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コラム・マンガ

病気や障がいのある子どもにかかわる

病気や障がいのある子どもにかかわる

あかはなそえじ先生の院内学級の教師として学んだこと「第77回」

院内学級の教師として、赤鼻のピエロとしてかかわるなかで、笑顔を取り戻し、治療に向かう意欲を高めていく子どもたち。その経験をもとに、子どもとの接し方や保護者・家族とのかかわり方、院内学級の必要性、教育の重要性などについて語ってくれます。 

あかはな先生のいるところ

クラスのお友だちが入院するときに、ある子が「〇〇くん、あかはなの先生がいるところに行くんでしょう? 病院の中に学校があるところでしょう?」と担任の先生に言ったそうです。

「とても説明がしやすくなりました」と、別の小学校の先生に言われたのもそのころでした。今から7、8年前のことです。

病気をかかえた子どもたちの、教育保障を知ってくれている人たちが増えてきた時期でしたが、ただ、病気やけがで入院した子どもたちがすべての病院で教育を受けられるわけではありませんでした。

それにはいろいろな理由がありました。すべての病院に教室のような場所があるわけではないのです。また、すべての病院に保障をしてくれる教員がいるわけではありません。

子どもにとって不幸なこと

本来、転校の手続きをとれば、義務教育において教育を受けることができる制度があります。そのため、病院の中に教室がなかったとしても、さまざまな方法で教育を受けることができるようになっています。

しかし実際は、メディカルサイドがそこへの必要性を重視していないところがあります。また、教育サイドにも入院をしている子どもたちの教育保障制度を知らない、利用しない、ということが見られました。

子どもが入院をしたり、重たい病気にかかったりしたときの、対応マニュアルのようなものがある学校は、当時はほとんどなかったように思います。

また、保護者側も説明を受けていなかったり、手続きなどの労力を考えたときについつい後回しにしてしまったり、そのような光景が見られました。

短期間の入院になると、もっとそれが見られることとなります。

「それぐらい短い期間の入院なら、勉強しなくてもすぐに追いつけるでしょう」と言われることがあります。が、実際、その短い期間でも、子どもたちが失うものがたくさんあるのです。セルフエステーム(自己肯定感)がネガティブになってしまうという、海外の研究もありました。

しかし、院内学級の教師として、このようなことは教育によって保障できるという実感がありました。たとえ短期間でも、教育保障をする場と人がいることは、子どもたちにとって必要なことであります。

みんなに知ってほしい、もっと広がってほしい

ここ数年、院内学級にかんする質問が増えてきました。新聞やマスコミでの報道のおかげもあるのでしょう。病気をかかえた子どもたちや障がいのある子どもたちの教育保障について、取り上げるニュースや記事も増えてきました。当事者やその家族が声を上げてくれていることも、大きな要因の一つだと思います。本当にありがたいことです。

以前、ある教員養成系大学の特別教育専攻の先生から「院内学級の先生をやりたいという志望動機をもった学生が増えています」という話を聞きました。当事者の私としてはとてもうれしいことです。

2022年2月に、文部科学省の検討会議において「すべての新規採用教員がおおむね10年目までに、特別学校や通級指導教室などの担任を複数年、経験するよう」求める案が出されました。

実現すれば、これは本当にすばらしいこと。教師として、人間として、病気をかかえた子どもたちや障がいのある子どもたちとの出会いを大切にしてほしいと願います。

Information

「あかはなそえじ先生のひとりじゃないよ」
四六判・全248ページ
1400円+税
学研教育みらい刊

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あかはなそえじ先生・副島賢和(そえじま まさかず)

筆者:あかはなそえじ先生・副島賢和(そえじま まさかず)

昭和大学大学院保健医療学研究科准教授、昭和大学附属病院内学級担当 1966年、福岡県生まれ。東京都の公立小学校教諭を25年間務め、 1999年に都の派遣研修で東京学芸大学大学院にて心理学を学ぶ。 2006年より品川区立清水台小学校教諭・昭和大学病院内さいかち学級担任。2009年ドラマ『赤鼻のセンセイ』(日本テレビ)のモチーフとなる。2011年『プロフェッショナル 仕事の流儀「涙も笑いも、力になる」』(NHK総合)出演。2014年より現職。学校心理士スーパーバイザー。ホスピタルクラウンとしても活動中。

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