どうやって子どもをほめればいいの?~具体的なほめ方5選!~前編
あかはなそえじ先生の院内学級の教師として学んだこと「第46回」
院内学級の教師として、赤鼻のピエロとしてかかわるなかで、笑顔を取り戻し、治療に向かう意欲を高めていく子どもたち。その経験をもとに、子どもとの接し方や保護者・家族とのかかわり方、院内学級の必要性、教育の重要性などについて語ってくれます。
~「私、ほめられるの、苦手です」 ~
今から5年ほど前、ある学校の校内研修会で「ほめ言葉シャワー」というワークを行ったときに、担当の先生が伝えてくれたひと言です。 「ほめ言葉シャワー」とは、ソーシャルスキル教育におけるワークの一つです。
当時、いろいろな学校で授業を見せていただく機会があり、お話をさせていただくことも増えました。ですが、そういった機会が増えるたびに「どのようなことを、どのように伝えていくといいのだろう」といろいろ考えさせられました。その中の一つが「ほめる」ということでした。
教師は、子どもたちとのかかわりの中で「指導」「助言」「ほめ言葉」などについて、とても多くのことを考えています。あらゆる職業の中でも「ほめ言葉」をたくさん使う仕事だと思います。もちろん、それは保護者の方も同様ですね。
しかし、いつも「ほめ言葉」が子どもたちにヒットするとはかぎりません。時にはそらぞらしく聞こえてしまったり、言うタイミングがずれてとてもむなしい言葉になったり、あるいは言うチャンスをのがしてしまったり。 どうしたら、ほめることがうまくなるのでしょう。
「子どもたちをほめてあげましょう」「ほめながら育てましょう」と、よく言われますが、どのような言葉でほめるのか、どのようなタイミングでほめるのか、どのような声でほめるのか、など、ほめる練習をする機会はほとんどありません。
練習をしていないものは、それを行うとき、たよれるのは自分の経験のみ、自分の体験からのみ探り出すことになってしまいます。
ですから、初めにお話したの先生のように「ほめられることが苦手である」と思っている教師は、「ほめる」ことを練習し、バリエーションを身につけていく必要があると考えました。そこで、校内研修会や保護者会などで「ほめ言葉シャワー」を行う機会をいただいたわけです。
「ほめ言葉シャワー」は教師だけに有効、というわけではありません。子どもにかかわるすべての大人たちにぜひやってみてほしいワークです。
~「ほめ言葉シャワー」とは?~
「ほめ言葉シャワー」では、グループになって「ほめ言葉」をたくさん集めるのですが、集めてみると「こんなほめ言葉もあったのか」「私のキャラクターだと言うのが難しいなぁ」「この言葉は相手に気に入ってもらえそうだ」と、新しい発見があります。
また「ほめ言葉」を伝えるロールプレイになると、はじめは照れくさそうに参加されていた方が、自分がほめてほしいと思っていたことを周りの方からほめられ、とてもうれしそうにどんどん輪の中に入りこんでいきます。中には、涙を流される保護者の方もいらっしゃったほど。
ほめる役の人は、自分のほめ方の法則性を知ったり、ほかの人のほめ方を参考にレパートリーを増やしていったりします。
フィードバックの時間では、ほめられるときの心持ちや、ほめることの難しさなどが話題に上がります。このように、少しでもほめ方、ほめられ方を豊かにしていっていただけたらうれしいです。
教室で「ほめ言葉」を発するとき、私も難しいなと感じていたことがありました。
私自身が、子どもたちのことを「そんなことは当たり前だ」と思ってしまったら、「ほめ言葉」は出てこないからです。
次回の後編では、具体的なほめ方をお伝えします。4W1Hに照らし合わせて、子どもたちの「何をほめるのか」「いつほめるのか」などを考えていきたいと思います。ぜひご覧になって実践してみてくださいね。
前回記事
第45回はこちら。
Information
「あかはなそえじ先生のひとりじゃないよ」
四六判・全248ページ
1400円+税
学研教育みらい刊