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コラム・マンガ

病院のこども憲章~子どもの教育について医療が考えていること②

病院のこども憲章~子どもの教育について医療が考えていること②

あかはなそえじ先生の院内学級の教師として学んだこと「第96回」

院内学級の教師として、赤鼻のピエロとしてかかわるなかで、笑顔を取り戻し、治療に向かう意欲を高めていく子どもたち。その経験をもとに、子どもとの接し方や保護者・家族とのかかわり方、院内学級の必要性、教育の重要性などについて語ってくれます。

病院のこども憲章

入院している子どもたちにとって「学ぶことは生きること」です。

そしてそれを保障する人や場所が必要です。たとえ、お子さんがどのような状態にあったとしても。

1988年にオランダで開かれた『第1回 病院のこどもヨーロッパ会議』において、「病院のこども憲章」が合意されました。

「病院のこどもヨーロッパ協会」のメンバー・団体は、ヨーロッパ各国における保護法、規則、及び、ガイドラインの中に「病院のこども憲章」の原則を組み入れることを目指しました。その第7条に、教育について書かれています。

──「こどもたちは、年齢(ねんれい)や症状にあったあそび、レクリエーション、及び、教育に完全参加すると共に、ニーズにあうように設計され、しつらえられ、スタッフが配備され、設備が施(ほどこ)された環境(かんきょう)に置かれるべきである」──

日本の医療も、この「病院のこども憲章」にならい、病院や自治体で「こども憲章」を定めています。

日本の「病院のこども憲章」

  • 子どもたちは、年齢や症状にあわせて、遊び、レクリエーションに参加し、教育を受けることができます。
    (国立成育医療研究センター「子どもの患者の憲章」第7条)
  • こどもたちは、年齢や症状にあった遊びやレクリエーションを提供され、教育を受けられます。
    (宮城県立こども病院「病院のこども憲章」第6条)
  • 子どもたちは、年齢や身体の状態にあった遊びやレクリエーション、文化活動に参加したり、教育を受けたりすることができます。
    (埼玉県立小児医療センター「子ども憲章」第7条)
  • あなたは、入院をしていても、勉強したり、遊んだりすることができます。
    (「都立病院の子ども患者権利章典」第7条)
  • こどもたちは、年齢や症状にあったあそびや教育が提供され、スタッフが配属された環境におかれます。
    (神奈川県立こども医療センター「病院のこども憲章」第7条)
  • 年齢に応じて、遊び、教育を受ける権利があります。
    (福岡市立こども病院「病院のこども憲章」第5条)院内学級「さいかち学級」がある私たちの病院にもあります。
  • あなたは、入院していても、年齢や症状にあった遊びや勉強ができます。
    (昭和大学病院「こどもの権利」第7条)

学びの保障を考える

たとえ入院をしていても、治療中であっても、教育を受けることができるのは、子どもたちにとっての当然の権利なのです。

皆さんが住んでいる地域の病院や自治体はいかがでしょうか。

医療スタッフ、特に小児科のスタッフは、子どもたちの治療や回復のために教育は大きな役割を持つと理解してくださる方々が増えてきています。

「うちの病院は院内学級がないので、来てください」

「子どもたちのために、毎日、先生が来てくれればよいのですが」というお声もいただきます。

制度上では病気のある子どもを含(ふく)め、すべての子どもたちに教育が受けられるようになっています。

しかし、実際には教育の保障を受けることができない子どもたちもいます。

医療や福祉(ふくし)、地域とつながりながら、学びを保障するということを常に考えていきたいと思います。

Information

「あかはなそえじ先生のひとりじゃないよ」
四六判・全248ページ
1400円+税
学研教育みらい刊

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あかはなそえじ先生・副島賢和(そえじま まさかず)

筆者:あかはなそえじ先生・副島賢和(そえじま まさかず)

昭和大学大学院保健医療学研究科准教授、昭和大学附属病院内学級担当 1966年、福岡県生まれ。東京都の公立小学校教諭を25年間務め、 1999年に都の派遣研修で東京学芸大学大学院にて心理学を学ぶ。 2006年より品川区立清水台小学校教諭・昭和大学病院内さいかち学級担任。2009年ドラマ『赤鼻のセンセイ』(日本テレビ)のモチーフとなる。2011年『プロフェッショナル 仕事の流儀「涙も笑いも、力になる」』(NHK総合)出演。2014年より現職。学校心理士スーパーバイザー。ホスピタルクラウンとしても活動中。

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