子どものがん教育・3
あかはなそえじ先生の院内学級の教師として学んだこと「第71回」
院内学級の教師として、赤鼻のピエロとしてかかわるなかで、笑顔を取り戻し、治療に向かう意欲を高めていく子どもたち。その経験をもとに、子どもとの接し方や保護者・家族とのかかわり方、院内学級の必要性、教育の重要性などについて語ってくれます。
リレー・フォー・ライフ・ジャパン~小児がんのサバイバーの子どもたち~
2018年に、ある女子中学生から「リレー・フォー・ライフに来てください」というお話をいただきました。女の子とは、大阪市鶴見区にある「TSURUMI こどもホスピス」プロジェクトでの交流がありました(プロジェクトについての記事はこちら)。かれこれ、もう10年ほどの付き合いです。
女の子から「あかはな先生、今度、行われる“リレー・フォー・ライフ・ジャパン2018大阪あさひ”で、ぜひ、先生にお話をしていただいきたいのです」とさそわれ、喜んで引き受けました。
当時、リレー・フォー・ライフの活動について、情報はたくさん受け取っていたのですが、実際に参加をしたことがありませんでしたので、とてもドキドキ、ワクワクしながら、参加させていただきました。
リレー・フォー・ライフとは、「がんの方やその家族をサポートし、地域全体でがんと向き合い、治すことを目指しているチャリティー活動」です。
1985年、アメリカで一人の医師が、アメリカ対がん協会への寄付をつのるために、24時間トラックで走り続けたことから始まりました。2018年の時点で世界約30か国、約6,000か所以上でプロジェクトが開かれています。
私が参加した「リレー・フォー・ライフ・ジャパン2018 大阪あさひ」は、2日間にわたって行われた、がんの方への24時間チャリティーイベント。その年、日本では50か所以上で開かれ、その一つに参加することができました。
小児がんの子どものうち、7~8割は病気が落ち着いて安定した状態になっています。そうすると、地元の学校に通える子どもたちも増えてきて、「完治」という言葉も聞こえるようになってきています。
しかし、まだまだ余命宣告をされてしまうがん種もあります。病気とたたかいは本当につらいものがあります。
がんの経験者は「サバイバー」と呼ばれており、サバイバーの家族やご遺族、サポートする人々は「ケアギバー」と呼ばれています。
【小児・AYA世代のがんにかかる率】(2018年5月厚生労働省)
- 2009年~2011年の小児がん(0さい~14さい)かかる率は12・3%(人口10万人あたり)
- AYA世代にかけてのがんにかかる率は、15さい~19さいで14・2%、30代で31・1%(人口10万人あたり)
- 日本全体の人口に当てはめると、1年間にがんと診断される数は、小児(0さい~14さい)で約2,100例、15さい~19さいで約900例、20代で約4,200例、30代で約1万6,300例と推計されます。
ちなみに、小児がんにかかる率が高いがん種では、0さい~14さいは
- 白血病(はっけつびょう):38%
- 脳腫瘍(のうしゅよう):16%
- リンパ腫(りんぱしゅ)9%
15さい~19さいでは以下の順になります。
- 白血病(はっけつびょう):24%
- 胚細胞腫瘍(はいさいぼうしゅよう)・性腺腫瘍(せいせんしゅよう):17%
- リンパ種(りんぱしゅ):13%
これがAYA世代、20代~30代になると、とくに女性では乳がん、子宮頸がん(しきゅうけいがん)、甲状腺がん(こうじょうせんがん)が増え、変化が大きくなります。
次回の「子どもへのがん教育・4」では小児がんを治すスペシャリストがそろっている全国の病院をお伝えしてきます。
※AYA世代(Adolescent and Young Adult):思春期・若年成人 ここでは15さい~30さいまでのがんにかかる率をいう
Information
「あかはなそえじ先生のひとりじゃないよ」
四六判・全248ページ
1400円+税
学研教育みらい刊