【美しいイラストで知る 歴史をつくった女性人物ストーリー】 第3回 障害を乗り越えて、世界中に感動を与えた女性<ヘレン=ケラー>
教科書などを読むと、男性の歴史人物を多く目にする印象がありますね。でも、世界・日本の長い歴史の中には、歴史をつくる活躍をした女性も数多くいるのです。
ここでは、多くの困難に立ち向かいながら、信念を貫き、功績を残した女性たちの姿を美しいイラストとともに紹介します。歴史をつくった女性たちのストーリーを入り口に、日本や世界の歴史を知る旅に出かけましょう。
12月3日は国際障害者デー。第3回は、幼いころ視力と聴力、そして話す力も失いながらも、教育や福祉活動に一生を捧げた女性を紹介します。
ヘレン=ケラー (1880年~1968年/アメリカ)
サリバン先生との運命的な出会い
ヘレン=ケラーは、1歳と7か月のとき、重い熱病におそわれて、視力と聴力を失い、話すこともできなくなってしまいました。そんなヘレンをかわいそうに思った両親はしつけができず、ヘレンにわがまま放題をさせてしまいます。彼女が成長するにつれ、きちんと教育を受けさせる必要性を感じた両親は、ヘレンが7歳のとき、ひとりの家庭教師を見つけてきます。その人こそ、ヘレンをその後約50年にわたって支えることになるアン=サリバンです。
サリバン先生は厳しく、しかし愛情を持ってヘレンに接し、まず指文字※を使ってすべての物には名前があることを教えていきました。その献身的な教えによって、ヘレンは言葉を覚え、知識を増やしていきます。
「もっと勉強したい。大学に行きたい!」
ヘレンは大学入学を考えるようになります。そして、猛勉強の末、見事合格。サリバン先生は目に涙をためてヘレンを抱きしめ、祝福しました。そして、入学後もヘレンは努力を続け、優秀な成績で大学を卒業しました。
※ 指文字…文字を手の形で表したもの。形を見て判読することもあるが、ヘレンの場合は見ることができないため、サリバン先生はヘレンの手のひらで触らせて伝えた。
世界中の障害を持つ人のために
「自分の一生を、自分と同じような障害を抱える人のために捧げたい」
大学を卒業したヘレンは、アメリカ各地を、さらには世界各国を講演して回りました。自分がどうやって障害を乗り越えたか、という話をして、自分と同じ障害を抱える人たちを励ましたのです。障害を持つ人の教育や福祉の充実を訴え、社会的弱者を救うための協力を求めていきます。
ヘレンのこのような活動は、87歳で亡くなるまで続きました。
【歴史解説】彼女が生きたのはどんな時代?
“ロシア革命がおこる! (1917年)”
第一次世界大戦中、ロシアで戦争や皇帝の専制に対して国民の不満が高まり、ロシア革命が起こりました。そして、社会主義者のレーニンの指導で、世界で初めての社会主義※の政府が成立しました。
※ 社会主義…生産のもとになる土地や機械を社会全体のものとして共有し、平等な社会をつくろうとする考え。
“シベリア出兵が始まる! (1918年)”
ロシア革命による社会主義の拡大を恐れたアメリカやイギリス、フランス、日本などは、革命で成立した政府を倒すために、ロシア東部のシベリアに軍を派遣(シベリア出兵)。しかし、この試みは失敗し、1922年にはソビエト社会主義共和国連邦(ソ連)が成立しました。
出典
『歴史をつくった女性大事典<1>古代~近世の巻』
『歴史をつくった女性大事典<2>近代~現代の巻』
学研プラス(編)/監修:服藤早苗(埼玉学園大学教授)
各定価:3,520円(税込)