクール構想の実現へ」文部科学省
（リーフレット）GIGAスクール構想の実現へ (mext.go.jp)
・「新しい時代の初等中等教育の在り方　論点取りまとめ（概要）」文部科学省
新しい時代の初等中等教育の在り方　論点取りまとめ（概要） (mext.go.jp)