【めざせ☆ピカピカ1年生】学校で自分の意見を言えるようにするためには?
内気、恥ずかしがり屋……みんなの前で話をするのが苦手な子は、学校でも気後れしてしまって自己主張ができないのではないかと、親としては心配になります。自分の意見をはっきり言えるようにするには、どうしたらよいのでしょうか。現役小学校教諭の舟山由美子先生にうかがいます。
まずは「トイレに行きたい」と言えるところから
学校生活の中では、おとなしい子や内気な子でも、しっかり意思表示をする必要があります。でも、新しい環境ですぐに何でも言えるようにするのは難しいもの。入学に際して、これだけは言えるようにしておいたほうがよいことは何でしょう?
「まずは、『トイレに行きたいです』と、はっきり言えることでしょうか。よく1年生で、もじもじして迷った末に『先生、トイレ』と言ってくる子がいます。そんなときは、まずトイレに行かせてから『よく言えましたね。でも、先生はトイレではありませんよ(笑)。こういうときは“先生、トイレに行きたいです”と言いましょうね』と伝えるようにしています」(舟山先生)
こう教えると、ほとんどの子が、次からちゃんと言えるようになるのだそうです。
いやなこと、困ったことが伝えられれば大丈夫?
友だちとの間で、何かいやなことがあったら「いやだからやめて」とはっきり断われること、困ったことがあったら先生に言えることも大切とのこと。それができないと、友だちとの間でより大きなトラブルにつながることもあるのだそうです。
「トイレに限らず、重要なのは、困ったことがあったとき、それをだれかに伝えられるということです。1年生で、いやなこと、困ったことを友だちや先生に伝えることできれば、他の場面でもだいたい大丈夫だと思います。家でも、『何かあったら先生に言うんですよ』といつも教えていただきたいですね」(同)
おとなしい子や、言いたいことがはっきり口に出せない子の場合、すぐに何でも先生に言えるようになるわけではありませんが、「困ったことは先生に言っていい」ことや「自分で言う必要がある」ことを教えていくことが大切です。
「はじめのうちはうまく言えずに失敗することもあるかもしれませんが、このような少しの促しと、子ども自身が環境に慣れていくことで、どんな子でも徐々に自分から言えるようになってきます」(舟山先生)
親が先回りしないで、子どもの言葉を待つ
また、おとなしい子の場合、日ごろ親が先回りして答えを言ってしまっていることが少なくありません。だれかが子どもに話しかけたときに、子どもがなかなか答えられなくて、つい親が答えてしまったという経験がある方もいるのでは?
「家でも親御さんが、子どもの意見を先取りせずに、自分で言うように仕向ける、そして言い終わるまで待つことを心がけると、よい結果につながると思います」(同)
親として気になるのは、はっきりと自分の意見が言えないことが、成績にも影響するのではないかということ。授業中に、わかっていても答えが言えない子や、自分の意見をうまく伝えられない子は、通知表などでマイナスに評価されてしまうのでしょうか?
「確かに、『積極性』『自発性』『話すという表現力』という面ではマイナスになってしまうかもしれませんが、最初からできる子ばかりではありません。担任も、言葉で表現するのが苦手な子をどう導くか、という視点で接しますので、親御さんはあまり心配されない方がよいと思います」(同)
「はっきり言いなさい!」などと叱らず、自分で言えたときに、まずそれをほめてあげることも大切だそうです。焦らずに、子どもが自分の意見を言えるようになるときを待ってあげたいですね。
(取材・執筆:坂本洋子)
※こちらの記事は学研「ママノート」に掲載された記事を再編集したものです。