4歳向け絵本の選び方とは? 子どもが夢中になるオススメ絵本5選
4歳とはどのような時期でしょうか? 「保育所保育指針」(厚生労働省)によると、4歳児の特徴として「想像力が豊かになる」「仲間とのつながりが強くなる」「決まりの大切さに気づく」「感情が豊かになる」などが挙げられています。
大きく成長する4歳の時期は、読み聞かせで楽しめる絵本の幅もグンと広がります! また、お着替えやトイレなどの生活習慣やお友だちとのつきあい方などを学ぶのにも、絵本はピッタリの教材。そこで今回は、4歳児の発達に合った絵本の選び方をご紹介します。
4歳児に適した絵本の選び方
幼稚園・保育園の年少~年中にあたる4歳は、想像力が豊かになり、言葉でのやりとりも上手になってくるため、理解できる絵本の幅も大きく広がります。具体的に次の4つのポイントを押さえると、4歳のお子さんが楽しめる絵本を選びやすくなりますよ。
ワクワクドキドキする絵本
4歳になると、おままごとなどの「ごっこ遊び」に熱中する子が増えますが、これは脳の発達にともない想像力がますます豊かになっている証拠。この時期はお子さんの想像力&創造力を育んでくれるワクワクドキドキするような冒険ものや、ちょっと不思議なファンタジー絵本などがオススメです。
ちなみに、空想と現実の区別がつくようになるのは5~6歳頃だといわれています。それまでは絵本のお話も、まるで本当に起きていることかのように感じられるのだとか。お出かけができないときでも、絵本の中でいろいろな冒険に連れていってあげたいですね。
コミュニケーションに役立つ絵本
年少・年中にあたる4歳の時期は、保育園や幼稚園で家族以外の人とかかわる機会も増えます。発達面で見ても、自分と他人との区別がつくようになり、ゆっくりと相手の気持ちを理解できるようになってくるタイミングです。
一方で、まだまだ自我も強く、お友だちとのトラブルなども起こりやすい年齢。そんなとき、自分と同じ状況にある主人公がどうするか描かれた絵本なら、気持ちを整理したり、上手に相手に伝えたりする手助けになってくれるでしょう。
疑問を解決できる絵本
行動範囲が広がり、いろいろなことに興味津々の4歳児。頭のなかは「なぜなぜ?」でいっぱいです。ときには大人でも明確に答えられない質問が飛びだしてきて焦ってしまうことも。これは「なぜなぜ期(第二質問期)」とも呼ばれる大事な時期で、脳が情報を取りこもうと発達している証拠なのです。
たくさんの不思議を抱えるお子さんには、図鑑やクイズ形式の絵本がオススメ! この時期に「わかるって楽しい!」という経験を積むことは、自ら学ぶ意欲にもつながります。
楽しく知育できる絵本
お子さんによっては、文字や数字に興味を持ちはじめる時期です。本人が興味を示したタイミングで、絵本を活用して楽しく知育できると良いですね。
幼稚園や保育園でも、文科省等から示される指針に従い「数量・図形・文字等への関心・感覚を養う」取り組みがなされています。もしおうちでも興味を示すようなら、文字や数字をテーマにした絵本を親子で一緒に読んでみましょう。
4歳から読み聞かせを始める際の注意点
絵本には対象年齢が記載されたものが多いですが、4歳になって初めて読み聞かせをするという場合は、一つ手前の「3~4歳向け」の絵本も視野に入れてみてください。4歳は言語力も想像力も3歳に比べて大きく発達する年齢のため、「4~5歳向け」の絵本はちょっと難しめのものも多いからです。
ファンタジー性が強く実感がわきにくい絵本や、文章やページ数が多い絵本は、より想像力や集中力を必要とするため、まずはボリュームが少なめの本から慣れていくのもいいですね。
子どもが夢中になる! 4歳向けオススメ絵本5選
以上の4つのポイントを踏まえて、4歳児にオススメの絵本を学研出版サイトから5つ選出しました。お子さんに合った本をお探しの方は、参考にしてみてください。
どんぐりむらのいちねんかん
どんぐりたちが暮らす「どんぐりむら」の一年間を月ごとに描いた歳時記です。4月はお花見をしながらお花見弁当を食べて、「おや、あっちでは入学式!」「7月はプールびらき、9月はお月見……」と、かわいいイラストを見ながら1年の季節の移ろいを学ぶことができます。
