第一回
レッスン1 生意気おじょうさま登場!
「ベル様?、今日はもう帰られるのですか?」
放課後、ベレー帽(ぼう)をかぶり、赤いチェックの制服を着た女の子達が、さっさと教室を出ようとするベルを囲んだ。
ここはアリエノール女子学園。
アムリオン王国の東街区にある、ゆうふくな商人の娘たちが通う学校である。
王国一のぼうえき商の娘であるベルも、もちろん、この学園の生徒のひとりだ。
「気分がよくありませんの」
ベルはいつものようにクッとあごを上げ、フンと鼻を鳴らした。
「算数の試験で、たかだか六回連続0点を取ったぐらいで、わたしにいのこり学習をさせようなんて、あのきょうし、クビにしてやりますわ!」
「それがよろしいですわね、ベル様?。アムリオンで一番のこうえき商の令嬢(れいじょう)であるベル様に対して、あのきょうし、失礼ですもの」
と、ごきげんを取る少女たちを引き連れ、ベルは学園を後にする。