みなさんは、漢字の読み方を間違えて思わぬ恥をかいたり、敬語の使い方に迷ったり、自分の言いたいことを表現する的確な言葉が思い浮かばずもどかしい思いをしたり、などという経験はないでしょうか。
私自身も日本語は難しいなあ、と感じるときがあります。そんなとき、正しい日本語を使えるようになりたいと思いますよね。
しかし、実のところ、いつでも通用する「正しい日本語」というものは存在しません。話す相手やそのときの状況によって、日本語は適切に使い分けなくてはならないからです。
はじめての商談相手に「マジっすか」などと言っては成果がおぼつかないですし、友だち同士であれば、完璧な敬語はかえって嫌味かもしれません。
相手の気持ちを思いやった上で、自分の伝えたいことを適切に伝えることができたとき、はじめて「正しい日本語」であったといえるのです。
そのような「正しい日本語」を使いこなすためにも、さまざまな表現や言葉を身につけておく必要があります。そうすることで、あなたの日本語はより豊かなものになります。
そして、豊かな日本語を身につけることが、あなたの生活をより豊かなものにしてくれることでしょう。
金田一秀穂
杏林大学外国語学部教授。
1953年東京都生まれ。
祖父は金田一京助、父は金田一春彦。
上智大学文学部心理学科卒。
東京外国語大学大学院日本語学専攻修了。
その後、中国大連外語学院、コロンビア大学などで日本語を教える。
1994年、ハーバード大学客員研究員を経て、現職。
教鞭を執る傍ら、インドネシア、ミャンマー、ベトナムなどでの日本語教師の指導、講演活動、フジテレビ系「タモリのジャポニカロゴス」をはじめとしたテレビ出演等、多彩な活動をしている。