【美しいイラストで知る 歴史をつくった女性人物ストーリー】 第5回 飛行機による女性初の大西洋横断を成しとげた女性<アメリア=イアハート>
教科書などを読むと、男性の歴史人物を多く目にする印象がありますね。でも、世界・日本の長い歴史の中には、歴史をつくる活躍をした女性も数多くいるのです。
ここでは、多くの困難に立ち向かいながら、信念を貫き、功績を残した女性たちの姿を美しいイラストとともに紹介します。歴史をつくった女性たちのストーリーを入り口に、日本や世界の歴史を知る旅に出かけましょう。
12月17日は、1903年にアメリカのライト兄弟が動力飛行機の初飛行に成功した日であることから、「飛行機の日」とされています。第5回は、飛行機による女性初の大西洋横断に成功した、アメリア=イアハートを紹介します。
アメリア=イアハート (1897年~1937年?/アメリカ)
女性飛行家レディ・リンディ!
アメリカでライト兄弟が動力飛行機の初飛行に成功してから、航空技術は目覚ましく進歩しました。1927年には、アメリカの青年リンドバーグがアメリカ—フランスの間の大西洋横断単独無着陸飛行に成功。その翌年、女性を加えたパイロットチームでの大西洋横断飛行計画が持ち上がり、アメリアに声がかけられました。
「こんなすてきなチャンスを逃すことはないわ!」
アメリアは、大学生のときに飛行機に同乗してから、空を飛ぶ魅力にすっかりとりつかれていました。そして、30歳の時、チャンスが訪れたのです。パイロットチームの一員となり、1928年6月に大西洋横断飛行をした最初の女性となったのです。この4年後、アメリアは女性初の大西洋単独横断飛行に成功。リンドバーグにちなんで「レディ・リンディ」と、もてはやされました。
女性の地位向上を目指して飛ぶ!
その後のアメリアは、ハワイからアメリカ本土までの単独飛行にも成功するなど、女性パイロットとして不動の地位を築きます。そんなアメリアは、「私が飛ぶのは、飛行技術の向上をうながすためでもあるのです」と言っています。
その一方で、「ナインティー・ナインズ(99人の会)」※という組織の設立にかかわるなど、女性パイロットの地位向上にも力を注ぎました。
「男性にできて女性にできないことはないわ!」
パイロットになるという夢を実現させたアメリアは、その夢のとおりに人生を飛んだのです。
※ナインティー・ナインズ…女性パイロットを支援する団体で、99人の女性が入会したことが名前の由来。アメリアが初代会長を務めた。現在は6000人を超える女性パイロットが参加する国際組織に発展。
1937年、アメリアは調査目的で赤道上世界一周飛行に出かけましたが、途中で行方不明となってしまいます。法的には1939年に死亡が認められましたが、遺体が発見されなかったこともあり、どこかで生きているといううわさが絶えることはありませんでした。
【歴史解説】彼女が生きたのはどんな時代?
“世界恐慌が始まる! (1929年)”
1929年10月、アメリカのニューヨークで株価が大暴落して不景気となり、この不景気が世界中に広まって世界恐慌となりました。独自の経済政策を進めていたソ連(現在のロシア)は恐慌の影響を受けませんでした。
“ニューディール(新規巻き直し)政策が始まる! (1933年)”
1933年、アメリカ大統領に就任したフランクリン・ルーズベルトは、世界恐慌から抜け出すために、大規模な公共事業をおこして失業者を助けるなどの政策を進めました。これを「ニューディール(新規巻き直し)政策」といいます。
出典
『歴史をつくった女性大事典<1>古代~近世の巻』
『歴史をつくった女性大事典<2>近代~現代の巻』
学研プラス(編)/監修:服藤早苗(埼玉学園大学教授)
各定価:3,520円(税込)