おもちのおふろ
巻末には12枚の写真が掲載されていて、「これは何月でしょうか?」とクイズ形式で振り返り学習もできます。『どんぐりむらのぱんやさん』や『どんぐりむらのどんぐりえん』などのシリーズ作と同様、温もりのあるイラストで、身の回りの生活や人とのかかわりを学ぶことができます。A4編・全32ページ。
”おもち”が二人、おふろ屋さんに行きますが、しょうゆの足湯はお寿司たちでいっぱい。きな粉の砂風呂もお団子たちが転がりまわっていて落ち着きません。さぁどうしたものかな……? いろいろな食べ物が登場して、お子さんと「きな粉もち美味しいよね~」なんて会話しながら楽しめる絵本です。
もりのかばんやさん
「ハリネズミのハリハリ」のかばん屋さんには、素敵なかばんがいっぱい! お店にないかばんはお客さんの要望を聞いてハリハリが特注で作ります。子だくさんのお母さんブタには、やわらかいキルトで作った、ポケットがいっぱいあるバッグ。逆さになるコウモリには下からも開けられるバッグ……。お客さんのことを考えながらミシンを動かす時間が、ハリハリは大好き!
作者のふくざわゆみこさんの描くイラストとお話は、森とそこに住む動物たちの描写が丁寧でやわらかくて、とっても素敵。『もりのホテル』『もりのとしょかん』などのシリーズ作品は、大人が読んでも引き込まれるような作品になっています。250×250㎜、全32ページ。
おばけだじょ
絵本や工作番組などで大人気のアートユニット、tupera tupera(ツペラ ツペラ)が手がけるおばけの絵本。真っ赤な背景に黒いシルエットで「おばけだじょ」と一言。シンプルさが恐怖をそそりますが、実はおばけの正体は……⁉ はじめは怖がっていたお子さんでも、読みすすめるうちに楽しくなってしまうストーリー展開となっています。
怖いものって想像力をかきたてて、見たくないのに見てしまう……。大人にもこんなこと、ありますよね。4歳児が気になるおばけや生き物が出てくる本作。文字数は少ないので、読み聞かせに慣れていないお子さんでも楽しめる一冊です。264×190㎜、24ページ。
昭和4年から昭和63年まで営業していた銭湯「子宝湯」(現代は江戸東京たてもの園に保存)がモデルになっている、昔懐かしいのお風呂の風景が細かいところまで描き込まれており、何度読んでも楽しめる作品。
番台の大根さんが読んでいる「やさいしんぶん」では新・村長の就任が報じられていますが、実はこの村長、どこかのページで体を洗っていますよ! そんな遊び心満載です。A4変形・全32ページ。
7歳までに知っておきたい科学えほん
東京大学薬学部・池谷裕二教授が推薦! 植物や動物、人体、宇宙、音や光などの身の回りの科学を、わかりやすいイラストで就学前から学べる図鑑絵本です。チョウやアリ、バッタといったカラフルな「科学虫」たちが案内人となって、植物が土の中で育つ様子や、骨と筋肉が身体を動かす仕組みなどを分かりやすく解説してくれています。
透明なビンの中で種を育てる実験や、懐中電灯とボールを使った「朝と夜」の再現など、実際に手を動かして学べるアイデアものっていて、お子さんの科学脳を育てるのにピッタリ。海洋プラスチックごみの問題などSDGsにまつわるテーマも紹介されています。AB判・全80ページ。
4歳児に読み聞かせをする、3つのメリット
絵本は、文字を覚えられる、国語の勉強になる、教養が身につくなど良いことづくめですが、これからの時代を生きる子どもたちに必要な力についても、大切な下地作りを手伝ってくれます。キーワードは「想像力」「知的好奇心」「読解力」。それぞれ詳しく見てみましょう。
想像力が育つ
絵本は、子どもの想像力を育むのにピッタリのアイテム。登場人物の気持ちを想像しながらストーリーを追体験することで、現実でも「相手の立場を想像する」という力が育ちます。
価値観の多様化が進む現代において、相手を思いやる想像力はますます欠かせません。また、経験していないことについて予想し、対策するためにも想像力&創造力は必須。画家・ピカソは「誰でも子どものときは芸術家である」という名言を残しています。お子さんのもつ想像力のつばさを、絵本の世界でめいっぱい伸ばしてあげましょう!
