【あした、親子で読みたい本】初めての一人読みにおすすめな幼年童話 3選
子どもの時に読んで感動した本は、大人になってもずっと心に残るもの。子どもたちが、自分だけの宝物になるような一冊に出合えるように、おすすめの絵本や読み物を元書店員でありJPIC読書アドバイザーの市川久美子さんにご紹介いただきます。
桜が見ごろを迎えました。卒園・卒業、入園・入学・入社の季節ですね。昨年、今年と、コロナ禍で式典の形も大きく変わりました。
今回は小学校に入学されるお子さんをイメージして、幼年童話を選びました。絵本から読み物に進む大切な時期です。「文字が読めるのだから自分で読みなさい。」とは言わないで、ぜひ読んであげてください。毎日少しずつ読んであげると、気に入った本に出合った時、次を知りたくて自分で読みたいと思うようになります。そして、楽しかった読み聞かせの時期を巣立っていきます。一人読みの姿は、親として嬉しくもあり寂しくもありますが、子どもにとって本を読むことは、知的好奇心を満たしてくれますし、心の葛藤があるときに本が味方になってくれます。
本によって、心が元気に育ちますように。お子さまにとって大切な1冊に巡り合いますように。
ぼくはめいたんてい『きえた犬のえ』(大日本図書)
探偵ものが好きなお子さんにおすすめです。パンケーキの好きな名探偵のネートは事件が起こるとママに置手紙をして出かけていきます(と言っても、そのママは登場しませんが)。お話には個性的な子どもたちと動物が登場します。そして、事件を解決していくのです。
そんなに長くない読み物ですが、大人でもなかなか犯人がわかりません。シリーズもので一冊で事件が解決するので、どの巻から読んでもいいようになっています。(対象:5歳~)
文:マージョリー・W・シャーマット
絵:マーク・シーモント
訳:光吉夏弥
出版社:大日本図書
定価(税込):1,320円
商品詳細:ぼくはめいたんてい『きえた犬のえ』(大日本図書商品ページ)
『キダマッチ先生! 1.先生 かんじゃに のまれる』(BL出版)
カエルのキダマッチ先生は名医です。小さな動物から大きな動物まで、どんな病気や怪我でも治してくれます。体に水玉模様があり、それが隠れるのが嫌で白衣は着ません。必要であれば往診もします。
1巻目の患者はアリンコじいさん、トカゲのおくさん、そして子牛。どんな怪我や病気なのでしょう。キダマッチ先生よりずーっと大きい動物をどうやって診て、どうやって治療するのでしょう。そこがまた面白いところであり、名医と言われる所以なのです。(対象:4歳~)
文:今井恭子
絵:岡本順
出版社:BL出版
定価(税込):1430円
商品詳細:BL出版 公式サイト
『やぎこ先生 いちねんせい』(福音館書店)
やぎやま小学校の入学式。一年生になったこやぎたちの担任は、先生一年生のやぎこ先生。やぎこ先生はちょっとドジで、子どものようでいて、優しい先生です。何色のワンピースを着ていこうかと悩んで遅刻したり、雨で中止になった遠足の日に授業をするように言われたのに教室で遠足ごっこしたり……。失敗していつも校長先生に叱られるやぎこ先生ですが、子どもたちがいいアイデアを出してくれます。子どもたちはやぎこ先生と過ごす時間が楽しいようです。いつもてんやわんやな学校生活の中で、やぎこ先生と子どもたちが育っていく姿が描かれています。(対象:小学校低学年~)
文:ななもりさちこ
絵:大島妙子
出版社:福音館書店
定価(税込):1870円
商品詳細:『やぎこ先生 いちねんせい』(福音館書店商品ページ)
勤務していた書店で人気だったのは『ふらいぱんじいさん』(あかね書房)と『エルマーのぼうけん』(福音館書店)でした。どちらも幼年童話のロングセラーです。機会があればこちらも是非読んでみてください。おすすめです。