【お金を学ぼう!】Vol.3 オススメ! 遊びながらできるお金の教育法
保護者の方の中には「お金の教育を受けた記憶がない」という方も多いのではないでしょうか? そのため、子どもへの教え方がよくわからないという方もいらっしゃるかもしれません。お金はとても身近で大切なものなのに、学ぶ機会が少ないのです。【お金を学ぼう!】Vol.3は、未就学~小学校低学年の子どもにオススメの、家庭でできるお金の教育のしかたと、そのコツをご紹介します。
「半具体物」のお金を通して、数や計算の理解が進む
子どもの数的感覚は、お菓子や折り紙、ビー玉などの遊び道具をきょうだいや友だちと分け合うといった、生活や遊びでの経験から習得していくところが大きいですね。これはとても自然な学びといえます。つまり、具体的な物を数える、比べるなどの行為が、数的感覚獲得の基本なのです。それをすっ飛ばして、大きな数、ましてや数式を理解するのは、とうてい無理です。
では、1桁を超える数をまだ理解できない年齢の子どもには、お金の教育をすることは無理なのでしょうか? ここで重要になるのが、貨幣の存在です。
お金が存在しなかった大昔は、物々交換で「大根1本とにんじん3本を交換しよう」というようなことをやっていました。物々交換は単純明快ですが、利便性に欠けるため、最終的に使われるようになったのが硬貨や紙幣といった貨幣です。
このように誕生した硬貨や紙幣は、食べ物や洋服などの「具体物」と、金額という「数字」の中間にある「半具体物」ともいえます。子どもがいきなり数字という抽象性の高いものを認識・記憶するのは難しいですが、「半具体物」の硬貨や紙幣を通すことで、それらのハードルがぐっと低くなるのです。
たとえば、私たちが9900円と4800円の物を買おうするとき。レジで支払う前に「1万円札が1枚と、5千円札が1枚いるな」とイメージを浮かべて、だいたいどれくらいのお金が必要かを頭の中に描けますね。
それは、子どもでも同じです。「100円です」と言われたとき、3桁の数は数えられなくても、硬貨を知っていれば100円玉を1枚渡せます。慣れれば、120円に対して100円玉1枚と10円玉2枚を渡せるようになります。
つまり、数がわからないからお金を理解できないということはなく、まず硬貨や紙幣を使うことで、逆に数的感覚がアップするともいえるのです。数は10までしか数えられなくても、1000円という数が1000円札で脳内にイメージできるとしたら、すばらしいことですね!
お買い物ごっこで学びをスタート!
子どもがお金を学ぶ入り口として、最適な方法があります。それは、「お買い物ごっこ」です。まずは保護者の方が店員さん役、お子さんがお客さん役になり、品物を選んでお金を払う体験をさせましょう。役割は交替してもいいですね。
数字がわかるようになってきたら、値札を付け、複数の品物を組み合わさせてみましょう。最初は「1個1円」「1個3円」など1円玉だけで完結できる値付けにすると、入門としてよいでしょう。そこから徐々にステップアップして10円や100円の品物を追加し、最終的には「300円で何と何が買えるかな?」などと質問して、お子さんに考えさせてみましょう。
ごっこ遊びを通して、子どもは、「お金がないと物が買えない」、「使えばお金が減る」など、お金はやりくりする必要があるということに自然と気づいていきます。
おもちゃのお金を活用しよう!
ただ、いくらお金の理解のためとはいえ、実際のお金で遊ぶことには抵抗があるかもしれません。特に現在のようなコロナ禍では、お子さんがお金に触れることも心配です。そんなときは、厚紙などに数字を書いて作ったお金を使ってみましょう。市販のおもちゃのお金を使ってみるのもいいですね。
では、具体的な遊び方の例をご紹介しましょう。まずは、スーパーの広告から、野菜、果物などの写真を切り取って並べます。お子さんにはおもちゃのお金を渡し、100円、10円、5円、1円などのお金の種類を最初に確認しておきます。「いらっしゃいませ!」「りんごはいくらですか?」「100円です」「はい、買います。100円どうぞ」「100円玉1枚いただきました。ありがとうございます!」などと、物の値段と払うお金の種類を確認しながら遊んでみましょう。
幼少期は、さまざまな価値観の基礎が養われる大切な時期です。お子さんの健全なお金の価値観を育てるために、お買い物ごっこから家庭でお金の教育を始めてみませんか?
次回は、お買い物ごっこの要素を取り入れた『おかねのれんしゅうちょう』の活用のポイントと、効果的なお金の教育の進め方を紹介します。
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