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まんがでわかる! 意外と身近な名曲クラシックの世界・第5回「フォスター」

まんがでわかる! 意外と身近な名曲クラシックの世界・第5回「フォスター」

クラシック音楽ってむずかしい……?
いえいえ、そんなことはありません! クラシックはいわゆる当時の流行ソングで、その時代を生きる人々にさまざまな場面で親しまれ、愛されてきました。
長い時を経た現代でも、テレビや町のなかで、私たちは気がつかないうちにたくさん耳にしています。
これから、作曲家とその有名な曲のお話を、『伝記 世界の大作曲家 15人の偉人伝』のまんがのシーンと共に紹介していきます。
ぜひクラシック音楽と仲よくなってくださいね🎹🎵


ファストフード店のCMでおなじみ! 「懐(なつ)かしきケンタッキーの我が家」


今回は、『懐かしきケンタッキーの我が家』(原曲:My Old Kentucky Home)。
有名なファストフード店のCMで使われているので、きっと耳にしたことがありますよね。

この曲は、アメリカ50州のうちの一つ「ケンタッキー州」の州歌にも採用されていて、ケンタッキー州の人々の心のふるさとともいえる名曲です。
郷愁感(きょうしゅうかん・ふるさとを懐かしく思う気持ち)を思わせるどこかもの悲しい雰囲気(ふんいき)のメロディーが特徴(とくちょう)で、慣れ親しんだケンタッキーの我が家に別れをつげる悲しみが歌詞にこめられています。
「この言葉はどんな意味?」
「なぜこのような表現がでてくるの?」
というように、ぜひ歌詞の意味や当時のアメリカの社会背景にも注目して聴いてみてくださいね。

「アメリカ民謡(みんよう)の父」の、音楽にあふれた少年時代

この名曲を作曲・作詞したのは、約200曲もの曲を残し、アメリカ民謡の父」と呼ばれるフォスターです。
本名は、スティーヴン・コリンズ・フォスター。
彼が生まれたのは1826年の7月4日、アメリカ独立50周年のお祝いの日です。
フォスターの父は州議会議員や市長も任された名士(ある地域において名が広く知られている人物のこと)で、地元でも有名な「白壁(しらかべ)の家」と呼ばれるお屋敷(やしき)に住んでいました。

フォスターは、近所の仲間と少年劇団をつくって上演したり、合奏の際にはいつも指揮者役をかってでたりと、活発な少年時代を過ごしました。
また、父がバイオリンをたしなみ、姉たちがピアノに親しむ音楽にあふれた環境(かんきょう)だったこともあり、独学で横笛やギターを上手に弾き、10歳で作曲をはじめ、その能力で周囲をおどろかせます。

そんなフォスターですが、学校がきらいで中学高校では入退学をくりかえし、大学はすぐにやめてしまうほど。しかし、勉強ぎらいというわけではなく、外国語が得意で読書家だったそうです。
あるとき彼は教会で黒人の音楽を知り、その出会いと体験が、彼の作曲家人生に大きな影響(えいきょう)をあたえることになりました。

若くして大成功! 歌曲の天才フォスターのかがやきと苦しみ

音楽教師に音楽理論の手ほどきを受けたフォスターは、17歳のときに歌曲『窓をおあけ恋人(こいびと)よ』を発表し、その後次々にヒット曲を生みだします。特に、22歳で発表した『おお、スザンナ』の大ヒットがきっかけで、フォスターの名前は広く知られるようになりました。


出版社と出版契約(けいやく)を結んだことにより生活が落ち着いてきたフォスターは、故郷のピッツバーグ州に戻り、24歳でジェーン・マクダウェルと結婚します。フォスターは『金髪のジェニー』『ジェニー・ジューン』など、妻のジェーンのことを歌った曲をいくつか残しています。

また当時、フォスターはミンストレル・ショーの芸人と親しくなりました。
ミンストレル・ショーとは、白人が黒人の格好をして、歌ったりおどったりするショーのこと。
かつて教会であじわった感動が忘れられなかったフォスターは、ショーのために数々の名曲を作曲します。

たくさんのヒット曲を生み出しつづけ順調に思えたフォスターの人生ですが、家族で移ったニューヨークの地での失敗、家族との別れなど、次第に暗雲がたちこめていきます。
そして1861年に起きた南北戦争の影響でアメリカ社会全体が不安に包まれ、フォスターの生活も一段と苦しくなりました。
それでもフォスターは次々と作曲をしますが、出版社にすべて安く買いたたかれてしまいます……。

1864年、彼は37歳の若さでこの世を去ります。
ここで紹介した曲のほかにも『草競馬』『オールドブラックジョー』『故郷の人びと』『夢見る人』など、ひとびとの心になじみ、安らぎと希望をあたえてくれる美しいメロディーで、当時のアメリカ人の生活を彩(いろど)った天才フォスターの音楽は、現代でも世界中で愛されているのです。


第5回「フォスター」はいかがでしたか?
フォスターについてもっと知りたくなったら、ぜひまんがの続きも読んでみてくださいね。
次回は、ボヘミアを代表する音楽家・ドヴォルザークを紹介します。お楽しみに!

前回の記事はこちら

Information

出典
『新版 伝記世界の大作曲家―15人の偉人伝―』
学研プラス(編)
監修・指導:ひの まどか
定価:1,870円(本体1,700円+税10%)

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