【陰山英男の「おうちで学力爆上げ!」】番外編 話題の新刊ブックレビュー
百ます計算や音読の徹底反復で子どもの学力を上げる「陰山メソッド」で熱い支持を受け、学研『早ね早おき朝5分ドリル』シリーズなど数々の人気教材の監修で知られる陰山英男先生。
この夏、日本中の子どもたちの学力向上に力を注いできた先生による、学力よりも大切な子育ての最終結論ともいえる本が誕生しました。その名も、『子どもの幸せを一番に考えるのをやめなさい』(SBクリエイティブ)です。
子育て中の編集部K子が、この本を読んで特に心に残った先生の珠玉のメッセージを、超個人的な感想とともに紹介します!
子どもの幸せを願うなら、まず自分が幸せになればいい。
子どものためにやりたいことを我慢するなんて馬鹿げています。
子どもの幸せを願わない親はいません。それなら親が今すぐやるべきことは一つ。まずは、親自身が幸せになることです。
親自身が社会人として、また一個の人間として力を高めていけば、それに伴って子どもの力も高まっていきます。
<「はじめに――子どもの幸せは、親が幸せになって初めてかなう」/「第2カ条 子どもの幸せを一番に考えない」より>
働く母である私は、仕事のために留守番ばかりさせていることや、家事がおろそかになってしまうこと、勉強をていねいに見てあげられないことを、子どもたちにいつも申し訳なく思っていました。自分の「仕事を続けたい」という思いのために、保育園に入れた時からずっと我慢させ続けていると負い目に感じてきたのです。
でも、自分が一生懸命働いたり、何かの目標に向かって頑張ったりする姿を、子どもたちに見せ続けてきたことには自信があります。「今日お仕事うまくいったよ!」と子どもたちに伝えると、一緒に喜んでくれましたし、落ち込んでいると「ママ大丈夫?」とすり寄ってきてくれました。
先生のメッセージを読んで、いずれ社会に出て働く子どもたちが、がむしゃらな母の姿をいつか思い出して、少しでも誇りに思ってくれたらいいなと思いました。
親の心が明るくなれば、子どもの心は安定する。
あまり細かいことにこだわらず、おおらかでお気楽なぐらいがちょうどいいのです。
逆に、イライラして感情的になり、些細(ささい)なことで怒ったり小言ばかり言ったりしていると、子どもの心は不安定になります。
<「2カ条 子どもの幸せを一番に考えない」より>
確かに、いくら怒ったり小言を言ったりしても、子どもたちは聞いたためしがありません。「またママがなんか騒いでる」くらいにしか思っていないはず……。だったら、いっそ言う回数を減らしてもいいのかもしれません。そのほうがお互いに気が楽ですよね。
それに、イライラしている私は、まちがいなく鬼の形相をしているはずです。それでも子どもたちは変わらず私を好きでいてくれて、頼ってくれます。ほとんど奇跡です。
子どもたちがそこにいてくれるだけで、とっても幸せなんだ。
そう思ったら、肩の荷が下りて、心がパーッと明るくなりました。ダラダラしている子どもたちも、なんだかかわいく見えます!
大切なのは、親自身がその可能性を信じること。
高い目標を提案して、その意味を教え、的確なアドバイスをしてやれば、子どもは思いもよらない力を発揮するものです。要は、その目標が子どもにとって腑(ふ)に落ちるかどうか、親や教師の側が子どもを納得させられるかどうかです。
子育ては重荷ではなく楽しんでするものです。同じ楽しむなら、その子だけの、特別で壮大なストーリーを描いてみるというのはどうでしょうか。「このストーリーが本当に実現したら」と考えるだけでもワクワクした気持ちになれます。
<「第2カ条 子どもの幸せを一番に考えない」「第3カ条 子育てでは壮大なストーリーを描け!」より>
現在高1の長男は、小6になってから急に「中学受験がしたい」と言い出しました。初め、私と夫は「今からなんて絶対無理だよ」と言って相手にしませんでした。
今思うと、彼の可能性をまったく信じなかった私たちは、とても愚かでした。初めて自分の進路を考え、夢を語ってくれた息子の気持ちも傷つけました。むしろ、塾や学校の先生たちのほうが、可能性を信じて応援してくれたのです。
子どもが夢のストーリーを語ってくれたら、無理と決めつけずに、親も一緒になって「本当にそうなったら素敵だな、かっこいいな」とワクワクしてあげよう。そして、できるかぎり応援してあげよう。
……自分の苦い経験と重ね合わせ、先生のメッセージを、しかと受け取りました。
本には付箋がいっぱい! 「ポジティブ子育て8つの要」など、まだまだお伝えしたいことはありますが、ぜひお手に取って、みなさんにも幸せをつかむヒントを見つけていただきたいと思います。
Information
『子どもの幸せを一番に考えるのをやめなさい』
SBクリエイティブ
定価:990円(税込)