災害危機管理アドバイザーが教える季節の防災塾《秋編》 なぜいっぱい雨が降る?
【第1回】日本の大雨はどんどん増えている!
毎年5月末から7月にかけて日本列島は雨の多いシーズンになります。でも年間を通して「雨が多くなったなあ」と思っていませんか?
じつは日本の年間の総降水量にはまだ大きな変化は見られないのだけれど、「大雨」の日数が10年前に比べ平均1.4倍に増えているというデータ(気象庁)が明らかになっています。
それが感覚的に「雨が多い」という気持ちにさせているんですね。その主な原因とされているのが「地球温暖化」です。
大気中の水蒸気量と雨量の関係
「地球温暖化」という言葉はよく耳にすると思いますが、気温上昇は、海水面からの水分の蒸発量を増やし、その結果、大気中の水蒸気量も増えます。
大気中の水蒸気量は地球の気候にさまざまな変化をもたらしますが、なかでも、最も影響(えいきょう)を受けるのが「降水量の増大」になります。
また地表面、海水面の気温上昇は大気の対流をうながし、しめった空気を上昇気流にのせて、上空で冷やし、大雨をもたらす「積乱雲」「台風」などを多くつくり出します。
大雨をもたらす積乱雲とは?
夏の青空に、もくもくと急に発達する雲を「入道雲」と呼びますが、これは積乱雲の夏の俗称(ぞくしょう:正式でない呼び方)になります。
急激に大きく発達するのは上昇気流によるもので、急な大雨、雷(かみなり)、竜巻(たつまき)、雹(ひょう)などを発生させます。
海水浴やキャンプなどでこのような雲を見かけたら、そろそろ大雨が降るかも、と思って早めに帰りじたくをするか、建物内に避難(ひなん)するようにしないといけません。アウトドアでは空に浮かぶ雲を見て天気の変化に気をつけましょう。
注意したい「大気が不安定」「線状降水帯」
積乱雲は真夏の青空にだけ発生するものではありません。「大気が不安定」な状態で発生します。「大気が不安定」という言葉を天気予報などで耳にした場合は気をつけましょう。
上空に冷たい空気、地上に温められた空気の層があると大気の「対流」が発生し積乱雲の発生条件がそろうことになります。さらにこの積乱雲が連続するような気象条件を「線状降水帯」の発生と呼び、大きな災害が発生するような大雨の可能性が高まると考えるようにしましょう。
「空に積乱雲を見つけたら、
天気急変のサインだよ!」
著者:和田隆昌(わだたかまさ)
【キャラクターデザイン・イラスト:神楽つな】
「グラフは各年の大雨の年間発生回数で、青い線は5年移動平均値、赤い線は長期変化傾向(けいこう)を示しているよ。最初の10年は約226回だったけれど、最近の10年ではなんと約327回に増えているのがわかるね。ヒョエー!」