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プログラミング

文系ママにも超わかる! プログラミング教育入門【第3回】

文系ママにも超わかる! プログラミング教育入門【第3回】

プログラミング教育推進アドバイザーの駒谷昇一先生が、デジタルに苦手意識のある文系ママ2人に、直々に、しかも超わかりやすくプログラミング教育を教えてくれる特別講座の第3回です。
「指示されたことしかできないコンピュータの代わりに、人間が『手順』を考える必要がある。それがプログラミング」「ミートソースパスタづくりの手順も、プログラミング的思考」という先生のお話に、プログラミングがぐっと身近に感じられるようになったママたち。でも、まだまだ疑問はいっぱいあります。

奈良女子大学 教授 駒谷昇一先生(三重県プログラミング教育推進アドバイザー)
プログラミング教育に関するあらゆる質問に、やさしく答えてくださいます!

T子  フリーライター&校正者。得意な教科は国語。中1の娘がいる。仕事をしながらPTA活動にも熱心に取り組んできた。

K子  マナビスタ編集部。学習参考書の編集者時代は国語担当だった。ゲームが大好きな高1と中1の息子がいる。

第3回 なぜプログラミングを勉強するんですか?

K子   先生にこの取材をするにあたって、保護者の方たちに「プログラミング教育についてどういう印象があるか」を聞いてみたんです。こんな意見が出ました。

・プログラミング教育に何の意味があるのか? 必修化の意味は?
・別に子どもを将来プログラマーにしたいわけじゃない。
・パソコンが得意になるよりも、心が優しい子に育ってほしい。
・プログラミングの授業は遊びみたいなもの。正直、英語や算数などの勉強のほうを頑張ってほしい。

T子  その気持ち、すごくわかります!
先生  プログラミング教育には誤解が多いようですね。
K子   先生、まずはプログラミング教育の意義を教えていただけますか?
先生  大きく3つあります。1つめは、「目的に応じた創造的な問題解決ができる人材」が求められてきているからです。仮説を立て、検証することをくり返すプログラミング教育が、問題解決力を高めていきます。しかも、一人ではなくチームで解決をしていくことが、今後の社会では必要とされています。
K子   それは既に仕事でも必要とされているのを感じます。
先生  2つめは、プログラミングを通じて、コンピュータは人間の意図した処理を行わせられるものであることを理解するためです。コンピュータに親しむとともに、「コンピュータがいつも正しい答えを出すとは限らない」ということを知ることも重要なんです。


T子  「コンピュータに使われるのではなく、自分が使う側なのだ」と自覚するということでしょうか。文系人間には耳が痛いです……。
先生  プログラミング的思考に、文系・理系は関係ないですよ。そして最後、3つめは、プログラミング的思考は、時代を超えてどのような職業であっても普遍的に求められる力だからです。Society 5.0に求められる人材の育成が、2020年度からの新学習指導要領のテーマです。将来的にほとんどの仕事がAIによって自動化されてしまうと言われていますね。

【Society 5.0】
AIやロボットの力を借りて、我々人間がより快適に活力に満ちた生活を送ることができる社会。これまでの現実世界に加えて、仮想空間との融合で豊かな社会を実現していこうとしているもの。

内閣府「Society 5.0」

K子   そういう時代に備えて『AIに負けない人間になる』という言葉がはやっていますよね。
先生  そうですね。例えば、今の子どもたちが大人になる10年後には、お店に買い物に行かなくても、AIのお店が自動運転で自宅まで来てくれるようになると言われています。しかも、自分にぴったり合った物を、自動的に選んで。
T子  すごいですね!
先生  そうなると、販売員さんは不要になりますよね。そういう時代に必要になるのは、この例で言うと、「自動運転で自宅まで来てくれるお店ロボット」の作り方や動かし方などの手順や段取りが考えられる人です。
K子   そういう人が世の中に増えると、どうなっていきますか?
先生  単純な作業はAIに任せることができ、人間は手順や段取りを考えることに専念できます。手順や段取りを突き詰めていった結果の先は、高度な技術につながり、社会のさまざまな問題を解決することができるのです。


T子  では、プログラミングが作れるプログラマーこそ目指すべき職業ってことですか?
先生  いいえ。今はプログラミング言語が簡単になっていて、専門的な知識がなくても、手順が考えられれば簡単にプログラミングが作れるようになっています。
K子   ということは、プログラミングを作れる人以上に、手順や段取りを考えられる人がこれからは必要ってことですか?
先生  そうです。そしてそういう人は、従来どおりの知識中心の教育では育たない。「知っている」ということを、それを使って手順や段取りを考え、「何かをできる能力」にまで引き上げなければ。だから、プログラミング教育が必要なんです。
T子  超納得です!

★「第4回 家でもプログラミング教育はできますか?」に続く

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駒谷昇一(こまや しょういち)

監修者:駒谷昇一(こまや しょういち)

奈良女子大学 生活環境学部教授。三重県プログラミング教育推進アドバイザー。NTTソフトウェア株式会社、筑波大学大学院 システム情報工学研究科教授、情報処理推進機構(IPA)、株式会社NTTデータなどを経て現職に至る。小学校の教員向けにプログラミング指導者育成研修などを行っている。

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