【陰山英男の「おうちで学力爆上げ!」】第1回 春に向かって子どもは伸びる!
「うちの子は勉強ができなくて……」「いろいろやらせているけれど、なかなか成績が上がらない」など、お子さんの学習方法にお悩みの保護者の方も多いのではないでしょうか。
百ます計算や音読の徹底反復で子どもの学力を上げる「陰山メソッド」で熱い支持を受け、学研『早ね早おき朝5分ドリル』シリーズなど数々の人気教材の監修で知られる陰山英男先生に、今すぐおうちで学力を「爆上げ」する学習方法をお聞きしました。
子どもはみんな、絶対に伸びる
みなさん、こんにちは! 教育クリエーターの陰山英男です。
さあ、今日は、子どもたちにも直接、お伝えしたいことがあります。それは何かというと、「子どもはみんな伸びる」ということなんですよね。
みんなというのは、これを読んでいるあなたもそうです。もうまさしく、みんななんです。勉強が苦手だとか、なんか頭悪いんじゃないかって言われてる子どもも、大丈夫、絶対伸びます。
なんでこんなことが言えるのかっていうと、実際私は、全国いろんな小中学校で教えているんですけれども、みんなものすごく伸びているんですよ。
単に勉強が苦手だというだけの子どもじゃなくって、ときには、特別な学級に行っていたりするような子どもであったとしてみても、やっぱり伸びてくるんですよね。
その時に、多少時間がかかるかどうかっていうのは、人によってあるかもしれないけれども、必ず伸びます。そして、最初はゆっくりでも、途中からぐんと伸びてきたりするっていうことって必ずみんな起きてくるので、頑張ってほしいんです。
じゃあ、なぜそんなふうに、みんな思えないんだろう? なぜ、自分は勉強が苦手って思っちゃうんだろう?
実はそれは、みんな難しい問題を解こうとしすぎだから。難しい問題が解けないと、「自分はできてないんじゃないか」って思ってしまう。それで、つい難しいほうに挑戦してしまって、「ああ、やっぱり難しい」「できない」と思ってしまうわけなんですよね。
勉強で大事なのは「基本的なことが、さっとできるかどうか」
ここで大切なことを言います。勉強でいちばん大事なのは、「そんなの当たり前じゃん」っていうぐらい基本的なことが、さっと短時間でできるかどうかなんですよね。基本的なことというのは、読み書き・計算、つまり、漢字などの反復学習や百ます計算のこと。これが、小学校の低学年の段階から、さっとできるまでにちゃんとやれているかどうかってことなんですよね。「一応できる」じゃなくて、「さっとできる」ですよ。一応できたっていうのは、実はできてないってことなんです。
短時間&くり返しの学習で、さっとできるようになって、「もうこんなの簡単簡単」っていう状態になるまでもっていきましょう。
そして、難しい問題なんて、いざとなったら答えと解き方を最初に見ちゃって覚えちゃう。これでもかまわないんです。
実は、思考力を問うような難しい問題っていうのは、基本的な問題の組み合わせで難しくなっているだけなんです。だから、解き方を知って練習しているうちに、後から「あっ、こういうことか」と本当に理解できてくるっていうことが、ごく普通にあるんですよ。
だから、「わからなかったら、答えと解き方を見たらいいじゃん」っていうぐらいに気楽に考えてください。
1月から3月は基本をおさらいするチャンス!
そして、もう一つみんなに言っておきたいことがある。この学習がいちばん効果的になるのが、1月から3月なんです。なぜかっていうと、この時期、実は教科書にはあまりたくさんの内容が入っていなくて、授業の進むスピードが遅くなるので、その分、去年の4月からやってきた学習をおさらいする余裕ができるんです。春休みもありますしね。
おさらいっていうのは、一度学習したことをもう1回やることだよね。だから、前よりものすごくわかりやすくなっているはずなんです。去年の4月にあんなに難しいと思ったことが、「あれ? なんだ、こんな簡単なことだったのか」と思える経験が、みんなできるんですよ。
そうすると、1年間かかって学習したことって実は意外と少ない、あるいは意外と簡単だなって思えてくるんですよね。ですから、基本をおさらいして全体を理解する体験をするのは、この1月から3月くらいの間にやるのがいちばん効果的なんです。そうやって、「やればできる」ということを実感すると、「あっ、意外と俺っていけてるじゃん」って思えるようになってくるわけですよ。
そしてこれ、さらにいいことがあります。3月までのその経験があって、4月から新しい学年がスタートしますから、「あれっ、最初から授業がわかりやすいじゃん」っていうことが起きてきやすいんですよ。すると、「勉強が好き」「勉強が得意」という意識で1年間進んでいけるんです。
ですからこの時期、自分は勉強が苦手だ、なんか頭悪いんじゃないかっていうようなことを考える前に、基本的なことをきちんとおさらいをして、そして「あっ、こういうことなのか」っていうことの全体を理解して、そして新しい学年につなげていきましょう。がんばってくださいね!
※この記事は、音声プログラム「陰山英男ヒューマンラボplus」第10回をもとに構成しました。
監修者:陰山英男(かげやま ひでお)
陰山先生からの、コロナ禍の子どもたちへのメッセージ動画 「未来へのホームルーム」