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宇宙

月に向けて宇宙船が打ち上げられたって、ホント? 2022年にはじまった宇宙計画にくわしくなる!《月(moon)編》

月に向けて宇宙船が打ち上げられたって、ホント? 2022年にはじまった宇宙計画にくわしくなる!《月(moon)編》

【第1回】ヒトがもういちど月にいく計画

ヒトが最後に月へ行ったのは1972年、もう50年も前のことです。アポロ17号という宇宙船に3人のアメリカ人が乗り込み、そのうち2人が月面を歩きました。
そして2022年、人類はふたたび月を目指します。アメリカのNASA(航空宇宙局)は、新型の「オリオン宇宙船」と、「SLSロケット」を新しく作りました。その1号機を、月に向けて打ち上げます。この計画を「アルテミスI」といいます。

これまでに作られたもっとも大きなロケットは、アポロ17号を打ち上げた「サターンV(ファイブ)」で、高さが110.6mありました。これに対してSLSロケットは98.1mです。SLSはサターンVより少し背が低いけれど、サターンVより15%ほど大きなパワーを出すことができます。つまり、それだけ重いものを宇宙に打ち上げることができるのです。

ただしアルテミスIの1号機にヒトは乗りません。新しい宇宙船とロケットのテスト打ち上げだからです。そのかわりにロボットが乗って、ヒトが安全に乗れるかどうかを確認します。無人で打ち上げられたオリオン宇宙船は、途中でSLSロケットを分離して、月を周回してから地球に戻り、太平洋の海へ着水する予定です。この計画でオリオン宇宙船が宇宙と月を旅するのは、26日から42日間くらいです。

SLSロケットの打ち上げの想像図。いちばん上の白い部分の中にオリオン宇宙船が入っている(NASA)
オリオン宇宙船の1号機に乗っているロボット。センサーがたくさんついていて、さまざまなデータをとり、この新型の宇宙船にヒトが安全に乗れるかどうかを確認する(NASA)

つづく計画で、宇宙船にヒトが乗り込む!

2024年に予定されている計画「アルテミスII」では、オリオン宇宙船の2号機にヒトが乗り込みます。アメリカ人3名、カナダ人1名です。その4名を乗せたオリオン宇宙船は、1秒間に8km進むスピードで宇宙を飛び、月の向こう側をクルリと周って地球へ戻り、太平洋に着水します。発射から着水まで10日間かかります。

そして2025年、いよいよ月面にヒトが着陸する!

3号機を飛ばす計画「アルテミスIII」では、オリオン宇宙船に4名のクルーが乗り込み、男性と女性の2名が着陸機で月面に着陸します。ふたりは月面で5日間、さまざまな調査をします。女性が月面に降り立つのは、これが初めてです。
ふたりが月面で探査活動をするあいだ、あとの2名はオリオン宇宙船に残り、月の周りをクルクル回り続けます。月面のふたりがオリオン宇宙船に戻ったら、地球へ戻ります。この3号機は打ち上げから約30日間、宇宙と月を旅します。

SLSロケットはせんぶで4種類ある。頭がとんがっているのはヒトが乗るタイプ。頭が丸いのは荷物をのせるタイプ。アルテミスIII計画までの3回では、いちばん左のSLSロケットが使われる(NASA)
オリオン宇宙船が地球をはなれ、月に向かう想像図。SLSロケットで打ち上げられたオリオン宇宙船は、宇宙空間に届くとカバーがはずれ、SLSロケットを切り離し、太陽電池パネルを伸ばして飛んでいく(NASA)
月面に着陸した宇宙飛行士が、月の砂や石を調査している様子。 2025年に打ち上げられるアルテミスIII計画によって、人類は53年ぶりに月面に降りることになる。この想像図の後ろのほうには月面車も描かれている(NASA)

2022年の5月には、アメリカのバイデン大統領と日本の岸田総理大臣が、日本人の宇宙飛行士も月に行くことを約束しました。

もしかしたらこれを読んでいるキミたちも、月に行けるかもしれませんね!

著者:鈴木喜生

元出版社の編集長。子供のころにアポロ11号の月面着陸をみて感動したおじさん。宇宙飛行士になれなかったので、かわりに宇宙の本を書いています。これまでに書いた本は『宇宙プロジェクト開発史アーカイブ』(エディターズ)、『宇宙開発未来カレンダー2022-2030‘s』(G.B.)。『これからはじまる宇宙プロジェクト』、『これからはじまる科学技術プロジェクト』(エイ出版社)など。

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