変わる学校図書館 サブスク・電子書籍の導入も
小学校の図書館(図書室)は、子どもたちが読書を楽しんだり、調べものをしたりできる教育施設です。コロナ禍で登校に制限がかかったことなどをきっかけに、学校図書館が変わりつつあります。今回は学校図書館の今についてお伝えします。
「標準」の達成に向けて
学校図書館では蔵書数などに一定の基準が設けられています。しかし、全国の小学校の調査結果をみると、蔵書数や新聞の配備、学校司書の配置において「標準」が達成できていない学校も少なくありません。
2020年度「学校図書館の現状に関する調査」(※1)によると、小学校で学校図書館図書標準の達成校(学校規模に応じた蔵書数を備えている学校)の割合は、2019年度末時点で71.2%でした。新聞の配備は56.9%、学校司書の配置校の割合は69.1%で、それぞれ年々増加傾向にあり、標準の達成に向けて前進が見られます。
さらに、文部科学省では第6次「学校図書館図書整備等5か年計画」(※2)を策定し、2022年度~2026年度の5年間で、すべての小中学校等において学校図書館図書標準の達成などを目指しています。大規模な予算が確保されているため、今後学校図書館がより充実していくことでしょう。
電子書籍の導入が進む
現在、小学生にアクティブラーニング(子どもが主体的に学び、対話などを通して深い学習をすること)の導入や、GIGAスクール構想が加速していることで、小学生1人に1台の情報端末が与えられています。これにより一部の自治体では、図書館への電子書籍の導入も進んでいます。文部科学省委託の調査(※3)を見ると、2%の自治体が公立学校に電子書籍を導入しています。さらに、公立図書館と学校図書館が連携して、公立図書館が購入した電子書籍を、学校でも活用するという取り組みも行われています(※4)。
また、民間企業の学校向け電子書籍サービスも、続々と登場しています。子ども向け電子書籍のサブスクリプションサービスが、実際に小学校にテスト導入されている事例もあります(※5)。さらに、電子書籍の「いつでも、どこでも読める」という特性から、海外の日本人学校や海外の団体でも利用されています(※6)。学校図書館に電子書籍を導入する取り組みは、この先急速に広がっていくことでしょう。
学校図書館の担う役割と未来
読書活動は「子どもが、言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身に付けていく上で欠くことのできないもの」として、以前から教育現場で重要視されています(※7)。学校図書館は、子どもの読書活動を支援する場としてはもちろんのこと、昨今のアクティブラーニングの推進などにより、調べ学習や発表のための資料を作る場としても、欠かせない存在となってきています。
このようなことから、学校図書館の担う役割は、今後ますます大きくなっていくことでしょう。学校見学や学校公開などがある際には、ぜひ図書館ものぞいてみてくださいね!
参考
※1「令和2年度「学校図書館の現状に関する調査」の結果について」文部科学省
※2「第6次 学校図書館図書整備等5か年計画」文部科学省
※3 「子供の読書活動の推進等に関する調査研究」令和2年度文部科学省委託調査、p19
※4「電子図書館及び電子書籍を活用した子供読書活動推進に関する実態調査」文部科学省、P8-9
※5「活用事例 Yomokka!」ポプラ社
※6 「子ども向け電子書籍のサブスクリプションサービス『学研図書ライブラリー』が海外で大人気!! 35を超える日本人学校や現地団体に採用!!」株式会社学研ホールディングス
※7「子どもの読書活動推進の取組~子どもの読書活動の推進について~」文部科学省