子どもの性被害を防ぐために
今、子どもの性被害が問題となっています。大人による子どもへの直接的なわいせつ行為といった犯罪だけでなく、現代はSNSを利用した性犯罪も起きています。こういった子供の性被害の撲滅を目指し、国をあげての取り組みも始まりました。今回は、子どもの性被害防止についてお伝えします。
子どもの性被害は学校でも
街で不審者に声をかけられる、つきまとわれる、電車の中で体を触られるといった、子どもの性被害の報告は後を絶ちません。家庭や学校での教育により、子どもの街中での警戒心・危機意識は強まっていると考えられますが、それでも「よく知っている場所」ではつい安心してしまって、警戒心が薄くなってしまいがちです。
そのような「よく知っている、警戒心が薄くなる場所」で、性犯罪は起こっています。その一つが「学校」です。「先生に不必要に体を触られる」「着替えを盗撮される」という事案が実際にあり、令和2年度は200人の教員が性犯罪・性暴力関連で懲戒免職等の処分を受けています(※1)。
「子供の性被害防止プラン」策定
性被害を受け、尊厳を踏みにじられた子供は、長期にわたり心身に悪い影響が及ぶといわれています。そのような性被害を根絶するべく、2022年は内閣主導で「子供の性被害防止プラン」が策定されました(※2)。今後は文部科学省はじめ各省において、性被害防止のための施策が本格的に進められることになります。
小学校では「生命(いのち)の安全教育」
今年になって、学校から性被害防止が配関連の案内やチラシが配られたご家庭も多いのではないでしょうか。文部科学省では現在、子どもが性暴力の加害者や被害者、傍観者にならないために、教育・啓発活動を始めています。あわせて、学校などで相談を受ける体制整備、わいせつ行為をした教員等への厳正な処分、社会全体への啓発の強化などを進めています。
さらに、小学校では今後「生命(いのち)の安全教育」が推進されることになっています。「生命(いのち)の安全教育」の教材や指導手引きによると、子どもの理解力に合わせて小学校低学年、中学年、高学年別に、性被害にあわないように自分と他人の体を大事にしようという教育が行われることになっています(※3)。
その安全教育のなかでも、全学年に共通するのが、「水着でかくれる部分は、自分だけの大切なところで、ほかの人に見せたり触らせたしないようにする」というルールです。水着で隠れる部分は、「プライベートゾーン」「プライベートパーツ」とよばれています。安全教育の中では、このプライベートゾーンに何かされそうになったときに、まず「おかしい」と気づくこと。そして、他人のプライベートゾーンには何もしないこと。おかしいと感じることがあったら助けを求めること。これらのことができるようになることを目指しています。たとえば、スカートめくりをしたり、人のズボンを下ろしたりする行為は、ひと昔前まではいたずらで済んだかもしれませんが、今後はいじめの観点だけでなく、性被害という観点からも指導がなされていきます。
困ったときには学校や自治体の窓口に相談を
子どもの性被害について、「子どもの様子がおかしい」「こんなことがあって傷ついている」など、不安があったり困ったりしたときには、学校や自治体の相談窓口に相談しましょう。学校に言いにくいという場合は、全国に設置されている「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」に相談することもできます。
性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター一覧(内閣府男女共同参画局)
自分やご家庭だけで抱え込まずに、専門機関を頼ることをぜひ検討してみてください。
参考
※1「性犯罪・性暴力等に係る懲戒処分等の状況(教育職員)」令和2年度、文部科学省