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コラム・マンガ

チームになる~病院通いの子どもを支援する~ ・前編

チームになる~病院通いの子どもを支援する~ ・前編

あかはなそえじ先生の院内学級の教師として学んだこと「第28回」

院内学級の教師として、赤鼻のピエロとしてかかわるなかで、笑顔を取り戻し、治療に向かう意欲を高めていく子どもたち。その経験をもとに、子どもとの接し方や保護者・家族とのかかわり方、院内学級の必要性、教育の重要性などについて語ってくれます。

~子どもを真ん中に置いて~

「病気で入院しているお子さんにとって、よりよい形を作っていくためには、かかわる人たちがそれぞれの立場の専門性を尊重してつながる必要があります。そのときにこそ“子どもを真ん中に置く”という立ち位置が、とても大切であると感じています」

今から10年ほど前に私が提案していたことです。わかりやすく図で表すとこのような感じです。

場合によっては、この図にある方々のほかに、保健室の先生や特別サポート教育コーディネーター、スクールカウンセラーなど、お子さんのおられる学校の方々に入っていただくこともあるでしょう。子ども家庭サポートセンターや児童相談所、また警察の方などに加わっていただくことがあるかもしれません。

私がかかえていた「チームでかかわる」「チームになる」というイメージは、このような形のものでしたし、子どもたちに真ん中にいてもらうことで、協力をしてきました。当時はまだ「ようやく協力をしてこられるようになった」というのが本当のところです。

病院という組織の中で、教育を担う立場の教師の存在が大切であると考えてもらうためには、教師が病院に通う子どものことを病院スタッフと一緒に考えることができる人間であることが大事です。逆に、教育という立場からの見方や知識が病気を治すことにおいても役に立つということを、スタッフに知っていただく必要もありました。

その必要性を感じていた病院スタッフの協力を得て、少しずつですが、病院の中に教育関係者がいることを当たり前に思ってもらえるようになっていき、特に病院師長さんの理解はその動きを大きく進めてくれました。

~病院関係者と学校関係者がチームになる~

病院スタッフが、看護師さんを中心とした勉強会で「ADHDの子どもへのかかわり方」や「不登校の児童生徒の理解」などをテーマとして取り上げてくれました。
その会でお話をする機会をいただいてから、みなさんに、病院でのかかわりや退院に向けて、子どもたちのことを教育や発達の面からも理解する必要性を感じていただいております。

何より大きかったのは、子どもの変化ですし、そのベースとなったのが私自身の認識の変化でした。それは、院内学級のとても大きな役割が「病気を治すエネルギーを貯めること」であると思えたことです。

入院している子どもたちにとっての第一は病気を治すことです。たしかに、学力の保障やスムーズな学校復帰も大切なのですが、それを教師側が前面に主張しても、病院者の理解は得られません。
「明日も学校に行きたいから、薬をしっかり飲むよ」「注射は痛いけど、がんばっちゃう」「毎晩、早くねるよ」――こんなエネルギーを子どもたちが院内学級で持てたとき、また「教育」がそれを担えたときに、これまで教育について優先順位があまり高くなかった病院スタッフたちの人たちとも、つながることできるようになったのです。

そして、このときは「子どもを真ん中に置く」という立ち位置が、チームでのかかわりを大きく前進させることに、有効であったと思えたのです。が、その約2年後に、私の考え方が少し変わっていきました。

次回は「子どもをまんなかに置く」という、あかはな先生の考え方に変化があったお話をお伝えします。

前回記事第27回はこちら。

Information

「あかはなそえじ先生のひとりじゃないよ」
四六判・全248ページ
1400円+税
学研教育みらい刊

あかはなそえじ先生・副島賢和(そえじま まさかず)

筆者:あかはなそえじ先生・副島賢和(そえじま まさかず)

昭和大学大学院保健医療学研究科准教授、昭和大学附属病院内学級担当 1966年、福岡県生まれ。東京都の公立小学校教諭を25年間務め、 1999年に都の派遣研修で東京学芸大学大学院にて心理学を学ぶ。 2006年より品川区立清水台小学校教諭・昭和大学病院内さいかち学級担任。2009年ドラマ『赤鼻のセンセイ』(日本テレビ)のモチーフとなる。2011年『プロフェッショナル 仕事の流儀「涙も笑いも、力になる」』(NHK総合)出演。2014年より現職。学校心理士スーパーバイザー。ホスピタルクラウンとしても活動中。

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