子どものがん教育・1
あかはなそえじ先生の院内学級の教師として学んだこと「第69回」
院内学級の教師として、赤鼻のピエロとしてかかわるなかで、笑顔を取り戻し、治療に向かう意欲を高めていく子どもたち。その経験をもとに、子どもとの接し方や保護者・家族とのかかわり方、院内学級の必要性、教育の重要性などについて語ってくれます。
学校におけるがん教育
厚生労働省が発表する「がん対策推進基本計画」において、大きく3つの目標があります。
- がんによる死亡者数の減少
- 苦痛の軽減と療養生活の質の維持、向上
- がんになっても安心して暮らせる社会の構築
そのなかで以下のトピックは子どもたちに大きく関係している、個別目標となっています。
- 小児がん
- がんの教育
- がん患者(かんじゃ)の就労をふくめた社会問題
この3つのトピックについて、私が院内学級の教師である経験をふまえて考えてみました。1~4と続くので、最後までぜひ読んでみてくださいね。
小児がん
現在、がんを治す方法は進化を続けており、入院する期間も短くなっています。そうすると、子どもが入退院をくり返す回数も増加します。
約8割の子どもたちは、一時的あるいは永続的に、がんが小さくなっている、または消失している状態です。したがって全体として7、8割の子どもたちが学校にもどってこられるようになっています。ただし、いまだに治す方法が見つかっていない小児がんがあることも事実です。
そのため、入院中の子どもが通っていた学校と病院が協力しあうことで、より個人に対応した学習ができるようにしてあげることが求められています。ほかにも、特別学校によるアドバイスやサポートを十分に受け取れるように、制度の改善が必要です。
また、病院を退院しても、学校に通える状態ではなく、通学が困難で、おうちで病気を治している子どもたちも存在しています。
このような子どもたちでも質の高い教育を受けるための工夫は今後も必要です。例えば、授業を受ける場を整えたり、家庭にたずねて行う教育やICTの活用などです。教育委員会はこういった課題に対して、特別学校や病院関係者と協力して、現状の認識や理解を深めることに努めています。
次回は、小児がんをもつ子どものようすと、そこでのかかわりについてさらにお話ししたいと思います。
Information
「あかはなそえじ先生のひとりじゃないよ」
四六判・全248ページ
1400円+税
学研教育みらい刊