【あした、親子で読みたい本】「待つ時間」を味わう本 3選
子どもの時に読んで感動した本は、大人になってもずっと心に残るもの。子どもたちが、自分だけの宝物になるような一冊に出合えるように、おすすめの絵本や読み物を元書店員でありJPIC読書アドバイザーの市川久美子さんにご紹介いただきます。
子どもと過ごしていた時、子どもに対して「考える間」を与えることの大切さをつくづく感じていました。大人もそうですが、自分で考えることの大切さとでもいいましょうか。大人は子どもに対して「ああしなさい。こうしなさい」「早くしなさい」のなんと多いことでしょう。考えさせる暇もありません。子どもも考えているのですから、「待つ」ことで子どもも自ら考え解決できるようになるのです。
「待つ」ことは、即ち「考える」こと。今回は「待つ」をテーマに選んでみました。
『わたしとあそんで』(福音館書店)
原っぱへ遊びに行った女の子。バッタがいたので「あそびましょう。」とつかまえようとすると、バッタはとんでいってしまいました。かえるがいたので「あそびましょう。」とつかまえようとすると、かえるもはねていってしまいました。ほかにも様々な生きものに出会いますが、みんな逃げていってしまいます。女の子はだあれも遊んでくれないので、池のそばの石に腰掛けて、みずすましを見ながらじっとしていました。すると、素敵なことが起こったのです。
女の子のじっとしているこの時間が、とても貴重でいいなあと思った大好きな絵本です。(対象:3歳~)
文/絵:マリー・ホール・エッツ
訳:よだ じゅんいち
出版社:福音館書店
定価:1,100円+税
商品詳細:『わたしとあそんで』(福音館書店商品ページ)
『ぽとんぽとんは なんのおと』(福音館書店)
冬眠中のくまがふたごの坊やを生みました。ある日、坊やが母さんに聞きました。「かーんかーんってなんの音?」母さんが答えます。「木こりが木を切る音でしょう。」また別の日にも、「ほっほーほっほーはなんの音?」「どうしてしーんとしずかなの?」「つっぴいつっぴいってなんの音?」などと坊やは聞きます。母さんはそれに丁寧に答え、子どもを安心させて眠らせます。
音で冬から春までを表現し、それに優しく答える母さんの言葉。まるで詩集を読んでいるように美しい絵本です。(対象:4歳~)
作:神沢利子
絵:平山英三
出版社:福音館書店
定価:900円+税
商品詳細:『ぽとんぽとんは なんのおと』(福音館書店商品ページ)
『ふたりは ともだち』(文化出版局)
お友達のかえるくんとがまくんの、日常での何ともほほえましい出来事が書かれています。中でも「おてがみ」は小学2年生の国語の教科書に長い間採用されているので、ご存知の方も多いかと思います。
春になっても起きないがまくんをかえるくんが知恵をしぼって起こすお話、病気のかえるくんにお話をねだられるも、がまくんはお話が浮かばず、ありとあらゆる努力をしてみるお話、そしてお手紙を待つ時間が悲しいがまくんのために、かえるくんが素敵なことをするお話など、5つのお話が入っています。
ふたりのやり取りがかわいくて、つい笑顔になってしまいます。お子さんにもこんなお友達ができるといいですね。(対象:小学校低学年~)
作:アーノルド・ローベル
訳:三木 卓
出版社:文化出版局
定価:950円+税
商品詳細:『ふたりは ともだち』(文化出版局商品ページ)