【あした、親子で読みたい本】日本の伝統芸能に親しむ本 3選
子どもの時に読んで感動した本は、大人になってもずっと心に残るもの。子どもたちが、自分だけの宝物になるような一冊に出合えるように、おすすめの絵本や読み物を元書店員でありJPIC読書アドバイザーの市川久美子さんにご紹介いただきます。
日本の伝統芸能には落語・能・歌舞伎・狂言・浄瑠璃・講談等々があります。実際子どもと観に行くには難しいものもあるかもしれません。書籍で知ってもらうのもいいでしょう。落語・能・歌舞伎で扱っているお話を紹介します。
「講談えほん」も今人気の神田松之丞 (六代目神田伯山)監修で講談社から6冊出ています。今後も出版予定のようです。今回は紹介できませんでしたが、リズムのある講談はきっと子どもたちにも届くでしょう。伝統芸能をもっと身近に感じたい。伝統芸能のすばらしさを伝えていきたいものです。
『落語絵本4 じゅげむ』(クレヨンハウス)
小学校の教科書にも掲載されています。実際に落語でこのお話を聞いてご存知という方も多いと思われる「じゅげむ」。ある夫婦に男の子が生まれ、つける名前がなかなか決まりません。そこで和尚さんに相談します。長生きの名前は「寿限無」、他には「 五劫のすりきれ」、「海砂利水魚」と次々と和尚さんは名前を教えてくれます。男はその中から名前を決めることに して帰りますが、すべての候補を男の子の名前にしたものですから、長~い名前になってしまいました。「寿限無寿限無、五劫のすりきれ海砂利水魚………長久命の長助が喧嘩をしている」と、伝えるにも時間がかかります。
この名前を言ったり、聞いたりするだけでも楽しいです。(対象:4 歳~)
作・絵:川端 誠
出版社:クレヨンハウス
定価:1,400円+税
商品詳細:『落語絵本4 じゅげむ』(クレヨンハウス商品ページ)
『天鼓 天からふってきた鼓』(BL出版)
能の演目「天鼓」の絵本。子どもが欲しい夫婦は仏さまに毎日お願いをしていました。しばらくして男の子が生まれ「天鼓」と名付け、そのあと空から鼓がふってきました。すくすくと育った天鼓が鼓を打つとそれは素晴らしい音色を奏で、だれもがうっとりするほどでした。
このことを耳にした帝は、鼓を自分のものにしたがります。家来たちが天鼓のところに来ましたが、天鼓は鼓を抱えて山の中に逃げていきます。しかし、見つかってしまった天鼓は 河に沈められます。鼓は帝の手に渡りますが、奏でることはありませんでした。帝は考えあぐねて父親に打たせることに。すると美しい音色を奏でました。天鼓を、沈めた河のほとりで弔うことになり、楽師たちがそれぞれの楽器を奏でました。音楽にひかれて天から天鼓が現れます。天鼓はやっと鼓と再会します。(対象:4 歳~)
作:片山清司
絵:小田切恵子
出版社:BL出版
定価:1,600円+税
商品詳細:BL出版 公式サイト
『橋本治・岡田嘉夫の歌舞伎絵巻(1) 仮名手本忠臣蔵』(ポプラ社)
歌舞伎は子どもたちには敷居が高いでしょうか。日本の歴史を学ぶ 6 年生ころになると物語を想像しやすいかもしれません。
内容は割愛しますが、なんといってもこの絵本は絵のすばらしさに目を見張りました。この芸術は、子どもから大人まできっと届くと思います。子どもは芸術性の高いものを理解する力があると、子育てや文庫活動の中で子どもたちを見てきて感じました。むしろ大人よりもあると思います。(対象:小学校高学年~)
文/橋本治
絵/岡田嘉夫
出版社:ポプラ社
定価:1,600 円+税
商品詳細:『橋本治・岡田嘉夫の歌舞伎絵巻(1) 仮名手本忠臣蔵』(ポプラ社商品ページ)