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【美しいイラストで知る 歴史をつくった女性人物ストーリー】 第4回 ノーベル賞を受賞した女性たち<マリ=キュリー/マザー=テレサ/ワンガリ=マータイ>

【美しいイラストで知る 歴史をつくった女性人物ストーリー】 第4回 ノーベル賞を受賞した女性たち<マリ=キュリー/マザー=テレサ/ワンガリ=マータイ>

教科書などを読むと、男性の歴史人物を多く目にする印象がありますね。でも、世界・日本の長い歴史の中には、歴史をつくる活躍をした女性も数多くいるのです。
ここでは、多くの困難に立ち向かいながら、信念を貫き、功績を残した女性たちの姿を美しいイラストとともに紹介します。歴史をつくった女性たちのストーリーを入り口に、日本や世界の歴史を知る旅に出かけましょう。

毎年、12月10日はノーベル賞授賞式。この日はノーベルの命日でもあります。第4回は、物理学賞・化学賞・平和賞で、ノーベル賞を受賞した女性たちを紹介します。

マリ=キュリー (1867年~1934年/ポーランド・フランス)

科学者であるキュリー夫妻、マリとピエールは、1898年に二人が発見した元素「ラジウム」を、さらに純粋な状態でウラン鉱石の中から取り出すという、地道な研究を続けていました。ラジウムは、放射線を出す物質で、医療や工業への利用が期待されていましたが、ウラン鉱石からそれを取り出すのはとても大変な作業だったのです。目に見える量のラジウムを取り出そうと、二人は努力を続け、作業を始めておよそ4年後、0.1gの純粋なラジウムを取り出すことに成功しました。

1903年、ラジウムの発見などの功績によって、二人はノーベル物理学賞を受賞します。マリは女性として初めての受賞です。この受賞によりピエールは夫妻の母校・フランスのソルボンヌ(パリ大学)の教授に迎えられ、マリも実験主任となります。
しかし、研究者として安定した生活が始まった矢先、ピエールが馬車にひかれて亡くなってしまいます。悲しみに暮れるマリでしたが、やがてピエールの分まで研究を続けることを決意します。ピエールの後を継いでソルボンヌの教授となったマリは研究を続け、1911年にその業績に対して、ノーベル化学賞を授与されました。

マザー=テレサ (1910年~1997年/マケドニア<旧ユーゴスラビア>・インド)

キリスト教の信仰にあつい家庭で育ったテレサは、12歳のときに修道女になることを決意。18歳からは当時のイギリス領インドにわたり、修道院に付属する学校で、上流階級の子どもたちを教えながら修道生活を送りました。30歳を過ぎたころ、修道院の外に広がるスラムで、多くの人たちが飢えや病気に苦しんでいる現実を目の当たりにし、生き方に疑問を持ちます。そして、「全てを捨てて、本当に貧しい人たちに仕えなさい!」という神の声を聞いたテレサは、修道院を出てスラムで活動することを決意しました。
スラム…都市部で貧しい人々が集まっている地域。

スラムでテレサは、貧しい人たちのために献身的に働きました。その姿に心を打たれた人々は、テレサを「マザー・テレサ(母なるテレサ)」と呼ぶようになり、テレサの活動に賛同して協力する人たちも増えていきました。

1979年、テレサはノーベル平和賞を受賞します。授賞式でテレサは、「わたしは貧しい人たちに代わって(賞を)頂くことにしました」とスピーチしました。テレサは、自分が賞を受けることで、貧しい人たちがいるという現実を皆が思い出してくれると考えたのです。

ワンガリ=マータイ (1940年~2011年/ケニア)

アフリカのケニアにある緑豊かな村に生まれたワンガリ=マータイは、成績優秀で、国費でアメリカの大学に留学して動植物について学びました。アメリカから帰国したマータイは、生まれ故郷の姿に驚きます。
人々が木を切って売り払い、土地が砂漠のように荒れ果てていたからです。農作物や新鮮な水がとれず、動物の姿は見当たらず、病人も増えていました。
マータイは、家の裏にあった木を取り戻すことから始めようと女性たちに声をかけ、木を育てる方法を教えて回りました。少しずつ森はよみがえり、人々は健康を取り戻し、仕事を得た女性は自立できるようになりました。この「グリーンベルト運動」はアフリカ中に広がり、マータイは2004年にアフリカ人初、また環境分野で初となるノーベル平和賞を受賞しました。

環境を守ることの大切さを世界中で訴えていたマータイは、2005年に来日したとき、「もったいない」という日本独自の言葉に出会い、物を大切に使い、無駄にしないという精神に感激します。
「資源を有効活用し、自然の恵みに感謝する『もったいない』を世界に広めよう!」
マータイは国際会議でMOTTAINAI(もったいない)」を環境保護の合い言葉、世界共通語として紹介しました。

【歴史解説】彼女たちが生きたのはどんな時代?

マリ=キュリーが生きた時代 “野口英世が黄熱病で亡くなる (1928年)”
福島県の農家に生まれた野口英世は、努力の末、アメリカにわたってヘビの毒の研究などで成果を上げた細菌学者です。1928年、アフリカで黄熱病を研究中、自身が黄熱病に感染して亡くなりました

 

マザー・テレサが生きた時代 “ガンディが暗殺される! (1948年)”
インドの独立運動の指導者であったガンディは、第一次世界大戦後、「非暴力・不服従」を唱え、イギリスの支配には従わないという抵抗運動を指導しました。第二次世界大戦後に、インドは独立を果たしますが、ガンディはヒンドゥ教徒との宗教をめぐる対立から、1948年に暗殺されました。

 

ワンガリ=マータイが生きた時代 “アメリカ同時多発テロ発生! (2001年)”
2001年9月11日、イスラム教過激派にハイジャックされた民間航空機が、ニューヨークの世界貿易センタービルなどに突入する、アメリカ同時多発テロが発生。これを理由に、同年アメリカはアフガニスタンを攻撃しました。

 


出典
『歴史をつくった女性大事典<1>古代~近世の巻』
『歴史をつくった女性大事典<2>近代~現代の巻』
学研プラス(編)/監修:服藤早苗(埼玉学園大学教授)
各定価:3,520円(税込)

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