【めざせ☆ピカピカ1年生】小1の夏休みを充実させるために、始まりに心がけたい3つのこと
小学生になって初めての夏休みがやってきました。子どもたちが心待ちにしていた一方で、長い休みをどう過ごさせたらよいのかわからない、宿題を計画的に進められるのか不安という保護者の方もいるのではないでしょうか。
今回は「夏休みの始まりの時期に心がけておきたいこと」について、元小学校の教員であり、大学の客員准教授として活躍されている塩谷京子先生に教えていただきました。
夏休みは子どもが心身ともに成長する大切な期間
長いようでいてあっという間に終わってしまう夏休み。ともするとテレビやゲームばかりでダラダラ過ごしてしまいがちですが、心がけておくべきことはありますか?
「夏休みは、子どもが体も心も大きく成長する大切な期間です。1年生は小学校に入学してからの3か月半で、規則正しい生活リズムや小学生としての生活のしかたが身についてきたところです。そのリズムや習慣を崩すことなく有意義な夏休みを過ごすために、親子で心がけておきたいことが3つあります」(塩谷先生)
心がけ①夏休みの過ごし方を親子でイメージする
まずは、夏休みをどのように過ごすかを親子でイメージすることが大切です、と塩谷先生。
「小学生になって初めての夏休みを迎える子どもたちは、ワクワクしていると同時に、やるべき宿題が出されていることで少し不安も感じているかもしれません。そこで、夏休みの過ごし方をイメージする時間を親子で作ることが、ステキな夏休みにするための第一歩として重要です」(同)
「夏休みは1学期の間に学校でしてきたことを、家でやる期間と考えるとわかりやすいですよ」と塩谷先生。
「たとえば、お子さんに『いつも学校でどんなことをしてるの?』と尋ねてみてください。勉強、給食、掃除、昼休みに友達と遊ぶ……いろいろ教えてくれると思います。『それらを家でやる期間が夏休みなんだよ』と伝えてみましょう。
なかには『学校の外にも出かけたよ』と話すお子さんもいるかもしれませんね。その時は、『同じように、家族でお出かけする日を作ろうか!』と、親子でコミュニケーションをとりながら夏休みをどう過ごすかを考えていくといいと思います」(同)
学校でしていることを家でもできることとしてとらえると、夏休みの過ごし方が具体的に見えてきますね。
「学校で過ごしていた時間が家や学童保育で過ごす時間に置き換わると考えると、朝食や昼食の時間が定まり、勉強や体を動かす時間、遊ぶ時間の大体の割合がわかり、夏休みの過ごし方をイメージしやすいでしょう。
通常の日にやるべきことのだいたいの項目が出てきたら、夏休みのタイムスケジュールをざっくりと立てます。『細かく立てすぎないこと』と『予定なので変更はあって当たり前』の二つを意識しながら、タイムスケジュール表を作ってみるといいですね。目に見える形にすることで、具体的な夏休みの1日の過ごし方をお子さんが実感できますよ」(同)
心がけ②夏休みを過ごすための「自分の場所」を作ろう
「家での過ごし方時間が定まってきたら、次は子どもが夏休みに主に過ごす場所を作ります。学校の教室に自分専用の机やロッカーがあるように、家の中にも子ども専用のスペースやコーナーを作ってあげるといいですね。
『学校では教科書やノートはどこに置いてるの?』とひとつひとつ子どもに聞きながら、『そういう場所をおうちでも作ろうね』と夏休み用の場所を作っていきましょう」(同)
いつも宿題をしている机ではダメでしょうか?
「もちろんそれでかまいませんが、たとえばデスクマットに挟んでいるシートを変えたり、夏休み初めの仕事として机周りを整理したりして、雰囲気を変えた夏休み仕様にしてあげるといいと思います。すると、視覚的にも『夏休み』だと意識できます。ここで夏休みを楽しく過ごしたいなと思えるような場所を、子どもと相談しながら作りましょう。
また、周りによけいな物があると宿題に集中できません。使わないおもちゃなどはもちろんですが、夏休み前に学校から持ち帰ってきたものも、夏休みに使わないものは見えない場所に片付けてしまうのがおすすめです」(同)
学校で使っているものまで片付けるのはなぜですか?
「今は『夏休み期間』なんだと気持ちを切り替えることが目的です。夏休みは、普段よりもずっと長い時間を家で過ごすことになります。家での過ごし方を学ぶ大切な時期でもあるのです。
たとえば、『夏休みに使わないランドセルは、学校が始まるまで大切にしまっておこうね』、『学校で毎日使っていた道具箱もしまおうか』、『夏休みに使う文具は引き出しに入れておく?』というように、話し合いながら机周りを夏休みモードに変えていきます。そうやって環境を整えることで、子どもは『夏休み』をしっかり意識して過ごせるようになります」(同)
心がけ③夏休みの宿題を内容で分類しよう
「夏休みの1日の過ごし方が分かり、過ごす場所が作れたら、次はいよいよ宿題について考えます。まずは、『どんな宿題が出た?』と宿題の内容を確認させて、ひとつひとつカードや紙に書き出させていきます。
書いたカードは、いつも目に触れる場所に貼ったり、机のシートに挟んでおいたりしておきます。こうしておけば、親子ともにどんな宿題があったか忘れませんよね。
すべてカードに書けたら、次は色をつけたり、印をつけたりするなどの方法で、『1人でやることができる楽しい宿題』と『おうちの人といっしょにやりたい宿題』に分けてみましょう」(同)
宿題を二つに分類するのはなぜですか?
「親子で話し合いながら二つに分類すると、宿題をどう進めていくかを子どもがイメージしやすくなるのです。1人でやると言ったものはもちろん1人で、いっしょにやりたいと挙げたものは、最初からそばでいっしょにやってあげましょう。はじめにこの分類をすることで、この先何でもかんでも親に依存することなく、自分自身で宿題や課題に取り組んでいく姿勢が育めます。
そして、宿題の分類をすると、最初に立てたタイムスケジュールを調整していくことができます。親といっしょにやりたい宿題は、夕飯後など親の手が空く時間や、週末などに。1人でできる宿題は午前中に1人でやるなどのように、夏休みの過ごし方やスケジュールがより具体的になりますし、生活のリズムを崩すことなく過ごせるようになりますよ」(同)
子どもの自主性を尊重しながら、親子で話し合って考えていくということが何より大切なのですね。
今回ご紹介した3つの心がけを夏休みのスタート時期に取り組んでおけば、8月後半になって「まだ宿題をやってないの? 小学生なんだから自分でやりなさい!」なんて叱らなくてもよくなりそうですね。
初めての夏休みをより楽しく過ごすために、そしてこれから何回も巡ってくる夏休みをより豊かな期間にするために、小1の夏休みの始まりの時間を大切にしましょう!
(取材・執筆:水谷映美)
※こちらの記事は学研「ママノート」に掲載された記事を再編集したものです。