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宇宙

なぜヒトは月にいくの? 2022年にはじまった宇宙計画にくわしくなる!《月(moon)編》

なぜヒトは月にいくの? 2022年にはじまった宇宙計画にくわしくなる!《月(moon)編》

【第2回】月にはヒトの役にたつモノがたくさんある!

いまから53年まえ、2人のアメリカ人が月に着陸しました。ヒトがはじめて月面に立ったこの計画をアポロ計画といいます。

そのとき宇宙飛行士は、月に地震計をおいて、月の地震を調べました。また、月に小さな鏡をおいて、地球から発射したレーザーをその鏡に当てて、月と地球の距離を正確に測りました。さらに、地球に月の石を持ち帰って、月がどんな成分でできているかを調べました。

それから50年以上が過ぎて、ふたたびヒトは月へいきます。この計画をアルテミス計画といいます。なぜヒトはまた月にいくのでしょう?  アルテミス計画では、月でなにを調べるのでしょう?

アポロ11号の宇宙飛行士が月面にセットした地震計。月の地震や、月に隕石が衝突するときの振動のデータを地球に無線で送った(NASA)

月には「水」がある?

月にはさまざまな「資源」があります。つまり、ヒトの役に立つモノです。

「水の氷」もそのひとつです。水は宇宙飛行士にぜったい必要ですよね。わざわざ「水の」というのは、水ではないモノからできた氷もあるからです。たとえばドライアイスは二酸化炭素からできた氷なんです。
水に電気を流せば、「酸素」と「水素」に分解できることを知っていますか?

つまり月に水の氷があれば、そこからヒトが呼吸するための酸素もつくることができます。水素はロケットの燃料にもなります。

月で「水」や「酸素」や「水素」が手に入れば、地球から持っていくそれらの量を半分にすることができます。その結果、ロケットにのせる荷物が軽くなるので、そのぶんほかの機械や、もっと多くのヒトを月に送ることができるようになります。または、ロケットを安く飛ばすことができます。

月に着陸するための宇宙船「スターシップ」と、月面基地のイメージ図。基地では、月の南極にある氷から、水と酸素と水素がつくられる(NASA)

ICチップの原料や、未来の燃料もある?

地球では少ししかとれない「レアメタル」も月にはあります。レアメタルは、あらゆる機械に使われているICチップの材料になります。
月の裏側には「重水素」(じゅうすいそ)という物質もあります。これも地球には少ししかなく、つくるためにはたくさんのお金が必要です。重水素は、未来の核融合発電(かくゆうごうはつでん)に欠かせない燃料です。

月にヒトがいけば、もっと「なにか」が月で見つかるはずです。その「なにか」を見つけるために、ヒトは月へいくのです。

月の地面を調査する宇宙飛行士。アルテミス計画の月面調査は、2025年からはじまる予定(NASA)
本格的な基地ができるまでは、宇宙飛行士たちは着陸船や月面車のなかで生活する。この計画を「アルテミス・ベースキャンプ」という(NASA)

月での仕事が増えると、宇宙飛行士がたりなくなります。これまで宇宙飛行士は、特別な人しかなれませんでした。

でも、みなさんが大人になるころには、だれもが宇宙飛行士になれるかもしれませんね!

鈴木喜生

著者:鈴木喜生

元出版社の編集長。子どものころにアポロ11号の月面着陸を見て感動したおじさん。宇宙飛行士になれなかったので、かわりに宇宙の本を書いています。これまでに書いた本は『宇宙プロジェクト開発史アーカイブ』(エディターズ)、『宇宙開発未来カレンダー2022-2030‘s』(G.B.)、『これからはじまる宇宙プロジェクト』、『これからはじまる科学技術プロジェクト』(エイ出版社)など。最新著作は『夢の仕事場 宇宙飛行士』(朝日新聞出版)です。

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