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お金

【おこづかい帳で学ぶ『お金の使い方』】第1回 目的別おこづかい帳で、お金の計画的な使い方を学ぼう!

【おこづかい帳で学ぶ『お金の使い方』】第1回 目的別おこづかい帳で、お金の計画的な使い方を学ぼう!

おこづかいを渡すとき、「無駄づかいはしちゃダメよ!」と言ってしまうことはありませんか? でも、子どもは「無駄づかいはダメ」と言われても、何が無駄で何が無駄ではないのか、判断ができないことも。子どもが「何かが欲しい。おこづかいを使いたい」と思ったときに、本当にそれが必要なのか、お金を使う価値があるのかを考えてお金を使えるようになってほしいですよね。そこで今回は、税理士の杉井俊文さんに子どものおこづかいとおこづかい帳についてお話を聞きました。
記事の途中には、無料でダウンロードできる杉井先生ご監修の「オリジナルおこづかい帳シート&計画シート」もあります。ぜひお子さまといっしょに話し合いながら使ってみてください。

「お金との付き合い方」、子どもにどう教える?

我が子にお金との付き合い方をどのように教えるか、悩んでいる保護者の方は多いと思います。おこづかいの渡し方は家庭によってさまざまですが、小学校中学年以降は、基本的に毎月決まった金額を決まった日に渡すのがおすすめです。毎月定額が入ってくることで、『お金を管理する』『計画性をもってお金を使う』といったトレーニングができるようになるからです。

お金を自己管理できるようになるためには、自分でおこづかい帳をつける習慣が大切です。おこづかい帳をつけることによって、「お金とは、ただ親にもらうものではなく、自分自身でコントロールするものなんだ」という感覚を身につけてほしいと思います。

では、おこづかい帳のつけ方のコツについてお話しします。一般的なおこづかい帳は、「入ったお金」「使ったお金」「残高」の3列構成が基本的な形になっています。しかし、ひたすら金額を書くだけだと飽きてしまいがちです。そこで今回、おこづかい帳に「自分のため」「家族のため」「誰かのため」という3つの目的欄を加えたものをマナビスタ用に作成いたしました。

「オリジナルおこづかい帳&計画シート」(Excel)をダウンロード
(表計算ができる仕様になっています)

「何のためにお金を使うのか」を考えるのは、実は子どもにとっていちばん大事なこと。特に現代社会では自分で事業を始める人も増えています。何のために使うのか、何のために稼いだのかというように、お金を理由・目的と紐づけて管理するマネージメント能力が問われるようになってきています。

書く欄は多いのですが、書き方はとてもシンプルです。「どんな気持ちでお金を使ったのか」をひとつずつ考えて書き出しましょう。子どもは欲しいものを闇雲にねだることがありますが、「なぜ、何のために欲しいのか」まで考える機会はあまりありません。おこづかい帳にそのときの気持ちを書くことで、「あれ? ほんとうにこれは必要なものだったのかな?」や、「このためにお金を使ってよかったな!」など、「お金を使う目的」をじっくり考え、使い方を見直す機会になればよいと思います。

おこづかいは渡した後が肝心! 「子ども決算」でお金について話し合う機会を

みなさん、おこづかいを渡しっぱなしにしていませんか? 計画性をもってお金を使うのは大人でもなかなか難しいことです。そこで、おこづかい帳を見ながら親子でお金の使い方について話す、「子ども決算」の機会を設けてみてください。子ども決算は、毎月のおこづかいを渡すときにするとよいと思います。おこづかい帳を見ながら、「前月はどういう使い方をしたのか」を親子でいっしょに振り返って話し合います。そして、今月のおこづかいの使い方や、少し先までの使い方(長期的にお金をためて手に入れたいもの)について検討してみましょう。

ここで注意したいポイントは、使い過ぎや無駄づかいを叱るのではなく、「何のために使ったのか」をきちんと聞いてあげること。欲しいものを買うために目標を立てる場合、どのようにお金をためていけばよいかアドバイスしてあげましょう。

また、お年玉などで大きな金額をもらったときは、子ども名義で銀行に預けるのもよいでしょう。ただ、預金は子どもが一人ではおろせないものなので、おこづかい帳の金額には含めずに、手持ちにあるお金だけでやりくりさせるのがおすすめです。手持ちのお金では足りないけれど、欲しいものがあるときは貯金から引き出して買うかどうかなども、子ども決算で相談できるといいですね。

お手伝いの対価としてお金をもらうのはあり? なし?

子どもたちが大人になるころには、副業する人がさらに増えるなど、いろいろな働き方が選べ、「お給料をもらう時代」から「さまざまな手段で自分で稼ぐ時代」になる可能性が高いと思います。お金を稼ぐということがどんなことなのかイメージできるようにしておきたいですよね。そのために、お手伝いをした時にお駄賃としておこづかいを与えるのも一つの手段です。しかし、お金をもらえないとお手伝いしないという「ごほうび目当て」になってしまうとしたら、考えものです。

私たち大人が何のために働いているのかを考えると、お金のためということはもちろんありますが、根底には社会をより良くしたり、誰かを幸せにしたりしたいという理念があると思います。
そこで、子どものお手伝いにも「この仕事をしてくれたら家族が助かる!」といったメニュー表の作成を提案したいと思います。「お母さんが助かるお手伝い」、「お父さんが助かるお手伝い」というふうにメニュー化することで、「これを手伝うと誰かが助かるから、お金がもらえるんだ」という意識が芽生え、それが「稼ぐ」ことの意義の自覚、ひいては将来の仕事観につながっていくかもしれません。
お駄賃のルールを決めずに、「今日はお母さんの機嫌がいいから100円ね」では、子どもが計画的にためることもできず、せっかくのお手伝いを通した「お金の教育」の効果が薄れてしまうので、家庭できちんとルールを作ることが大切です。

お金を使う時の気持ち、お手伝いをしてお駄賃をもらう時の気持ちなど、お金と「感情」を結びつけることで、親子ともにお金についてより深く考えるきっかけになりますよ。

執筆:宇都宮薫

第2回の記事はこちら⇒第2回 キャッシュレス化が進む中、どうお金を管理させる?

杉井俊文(すぎいとしふみ)

監修者:杉井俊文(すぎいとしふみ)

税理士。杉井俊文税理士事務所。税務と会計について、子どものお金に関する教育から、高齢者の相続問題まで、社会性の強い分野を幅広く取り扱っている。サステイナブルな会計をテーマに、現在社会の課題に対応できる税理士事務所を目指している。 立教大学大学院社会デザイン研究所研究員。

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