Now Loading...

教育情報

<学校教育の今>2022年度からスタート 小学校でも教科担任制が導入へ

<学校教育の今>2022年度からスタート 小学校でも教科担任制が導入へ

日本の小学校では、これまで学級担任制がとられ、全教科の指導を学級担任が中心になって行ってきました。小学校では「隣のクラスの先生に授業を教わったことがない」のが普通だったのです。今、この制度が少しずつ変わろうとしています。今回は2022年度から小学校に導入される教科担任制についてお伝えします。

教科担任制とは?

教科担任制とは、1人の先生が特定の専門教科を担当し、複数の学級で教える制度です。

読者の方も中学校や高校では、国語の時間には国語の先生に、理科の時間には理科の先生に教わったのではないでしょうか。この中学校や高校で採用されている教科担任制が小学校でも取り入れられることになりました。

小学校高学年でスタート

小学校での教科担任制の導入は長らく議論されてきましたが、2022年度から高学年で導入されることが決まりました。先生の増員も予定されています(※1)。
文部科学省は、中学校へのスムーズな進学を意図して、まずは5、6年生を対象に行うと説明しています。特に近年必修化された外国語、ICTやプログラミングも活用した授業が求められる理科、統計教育やプログラミング的思考が求められる算数、さらに体育について優先的に専科指導の対象とすべきとしています(※2 P.6~7)。

期待される効果

小学校で教科担任制を取ることについて、文部科学省で事前に調査や研究を行った結果、次の4つの効果が期待できることがわかりました(※2 P.3~4)。

【1】授業の質の向上と学習内容の理解度・定着度の向上

先生が専門の教科を持つことによって、教材研究などが進み、授業をより面白く魅力的にできるという効果です。授業の質が良くなることで、子どもたちの学びへの姿勢が変わり、モチベーションもアップして、学力が向上することが期待されています。

【2】小学校から中学校への円滑な接続

中学校に進学すると、完全に教科担任制に変わります。各教科の内容も難しくなることで、さまざまな悩みを抱えてしまういわゆる「中1ギャップ」の課題が出てきます。そこで、中学校での学習や生活に順応しやすくするために、小学校のうちから教科担任制に慣れておくという目的もあります。

【3】多面的な指導

事前調査では、教科担任制を経験した子どもは、授業以外でいろいろな先生と話す機会が増え、悩みなどを相談できる先生が増えたという肯定的な意見が半数を超えていたようです。また、先生からも、学級担任だけがクラスの子どもを把握していたのが、複数の先生で情報を共有できるようになり、指導がしやすくなったという意見がありました。子どもがたくさんの先生から声をかけてもらい、多面的に指導してもらえるようになるのは利点ですね。

【4】先生の負担軽減

小学校の先生の業務負担は大きいと言われています。そのため、先生方の働き方改革が求められています。調査によると、教科担任制の取組を行っている小学校のなかで、高学年の学級担任の時間外勤務が月当たり平均3時間程度減少した学校があったそうです。教科担任制を採用することで授業準備をしなくてよい教科が増え、担当教科に時間が割けますし、余裕をもって子どもたちに接する効果が期待されています。

いかがでしたか?
2022年度から導入される教科担任制は、明治以来、学級担任制を基本としてきた小学校にとっては大きな転換になります。導入されたからには、長期的な視野で政策の効果が検証されていくことになります。課題も指摘されているものの、子どもにも先生にもメリットがありそうですので、実際の効果についての報告に注目が高まっています。

 

参考資料
※1「末松文部科学大臣会見(令和3年12月22日)」文部科学省

※2「義務教育9年間を見通した教科担任制の在り方について(報告)」義務教育9年間を見通した指導体制の在り方等に関する検討会議、文部科学省

マナビスタについて

マナビスタは学研グループの家庭学習応援サイトです。