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中学受験を検討している保護者、必見! カリスマ先生による 「はじめての中学受験」ガイド

中学受験を検討している保護者、必見! カリスマ先生による 「はじめての中学受験」ガイド

中学受験にくわしい2人のカリスマ先生が、私立中学の特色や学校選びのポイント、親の心構えや準備など、中学受験とはどういうものかを5回にわたってわかりやすくお伝えします。

中学受験ジャーナリスト 瀬川信一
株式会社アーテック   野口祐希

 

★この記事は、2020年に行われたオンラインセミナー「はじめての中学受験」の内容を、最新情報に基づき再構成したものです。

 

 

<第5回>

塾はどう選べばよいの? 

 

中学受験をすることに決めていざ準備にかかろうというとき、気になるのは「どこの塾に通わせるか」「親としてどんなサポートができるのか」ということではないでしょうか。
最終回は、中学受験塾の種類と入試の新たな傾向、そして、中学受験に臨むお子さんを保護者はどのように支えていけばよいのかを先生方に語っていただきます。

 

「塾選び」は「学校選び」と同じ考え方で  

野口:塾を選ぶときのポイントは、保護者にとってもお子さんにとっても信頼できる塾ここで勉強したい、ここに通えば伸びるんじゃないかなと思える塾を選ぶこと、つまり「学校選び」のときのポイントとほとんど同じなんですね。
ただ、中学受験塾にはカリキュラムや形態にいくつか種類があるので、そこはおさえておいたほうがよいでしょう。

カリキュラムの面からいうと、大手塾などで多いのはらせん状カリキュラムです。これは4年生・5年生・6年生と、同じ内容を少しずつレベルを上げながら繰り返し学習して理解を深めていくというものです。
このカリキュラムの場合、かなりのスピードで授業が進んでいくので、取りこぼしが出てしまうお子さんもいますが、次の学年でまた学習する機会があるわけです。例えば4年生のときに成績が伸びなくて「先生、うちの子はあまり理解できていないようなのですが、何とかなりませんでしょうか」と相談すると、「ああ、大丈夫ですよ。5年生でもう一度やりますから」と言われるようなこともあります。
他には、ひとつひとつの学習内容をその日のうちに終わらせて、毎回満点を目指していくようなカリキュラムの塾もあります。その日帰るときには満点を取って帰っていく、そうやって自信をつけさせるわけです。

塾の形態という面からは、大きな教室で一斉に授業を行う集団塾もあれば、個別指導塾もあります。最近ではオンライン授業の塾もありますね。
オンラインといってもさまざまで、先生と生徒が直接ネットでつながっていて通常の授業のように進めるところもあれば、録画した映像を見るだけのこともあります。また、オンライン授業を見た後に問題を解かせる質問をする時間だけチューターがつくなどもありますね。
このように本当にいろいろな形態の塾があり、それぞれ一長一短あると思います。

お子さんをリアルな塾に行かせるべきかどうか悩まれる方もいらっしゃると思いますが、中学受験の勉強に限らず、ひっぱっていってくれる先生がいるほうが安心です。塾には、毎年の入試問題の傾向分析に基づいたカリキュラムが作られており、それに沿って先生が教えてくれるわけです。
保護者の方も、仕事や家事がある中でお子さんに勉強を教えるのはなかなか難しいでしょうし、途中の成果が気になってしまいますね。お子さん自身も、1人で勉強を進めていくのはたいへんだと思います。

 

私立中学入試の新傾向

野口:最近の私立中学入試では、公立中高一貫校の入試の影響を受けて、思考力型入試や適性検査型入試がかなり増えてきて、ますます対策が立てにくくなっています。
自分で思考力型の問題集を買ってきて、問題を解いて答え合わせをしようとしても、解答例は1例ぐらいしか載っていないです。自分の書いた答えがこれでよいかどうかを判断してくれる人がいない状態で、力をつけていくのはなかなか難しいと思います。
こんなとき、集団塾であれば、他の生徒がどんな解答をしているのか知ることができるし、先生の解説を聞くこともできますね。「ああ、そんな考え方もあるんだ」と気づくことも大事な勉強です。

 

「教える」ことで、学んだことが定着する

野口:中学入試に限らず、学習内容を短時間で定着させるにはどうしたらよいでしょうか。
数年前の個別指導塾のコマーシャルで、体操の有名選手が出ているものがありました。勉強がわかったつもりになっている子に向かって、その選手が「じゃあ、説明してみて」と言うのですが、この「説明する」「教える」ということがとても大事なのです。きちんと理解して、知識が定着していれば、人に説明でき、教えることができます。
私は塾の教師をしていましたが、塾の先生や学校の先生は、教える内容を忘れはしないですね。なぜ忘れないのかというと、いつも人に教えているからなんです。
ただ、子どもたちにとっては、「教える」という経験をする場はなかなかないですよね。教える相手がいれば、それだけでかなりの学習効果が期待できますので、ぜひお父さんお母さんが聞き役・生徒役になって、「これってどういうことなのかな」「○○について教えて」などと聞いていただけると、理解が深まり、思考力もどんどん身についていきますよ。

最近では、大学受験の塾でも「教えない塾」を謳っている塾があります。全く教えないわけではないですが、一方的な授業はしない。生徒のほうから聞きに来させるのです。
自分で調べてわからないときは先生に聞いて学び、道に迷ったようなときには「こっちに行たらいいよ」と導いてくれる。そんな先生がいま求められています。そういう先生のいる塾を探すことがとても大事になってきています。
塾選びの話をしてきましたが、「塾選び」は「先生選び」ともいえるのではないかと思います。

