【あした、親子で読みたい本】平和について考える本 3選
子どもの時に読んで感動した本は、大人になってもずっと心に残るもの。子どもたちが、自分だけの宝物になるような一冊に出合えるように、おすすめの絵本や読み物を元書店員でありJPIC読書アドバイザーの市川久美子さんにご紹介いただきます。
1945年8月6日と9日は広島と長崎に原爆投下された日です。そのことは毎年ニュースで流れ、その悲惨さを見るにつけ、現在の平和のありがたさを感じます。オリンピックも「スポーツを通した人間育成と世界平和を究極の目的」とされています。でも、世界を見渡すと決して平和とも言えません。書店勤務のころ、児童書の平和に関する本が動かない時期がありました。しかし、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ以来、平和に関する本がまた動き始めました。
8月になるとやはり考えさせられる平和。今回はそうした本の紹介をします。
今回紹介する本のほかにも、たとえば『明日の平和をさがす本』(岩崎書店)には、紹介した本以外の平和に関する本がたくさん掲載されています。参考にしてみてください。
『あなたこそたからもの』(大月書店)
憲法の絵本です。憲法というと難しい印象があり、子どもにうまく説明ができないことがあります。この絵本は子どもにもわかるように書いてあります。命の重さはみんな同じ、一人一人を大切にする「個人の尊重」から書かれています。災害で困窮した生活、貧しくて生活がままならないときなども、守られていることが憲法に書かれています。平和のために、時々憲法を読み直すのも大切なのかもしれません。(対象年齢:小学校4年生~)
文:いとう まこと
絵:たるいし まこ
出版社:大月書店
定価:1,430円(税込)
商品詳細:『あなたこそたからもの』(大月書店商品ページ)
『ひろしまのピカ』(小峰書店)
8月6日午前8時15分、突然ピカッと恐ろしい光が突き抜けました。原子爆弾投下です多くの人が亡くなり、生存した人の苦しみも悲惨なものでした。病院も機能不能でした。街も焼けつくされました。
読んでいて胸を突かれてしまいます。平和を祈るばかりです。丸木俊氏の絵からも悲惨さと祈りが伝わります。(対象年齢:小学校2年生~)
文・絵:丸木俊
協力:丸木位里
出版社:小峰書店
定価:1,650円(税込)
商品詳細:『ひろしまのピカ』(小峰書店商品ページ)
『みどりのゆび』(岩波書店)
何不自由なく育ってきたチト。お父さんは家庭教師として庭師ムスターシュ(ひげさん)に庭(土)の授業を依頼します。チトはムスターシュおじいさんが好きでした。一緒に庭仕事をしているうちに、チトに不思議な力をもつ「みどりのゆび」があるのを発見します。チトが親指で触れると、そこに花が咲くのです。この力と純真な心で、チトは刑務所に花を咲かせたり、貧民街や病気の女の子の掛布団に花を咲かせたりします。ある時チトは、戦争の話を聞き、そして、お父さんの工場で兵器を作っているのを知ります。チトは心を痛め、兵器に「みどりのゆび」を使うのでした。
そのまま話が終わるかと思いきや、意外な最後のシーンがあり胸に刺さります。(対象年齢:小学中学年~)
作:モーリス・ドリュオン
訳:安東次男
出版社:岩波書店
定価:704円(税込)
商品詳細:『みどりのゆび』(岩波書店商品ページ)