「学校に行きたくない」と不安になる子にできること
そろそろ夏休みが終わります。8月末から9月にかけて、始業式を迎える学校が多いのではないでしょうか。のんびりと夏休みを過ごした子どもでも、中にはソワソワしだす子がでてきます。実は、夏休みが終わるこのタイミングにおこるのが「9月1日問題」。久しぶりの登校に不安が強くなり、子どもが自殺してしまうケースもあるのです。最近、メディアでも取り上げられるようになって、多くの大人が危機意識を高めています。
誰にでもおこる「9月1日問題」
大人でも、長い休みのあとは仕事に戻りたくないときがあります。同じように子どもも夏休み明けは学校に行くのが億劫になるかもしれません。登校日が近づくにつれて不安が強くなったり、体調が悪くなったりすることがあります。
深刻なケースでは、子どもが思い詰めて自分で命を落としてしまうことがあります。令和2年度の国の報告では、小学生が7人、中学生が103人、高校生が305人と、残念ながら子どもが自殺してしまう現実がありました(※1)。また、少し古いデータになりますが、平成21年以降の10年間における小中高校生の月別自殺者数をみると、1月、8月、9月に多い傾向がうかがえます(※2)。
学校に行きたくないと言ったら
休みが終わろうとしている時期に、もし子どもが「学校に行きたくない…」と言ってきたら、どうしたらよいのでしょうか。
まずNGな行為は「叱ること」です。深刻に悩んでいる子どもに対して叱っても、心を閉ざしてしまうばかりで意味がありません。保護者が感情的になったり、一方的に原因を追究したりするのもよくありません。子どもの性格によって保護者が適切に対応できればよいのですが、実際にはなかなか難しいものです。
そこで、困ったときには「子どもの話をよく聞く」ことを行ってください。話を聞く人が、家事などのながら作業で聞くのではなく、落ち着いて向き合ってよく話を聞いてあげることが大切です。子どもが悩みや不安を一人で抱え込まずに、周囲の人に吐き出せることが重要になります。まずは子どもがどんなことを考えているのかを把握し、どうしても行きたくないと言う場合は、ひとまず無理をさせないことも手です。
本音を言えないなら
それでも、小学校高学年くらいからは、親には言いたくない、先生には言えない、スクールカウンセラーに相談に行くのは嫌など、子どもなりに心をオープンにできない事情もでてきます。無理に子どもから話を聞きだそうとしても、本音を言ってくれることは難しいでしょう。
このようなケースでは、ぜひ外部機関を頼ってください。国や自治体をあげての取り組みによって、子どものために多くの相談窓口が開設されています。以下、代表的なものを掲載しておきます。
24時間子供SOSダイヤル(通話料無料)
0120-0-78310
「いじめで困ったり、自分の友人のことで不安や悩みがあったりしたら、一人で悩まず、いつでもすぐ電話で相談してください」という力強いメッセージがあります(※3)。
電話相談窓口
その他、厚生労働省や法務省、NPOや社団法人なども無料電話相談を行っています。状況に応じて使い分けてみてください。
SNS相談窓口
SNSでの相談も気軽にできます。多数の団体が受付しています。
地元の相談窓口(子ども本人用、保護者用)
もっと身近な地元での相談も全国で可能になっています。特に有用なのは、子ども本人が相談するための対面相談、電話相談、SNS・メール相談窓口があるのに加えて、保護者が相談するための対面相談、電話相談、SNS・メール相談窓口が分けて設置してあることです。
相談窓口をご紹介しましたが、いずれも子どもや保護者が利用しやすいものを選ぶことが可能です。子どもと同じように、保護者も一人で悩んでしまいがちなので、困った時は利用するほうがよい場合もあります。
突然「学校に行きたくない…」と言われると、保護者も動揺してしまうと思います。ひと呼吸おいて、落ち着いて子どもに寄り添ってみてくださいね。
参考
※1「令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」P123-125、文部科学省