 

「学校選び」でも「教え合う授業」をチェック

瀬川:先ほど野口さんがおっしゃった「教え合う」という学び方は、アクティブラーニングの一つ、PIL(対話型授業)といいます。学校の方針としてそういった指導法を取り入れている学校は、現状に満足せず、お子さんの能力をより伸ばしていきたいという信念があると思います。
このPILを始めとして、ディベートや体験学習などをカリキュラムに入れているかどうかを、ぜひ意識してチェックしていただきたく、学校選びのポイントとしてここで付け足したいと思います。

アクティブラーニングとは:生徒が自主的・能動的に学ぶことができる学習方法のこと。新学習指導要領では「主体的・対話的で深い学び」という表現で、アクティブラーニングが取り入れられている。
PIL(Peer Instruction Lecture)とは:先生が一方的に生徒に教えるのではなく、生徒同士、あるいは先生と生徒の間での対話を取り入れた、双方向型の授業のこと。

野口:確かに、学校選びも塾選びもほぼ同じなんですよね。お子さんが本気になることが大事なので、絶対に塾に通わないとだめということではないですし、ここだと選んだ塾で本人が勉強したいと思って自発的に取り組むようになれば、きっと伸びていくと思います。

 

家庭では「ほめる」に徹するのがベスト

瀬川:家庭学習において、保護者のみなさんは、お子さんの足りない部分やちょっとだらしない部分ばかり目について、あれこれ言いたくなってしまうと思いますが、そうではなくて、ほめること。「ここまでよくがんばったね」とほめることがいちばん大事だと思います。
塾に通っている場合は、勉強については塾に任せる。そして「よくやったね」「がんばったね」とか、「それはよかったね」とか、ちょっとしたことでもよいから、もち上げてあげるんです。
私が言いたいのは、親はマネージャーであれ、受験の伴走者であれということです。
「ほめる」ということは甘やかすことではありません。お子さんのしていることを、一緒に走りながらちゃんと見ていて、それについてコメントするということです。その上で「ほめる」ことをすれば、お子さんは自信もつくでしょうし、やる気も出てくるでしょう。
最終的にはお子さんのやる気が大事なのです。どうやってお子さんのモチベーションを高めるか、親はそこに全力を尽くしてもらいたいと思います。

野口:ここまでいろいろな話をしましたけれど、まとめると、人生において中学受験は絶対しなければならないものではないですよね。住んでいる場所が違ったら受験もしなかったかもしれないし、落ちたって浪人するわけでもない。
このように中学受験とは、しなくてもいいチャレンジを敢えて子どもにさせるものなのです。そこのところを保護者の方はよく自覚して、お子さんにとって人生のプラスになるような経験にすることを意識してほしいと思います。
中学生や高校生になると、反抗期を迎えて親の意見を聞かなくなることも多くなります。小学生のこの時期こそ親と一緒に素直に二人三脚でいろいろなことにチャレンジしていける、よい思い出づくりができる時期なので、思い切り小学生生活を楽しんでほしいんです。
子どもたちが何をいちばん望んでいるかというと、やっぱりほめられたいんですね。「よくがんばったね」と言われたくて、一生懸命やっているわけです。
中学受験においても同じです。中学受験をすると決めて、塾に入って勉強したり、模試を受けたり、受験校を決めたり…。その場面場面で実は親にほめられたくて一生懸命がんばっているという場合も多いのです。
だから保護者のみなさんも、最終的に一校でも合格を勝ち取って「おめでとう」と言えるように、学校選びを含めてできることを真剣にやってほしいと思います。
「お父さんやお母さんも一緒に選んだ学校だよね」「この学校に行けたらいいね」というふうに家族みんなで話をして、親にとっても子どもにとってもに良い経験になったと思える中学受験になるとよいですね。

(終わり)

 

 

 

 

瀬川信一/中学受験ジャーナリスト
日能研本部で中学受験情報の執筆、講演活動に従事後、独立。各種中学受験情報誌への原稿執筆、首都圏の複数の学校へのコンサルタント、講演活動などを行う。2008年より学研Gネット(学研合格ネット)に情報センター長として参加。首都圏を中心に、関西、九州など、訪問した学校の数は200校を超える。かざらない人柄で、国立・私立中高一貫校の先生方と幅広いネットワークをもつ。

 

野口祐希/株式会社アーテック
日能研本部の理科専任、日能研上大岡校室長、啓進塾金沢文庫校室長を歴任後、独立して大岡山に中学受験専門塾を開校。さらに2008年学研の直営中学受験専門塾「学明舎」を開校し、学研Gネット(学研合格ネット)の立ち上げに尽力する。その後、学研エデュケーショナルを経て現職。Gネット専用塾教材『合格自在 理科』全巻、『カリスマ先生の合格授業 理科 生物・化学』『カリスマ先生の合格授業 理科 物理・地学』(学研)を執筆。理科専任講師・室長・塾代表という幅広い経験により、受験勉強での点数アップ法から塾生・保護者の不安の解消法、受験校の決め方や塾運営のノウハウまで、「裏ワザ・裏事情」にくわしい。

 

 

 

 

 

 

 

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