【あした、親子で読みたい本】心がほっとあたたまる 家族にまつわる本
子どもの時に読んで感動した本は、大人になってもずっと心に残るもの。子どもたちが、自分だけの宝物になるような一冊に出合えるように、おすすめの絵本や読み物を元書店員でありJPIC読書アドバイザーの市川久美子さんにご紹介いただきます。
私のおすすめの本の紹介連載も、今回が最後です。1年間ありがとうございました。
お役に立てたでしょうか。家庭での読み聞かせは、しっかりと子どもの心に残ります。心の安心も生まれ、親子の絆が育ちます。
「よんで」と子どもが言ってくるうちは、たとえ自分で読めるようになっていても読んであげてください。『絵本の記憶、子どもの気持ち』(福音館書店)には、学生さんが幼いころ読み聞かせをしてもらった時のことをレポートに書いた文が載っています。なかなか知ることのできない子どもの気持ちが垣間見られます。
コロナ禍で、ご家族と過ごす時間が増えた方が多いかと思います。最終回は家族(家庭)の本を紹介します。
『14ひきのかぼちゃ』(童心社)
「14ひきのシリーズ」の1冊です。このシリーズはカバーからじっくりと見てください。カバーの絵と表紙から裏表紙に続く絵が同じではありません。そこから楽しめます。
14ひきの家族で草を抜いて、耕して、かぼちゃの種を蒔き育てます。収穫して食べるまでを丁寧に描いています。命のつながりを描き、三世代家族の役割も見て取れます。こういう家族も少なくなりましたが、離れて暮らすおじいちゃんおばあちゃんに、安心して会える日が早く来るといいですね。(対象年齢:3歳~)
作:いわむらかずお
出版社:童心社
定価:1,320円(税込)
商品詳細:『14ひきのかぼちゃ』(童心社商品ページ)
『ないしょのおともだち』(ほるぷ出版)
大きな家にマリーという女の子が家族と住んでいました。この家の隅には小さな家があって、ネズミの女の子が家族と住んでいました。ある日、マリーはフォークを落とし、同じころネズミもまたスプーンを落とし、拾おうとしてお互いに気づきます。次の日マリーは夕飯の後、わざとフォークを落としました。ネズミも同じころスプーンを落とし、お互い手を振り合いました。それから毎晩マリーはフォークを落とし、ネズミはスプーンを落とし、手を振り合います。
その後、お互いに大きくなり家から出て行き会えなくなりました。しかし、命は続いていました。そのあとのお話も可愛くて美しい絵が盛り上げてくれています。(対象年齢:4歳~)
文:ビバリー・ドノフリオ
絵:バーバラ・マクリントック
訳:福本友美子
出版社:ほるぷ出版
定価:1,760円(税込)
商品詳細:『ないしょのおともだち』(ほるぷ出版商品ページ)
『かもさんおとおり』(福音館書店)
1965年に翻訳されて出版された絵本ですが、かもの行列は毎年ニュースになります。あんなに長い距離を歩くのだと驚きます。大人たちが、かもを事故から守る姿も見ることがあります。そのたびにこの絵本を思い出します。
絵本の中で、かもの夫婦は巣作りによい場所を探しています。やがて卵を生み温め、8羽の子どもが生まれます。お母さんは子どもに泳ぎ方・潜り方・1列に並んで歩くことを教え、川から公園へ引っ越しをします。引っ越しでは車の通るところも横切らなくてはなりません。
おまわりさんに守られながら引っ越しをする姿に、ホッとします。(対象年齢:5歳~)
文・絵:ロバート・マックロスキー
訳:わたなべしげお
出版社:福音館書店
定価:1,430円(税込)
商品詳細:『かもさんおとおり』(福音館書店商品ページ)