知的好奇心が刺激される
身のまわりのあらゆることに興味が出てくる4歳の「なぜなぜ期」。絵本の中には、大人でも説明が難しいことを、わかりやすく解説してくれる”先生”のような作品もあります。
また、絵本を読むことで、今まで知らなかった物事と出会えることもあります。知的好奇心には、新しいことを知りたいと思う「拡散的好奇心」と、答えや原因を探りたいと思う「特殊的好奇心」があるとされますが、絵本はこの両方の好奇心のトリガーになる可能性を秘めているのです。
国語力アップにつながる
ものの名前や形容詞、表現など、知っている単語(語い)を増やすためにも絵本は効果的です。4歳くらいになると、大人が読み聞かせる声に合わせて、文字を目で追う子も出てくるなど、就学前に自然に文字に親しむことができます。
挿絵付きで文章が短い絵本からスタートして、徐々にボリュームの大きい作品に読み進めることは、読解力の向上にもつながります。読解力は教科としての「国語」だけでなく、日常生活での情報収集力にも大きく影響するため、これからの時代にますます欠かせない力であることは間違いありません。
読み聞かせはいつまで続けるべき?
お子さんによっては、4~5歳くらいから一人で絵本を読めるようになる子もいるようです。また、文字が読めなくても、何度も読み聞かせしてもらう内容を覚えていて、絵に合わせて話してみたり、声に出さなくても絵を見ながらその世界を楽しんでいるお子さんもいますよね。
子どもが自ら本を読むようになると、親としてはホッとする気持ちになりますが、もし可能なら、読み聞かせも続けてあげてください。一番の理由としては、親子のコミュニケーションツールとして、絵本がとても優秀だということ。そしてもう一つには、耳で聞いた情報を脳で処理する「聞く力」のトレーニングにもなるというメリットがあるからです。
なかには、中学校でも読み聞かせの時間を設けている学校もあります。お子さんが「もういいよ」と言う時期まで、短い時間でも続けられるといいですね。
子どもに合った絵本を選ぶなら「学研出版サイト」
「なかなかじっくり絵本を選ぶ時間がとれない」「候補がたくさんありすぎて決められない」というときは、「学研出版サイト」をのぞいてみてください。今回ご紹介した5冊の絵本はもちろん、4歳の時期に読み聞かせたい絵本がたくさんそろっていますよ。
年齢別検索・カテゴリ別検索など、探しやすいのもうれしいポイント。保護者の方や先生がたはもちろん、お友だちや親戚のお子さんのプレゼントにもどうぞ。
まとめ
お着替えやトイレなど、だんだん一人でできることが増えてくる4歳。親としては頼もしい反面、巣立ちの時が頭をよぎって、少しさみしくもありますよね。
子どもをひざに乗せて温もりを感じながら絵本を読めるのも、そう長い期間ではありません。ぜひ「読み聞かせ」という名のもとに、お子さんとたくさん触れあって、コミュニケーションしてくださいね。