【あした、親子で読みたい本】季節を感じる 草花に関する本 3選
子どもの時に読んで感動した本は、大人になってもずっと心に残るもの。子どもたちが、自分だけの宝物になるような一冊に出合えるように、おすすめの絵本や読み物を元書店員でありJPIC読書アドバイザーの市川久美子さんにご紹介いただきます。
季節の移ろいを植物で感じられます。ふきのとうが出ると春が来たと感じ、つくしが出て、梅の花が咲き、桜の花が咲き、木蓮が咲き、ハナミズキが咲き、今つつじや菖蒲が咲いています。我が家の庭でもいろんな花が咲き、道端でも草花が目にとまるようになりました。寒い地方に行ったとき、いろんな花が一斉に咲く花壇を見て驚いたことがあります。冬が長いからでしょうね。
今回は植物に関する絵本を紹介します。
『たんぽぽ』(福音館書店)
空き地や道端にたんぽぽが咲いています。たんぽぽの根がどのくらい長いのか、どんな時花が開いたり閉じたりするのか、一本の花に小さな花がいくつあるのか、花が終わったらどうなるのか、綿毛になったらどこへ行くのか。そんなことが書かれています。
日本たんぽぽと西洋たんぽぽは、総苞片(そうほうへん)を見れば見分けることができます。たんぽぽを使った腕時計やブレスレットといった工作や、たんぽぽコーヒーなど、たんぽぽの楽しみ方は他にもたくさんあります。この時期、お子さんと一緒に是非。
文・絵:平山和子
監修:北村四郎
出版社:福音館書店
定価:990円(税込)
商品詳細:『たんぽぽ』(福音館書店商品ページ)
『庭をつくろう!』(あすなろ書房)
一家が引っ越してきた家の庭は、荒れ果てていました。お父さんは「町一番のきれいな庭に変身させるぞ。」と言います。庭を掃除し、草取りをし、土を耕し、種を蒔きました。古いリンゴの木は病気を(「古い病気」と一瞬読んでしまうため)お医者さんに治してもらい、種の蒔き方は隣の家の男の子に教えてもらい、仲良くなりました。やがて、植えた野菜や花が育ち鳥や昆虫たちがやってくるようになりました。そんなある夜、リンゴの木が男の子に話をします。この家の歴史を。
生まれ変わった(唐突に文章が変わった感じがあるので一文入れました)庭で戯れる子どもたちと友だちの楽しそうな声が聞こえてくるようです。
著:ゲルダ・ミューラー
訳:ふしみみさお
出版社:あすなろ書房
定価:1,650円(税込)
商品詳細:『庭をつくろう!』(あすなろ書房商品ページ)
『草花とともだち』(偕成社)
春がきました。花は咲きほこり、虫たちも忙しく飛び回っています。春の野山で見る黄色い花たち、白い花たち、紫色・桃色・赤色の花たちがたくさん。その花たちの名前と花の説明が丁寧に書かれています。木に咲く花・水辺の植物と生きもの・野山のきけんや注意することまで書かれていて、この一冊の絵本を持っていろんなところへ行けそうです。家に帰ってきたら収穫した山菜でお料理。草花遊びなど、最後まで楽しさ満載です。コロナ禍ではありますが、親子で楽しめたらいいですね。
構成:松岡達英
絵と文:下田智美
出版社:偕成社
定価:1,650円(税込)
商品詳細:『草花とともだち』(偕成社商品ページ)
市川 久美子(いちかわ くみこ)
元書店員。JPIC読書アドバイザー。1981年地域文庫の立ち上げに携わる。後に家庭文庫も開く。同じ小学校で15年以上読み聞かせ・語り・ブックトークを行い、作家さんなどの授業も15年企画。市立図書館・中学校図書館勤務の後、1999年より大型書店児童書担当として20年勤務。退職後は、児童書関連の執筆・講演を行う。著書に『ねんねのうた』(佼成出版)がある。