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コラム・マンガ

退院をしてもどる子どものためにできる11の工夫 

退院をしてもどる子どものためにできる11の工夫 

あかはなそえじ先生の院内学級の教師として学んだこと「第54回」

院内学級の教師として、赤鼻のピエロとしてかかわるなかで、笑顔を取り戻し、治療に向かう意欲を高めていく子どもたち。その経験をもとに、子どもとの接し方や保護者・家族とのかかわり方、院内学級の必要性、教育の重要性などについて語ってくれます。

 こんなとき、あなたならどうする?

小学校のクラスに入院をしていた友だちがもどってきたら、私たちはどのように接するでしょう。たとえば、松葉づえを使う友だちがもどってきたら? 車いすに乗っている友だちの場合だったら? 学校の先生はもちろん、お父さんお母さんも子どもと一緒に考えてみてくださいね。 

先生はクラスの子どもたちに、その子のお手伝いをたのみます。プリントを配ってあげたり、ノートを写してあげたり、道具を持ってきてあげたり、給食を運んであげたり……。「お手伝い係」や「お世話係」までつくるかもしれません 

子どもたちは、教師の意図を読んで動いてくれます。そして先生が言います。 

「みんな、すてきです」「やさしい子ばかりですね」 

そうすると、とくに低学年ではもっともっとお世話をする子が増え、先生が思います。 

「子どもたちが育ってきてくれた」「すてきなクラスになってきている」 

私もそういう先生でしたし、もちろん、こういったことはすばらしいことです でも本当にそれは、退院した子どものためのかかわりといえるでしょうか?

「あそこに行くと、ぼくは、いつもお客さんなんだ!」  

この言葉はある日、再入院をしてきた男の子から、ガツンと言われたことです。 

男の子の言う「あそこ」とは学校、クラスのこと。私は、自分がそれまでに行ってきたかかわりを思い出してみました。そこには、お世話をしてくれた子どもたちみんなに「ありがとう」「ごめんね」「どうも」と伝えている男の子の姿がありました。 

そうです、たとえ松葉づえを使っていても、車いすに乗っていても、その子なりにできること、やりたいことはたくさんあるわけです。それなのに私はなんてことをしてきたのか、と反省しました。 

では具体的に入院をした子にどのような工夫をしたらよいのでしょうか? 子どもがいつもどってきてもいいよう、いろいろ工夫をしている学校があるので、いくつかお伝えします。 

  1. 机やいす、お知らせ板をそのままにしておく 
  2. 係やクラブ、委員会にも名前を入れる 
  3. 絵や習字などの作品は、院内学級で制作したものを教室でかかげる 
  4. 学校・学級だよりなどの配布物を送る 
  5. 学習の進度をれんらくしあう 
  6. 定期試験を病院内で受けられるようにする
    また、友だちや学校とのつながりが切れないようにしている学校もあります。
  7. ビデオレターやICTを活用した学習を行う 
  8. 運動会、音楽会、遠足や保護者会など、学校行事のれんらく 
  9. 退院に向け、所属する学校、病院関係者、保護者を交えた話し合いをする 
  10. 退院後、院内学級の教師や病院関係者が学校を訪問するなど、れんらくの機会を設ける 
  11. 学校で心配なことがあった場合、れんらくを取り合える体制をつくっておく 

入院をした子どもたちがスムーズに学校復帰できるために、担任や保健室の先生、学年主任の先生たちは最低限、このようなことをしていこうというきまりがあるといいなと思います。 こういった取り組みが行われていることを、学校の先生だけでなく、子どもにかかわるすべての大人にもぜひ知ってほしいですね。

前回記事
第53回はこちら。

Information

「あかはなそえじ先生のひとりじゃないよ」
四六判・全248ページ
1400円+税
学研教育みらい刊

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あかはなそえじ先生・副島賢和(そえじま まさかず)

筆者:あかはなそえじ先生・副島賢和(そえじま まさかず)

昭和大学大学院保健医療学研究科准教授、昭和大学附属病院内学級担当 1966年、福岡県生まれ。東京都の公立小学校教諭を25年間務め、 1999年に都の派遣研修で東京学芸大学大学院にて心理学を学ぶ。 2006年より品川区立清水台小学校教諭・昭和大学病院内さいかち学級担任。2009年ドラマ『赤鼻のセンセイ』(日本テレビ)のモチーフとなる。2011年『プロフェッショナル 仕事の流儀「涙も笑いも、力になる」』(NHK総合)出演。2014年より現職。学校心理士スーパーバイザー。ホスピタルクラウンとしても活動中。

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