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プログラミング

文系ママにも超わかる! プログラミング教育入門【第1回】

文系ママにも超わかる! プログラミング教育入門【第1回】

プログラミング教育推進アドバイザーの駒谷昇一先生が、デジタルに苦手意識のある文系ママ2人に、直々に、しかも超わかりやすくプログラミング教育を教えてくれる特別講座です。
これであなたも、「プログラミング教育とは何か」を誰かに教えられるほど理解できるようになりますよ!

奈良女子大学 教授 駒谷昇一先生(三重県プログラミング教育推進アドバイザー)
プログラミング教育に関するあらゆる質問に、やさしく答えてくださいます!

T子  フリーライター&校正者。得意な教科は国語。中1の娘がいる。仕事をしながらPTA活動にも熱心に取り組んできた。

K子  マナビスタ編集部。学習参考書の編集者時代は国語担当だった。ゲームが大好きな高1と中1の息子がいる。

第1回 プログラミング教育って何ですか?

K子   「2020年度から小学校でもプログラミング教育が必修化される」と発表になった時から、多くの保護者がさまざまな不安を感じてきたと思います。私は教育に関する仕事をしていることもあり、友人たちから「よくわからないから、プログラミング教室に入れたほうがいい?」「とりあえずパソコンを買うべき?」などと相談されました。
T子  私は、「コンピュータを使った仕事が増えているから、学校で教えるということなのかな?」と思っていました。
先生  お子さんたちは、どんなことを実際に学習しましたか?
T子  娘は小学校時代、総合学習の時間にビスケット(Viscuit)というソフトで簡単なイラストを描いてタブレットで動かす活動をやっていました。私も、PTAで体験する会があって参加しました。
K子  私の子どもの小学校では、スクラッチ(Scratch)をやっていました。


先生  スクラッチを使ったプログラミング教育は、多くの小学校で実施されていて、総合の時間を使って各自が自由に動く作品を作るということが行われています。GIGAスクール構想により1人1台のパソコンやタブレット端末を使った教育ができるようになった、その影響もあります。
T子  こういう活動が、小学校のプログラミング学習ということでいいんですよね?
先生  実は、プログラミング塾ならそれでいいのですが、学校となると、それだけではダメなんです。
K子T子 えーっ⁉
先生  学校教育としては「プログラミング的思考を身につける」ことが最大の目的です。一人で黙々とコンピュータに向かっているのは、そもそもプログラミング学習の授業ではありません。
K子  そうなんですね!
T子  「ゲームを作って楽しかった~」「ロボットを動かせて面白かった~」でいいのかと思っていました。
先生  創造力を高めるために、スクラッチなどでコンテンツを作るという授業は否定しません。1人1台で作品を作る授業があってもよいと思います。ただ、学校のプログラミング教育としては、子ども自身の生活や体験と切り離された、ゲーム作成などの抽象的な内容ではダメなんです。「ゲーム的に学ぶこと」と、「ゲームを作ること」は違うんですよ。
T子  知らなかった……。
K子  では、先生がおっしゃった「子ども自身の生活や体験とつながった内容」とは、どんなことですか?
先生  例えば、「地元のことを知る」という社会科の授業の一環として、班に分かれて観光地案内を作る学習があります。従来は模造紙にまとめていましたが、プログラミング的学習では、パソコン上に調べたことを貼り付けていく。動画で動きをつけることもでき、より複雑な動きを見せられます。
T子  なるほど! 高学年ではどうですか?
先生  「『高齢化社会』という社会の課題を解決するロボットを作れないか?」と考える学習があります。例えば、「お年寄りの玄関に届いたお弁当を、ベッドまで届けてくれるロボット」の作り方を考えるのです。
K子  社会科以外の、他の教科でもありますか?
先生  ありますよ。例えば国語で、自分の思いや考えを相手に伝える作文を書くのも、プログラミング教育です。ひとつひとつの表現の意味や効果を考えながら書くことで、プログラミング的思考が学べます。
K子  どの教科でもプログラミング学習はできるということですね。
先生  そのとおりです。すべての教科の中でプログラミング的思考を学んでほしいのです。だから、ロボットを動かすことが目的になってはいけないんです。

T子  では、学校ではなぜゲーム作成をするのでしょうか?
先生  学校の先生たちは、「何のためにプログラミング教育をやるのか?」を追求すること以上に、プログラミングの授業を行うためのHow toを求めています。そこで、すぐに実践できるゲーム的な作品の作成が授業の中心になってしまっている傾向があります。
K子  新しい学びなので、先生たちもまだ試行錯誤しているのですね。
先生  私は現場の先生に向けた研修会で、「小学校段階では、まずは思考を養うことが大事だということを伝えています。
K子  「ゲームやロボットを作るのが楽しい」だけではダメなんですね。
先生  そうです。プログラミング学習では、楽しく学ぶことは重要ですが、楽しいだけではダメなんです。目的にプログラミング的思考を育むことが含まれているかどうかが重要なのです。
T子  完全に誤解していました……。今すぐママ友にも伝えたいです!

★「第2回 そもそもプログラミングって何ですか?」に続く

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駒谷昇一(こまや しょういち)

監修者:駒谷昇一(こまや しょういち)

奈良女子大学 生活環境学部教授。三重県プログラミング教育推進アドバイザー。NTTソフトウェア株式会社、筑波大学大学院 システム情報工学研究科教授、情報処理推進機構(IPA)、株式会社NTTデータなどを経て現職に至る。小学校の教員向けにプログラミング指導者育成研修などを行っている。

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