【めざせ☆ピカピカ1年生】毎日の親子の会話で、人の話を聞ける子に
学校で授業を受けるときにまず必要とされるのが、先生の話を聞けること。入学したばかりの小学1年生が、人の話をきちんと聞けるようになるにはどうすればいいのでしょうか。家庭でできる取り組みを、現役小学校教諭の舟山由美子先生にうかがいます。
話を聞き、内容を理解しないと、授業の理解や友達関係にも影響が
入学後、子どもが学校の授業についていけるかどうかが、親としては最も気になるところ。授業にしっかりついていくには、人の話を聞いて、内容が分かっているかどうかが鍵になると舟山先生は言います。
「人の話をきちんと聞いて理解することができないと、教室でも、次にやるべきことがわからないとか、今やっている勉強がわからないなどの問題が出てきます」(舟山先生)
そういった意味で、人の話をよく聞き、内容を理解する力を養っておくことは、入学準備として重要なのですね。そして、もう一つ大事なことは、「話を最後まで聞く」ということ。
「お友だちに限らず、先生が話をしている時にも、自分の頭に浮かんだことや思ったことをすぐ言わないと気がすまない子がいます。人の話の腰を折って、自分ばかりしゃべっていると、そのうち友だち関係にも影響があるかもしれません。まずは、人が何かを話している時には、その話を最後まで聞くことができるように練習しておきましょう」(同)
話を聞く姿勢が身につく3つのポイント
人の話をきちんと聞けるようになるために、家庭でできることはありますか?
「子どもの『聞く姿勢』には、親子の間での会話の習慣が出るものです。日ごろの親子の会話を見直してはいかがでしょう」(同)
ポイントは3つあります。
- 会話をするのにふさわしい環境を整える
- 親が子どもと会話をしたいという気持ちをもって話す
- 子どもに対して一方的に話さない
会話をするのにふさわしい環境とは、子どもの興味をひくものが周りにないことだそう。「子どもに対して何かをきちんと伝えたい時、子どもから何かを聞きたい時などに、食べ物やゲーム、おもちゃなどがあると、子どもは気もそぞろになり、話を聞くどころではありません。片づけるか、他の部屋に移るなどします。もちろんテレビも消しましょう」(同)
そして、親がゆったりした気持ちで、子どもとの会話を楽しむことも、実はとても重要だと舟山先生は言います。
「子どもはとても敏感です。イライラしたり、焦ったりしている相手の話は聞きませんし、自分の気持ちを話したりしないものです」(同)
何より大切なのは、子どもに対して一方的に話さない、つまり親が子どもの話を聞く姿勢をもつということをぜひ心がけてほしいそうです。
今日あったことを子どもに尋ねて話をさせてみたり、子どもの好きなジャンルの話を振ってみたりしましょう。その際は、親の意見はさりげなく混ぜる程度にして、子どもの話を否定しないようにします。子どもの話を遮らず、最後まで聞き、会話のキャッチボールをするとよいでしょう」(同)
おへそを相手に向けて話を聞く
ちなみに、舟山先生によると、話を聞くときは「相手の方を向いて聞く」というのが原則とのこと。
「学校ではよく、『おへそを相手に向けて聞きましょう』と教えます」(同)。
これも家庭でまねできそうですね。
「会話を教え込もうとしてはいけません。まずは大人が、子どもから会話を引き出す気持ちをもち続けることが大切なのではないでしょうか」と舟山先生。
会話が楽しければ、子どもの話す姿勢、聞く姿勢は自然に身についていきます。今日から少し意識して、お子さんと会話をしてみてはいかがでしょう。
(取材・執筆:坂本洋子)
※こちらの記事は学研「ママノート」に掲載された記事を再編集したものです。