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学研の俳句おにいさんが解説 読解力が伸びる! 親子で味わう俳句 第4回

学研の俳句おにいさんが解説 読解力が伸びる! 親子で味わう俳句 第4回

27歳の若さで学研の編集者と俳人、2つの顔をもつ中西亮太が、毎回オススメの季語と俳句を紹介していくこのコーナー。第4回は、この季節、一年で最も美しく見える「月」です。

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第4回 今日の季語「月」(秋)

俳句第4回_A

月を待つみんな同じ顔をして
(つきをまつ みんなおんなじ かおをして)

山口昭男(やまぐちあきお)

同じ顔で月を待つ

わくわくした顔がいくつも並んでいる様子が思い浮かびます。大人も子どもも関係なく、ただ一心に月を待つ様子に、どこか温かい印象を受ける一句です。
「同じ顔」という表現には、皆が同じ気持ちになって、月が出るまでの宵闇(よいやみ)を見上げていることを想像させる力があります。シンプルでわかりやすい一句ですが、読者に作中人物の内面までを想像させるしかけがある作品だと思います。
ところで、俳句では単に「月」という場合は、秋の季語になります。でも、月は年中見られるもの。そういう場合は、「春の月」「夏の月」「冬の月」と工夫することもできます。

俳句第4回_B

半分は絵の外にあり望の月
(はんぶんは えのそとにあり もちのつき)

武藤紀子(むとうのりこ)

月のもう半分

実際の月を詠まない大胆な一句です。でかでかと月を描きながら、あえて部分的にしか描かないという手法は、絵画や屏風など、いろいろな美術品に見ることができます。この句は、そんな月の絵を見たときの作品です。

「望の月」とは秋の満月のこと。この句を読んだ読者は、欠けたもう半分の月を頭の中で想像するように誘われていきます。このとき、絵のすぐ横には、いっそうリアルで力強い月の姿が思い浮かんでくるのではないでしょうか。あえて絵の中の月を持ち出すことで、逆に本当の月をありありと感じることができる作品だと思います。

中西亮太の「学研の俳句おにいさんが解説 読解力が伸びる! 親子で味わう俳句」は、第1・第3水曜にお届けします! 次回もお楽しみに♪


中西亮太(なかにし りょうた)

1992年生まれ。株式会社学研プラスの編集者。大学生のとき、甘い考えでうかつに俳句をはじめる。過去に、第14回龍谷大学青春俳句大賞最優秀賞、NHK-Eテレ「俳句王国がゆく」出演など。「艀」(終刊)を経て、「円座」「秋草」現代俳句協会所属。俳句とは広く浅く長く付き合いたいと思っている。秋の作品に〈雁を追ふ首ゆつくりと右へ右へ〉。

 

 

 

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